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経営事業計画/経営計画 最終更新日:2026/08/04

敵対的買収・敵対的TOB、2026年のTOB制度改正で何が変わる?買収防衛策も紹介

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  • 敵対的買収とは、対象企業の取締役会の賛同を得ずに株式取得を通じて経営権の取得を目指す買収手法であり、敵対的TOBはその代表的な手法である。
  • 2026年5月のTOB制度改正では、義務的公開買付けの基準が3分の1超から30%超へ引き下げられ、市場内取引も対象となるなど、企業は従来より早い段階からTOBの要否を検討する必要がある。
  • 敵対的買収への備えには、黄金株やポイズンピルなどの買収防衛策に加え、株主との対話や企業価値の向上を通じて株主からの支持を維持することが重要である。

「敵対的買収」や「敵対的TOB」という言葉をニュースで耳にする機会が増えています。
しかし、「友好的買収と何が違うのか」、「TOBとはどのような仕組みなのか」、「自社への影響はあるのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
2026年5月にはTOB制度が約20年ぶりに見直され、義務的公開買付けの基準や適用対象が変更されました。
この記事では、敵対的買収・敵対的TOBの仕組みや2026年改正のポイント、企業が取り得る主な買収防衛策についてわかりやすく解説します。

敵対的買収とは

敵対的買収とは、対象企業の取締役会の賛同を得ずに、株式取得を通じて経営権の取得を目指す買収のことです。
企業買収の本質は、対象企業の株式を取得し、その会社の経営を支配することにあります。
取締役は株主総会で選任・解任されるため、一定割合以上の議決権を取得すれば、会社の経営に大きな影響を与えられます。
会社法では、通常の決議事項は原則として過半数の賛成で可決されます。
一方、合併など会社にとって特に重要な事項は特別決議となり、3分の2以上の賛成が必要です。
そのため、株式の保有割合によって、次のような影響力を持つことになります。

  • 株式の3分の1を超えて取得すると、特別決議を阻止できる
  • 株式の過半数を取得すると、取締役の選任・解任を左右できる
  • 株式の3分の2を取得すると、特別決議を成立させられる
このように、敵対的買収は、合併・吸収分割・株式交換など対象企業の合意を前提とする友好的な手法とは異なり、対象企業の取締役会が反対していても、必要な株式を取得できれば成立し得る点が特徴です。


TOB(Take Over Bid:株式公開買付け)とは
TOBとは、買付価格や買付期間などの条件をあらかじめ公表したうえで、不特定多数の株主から株式を買い付ける制度です。
上場会社の株式は、証券市場を通じて時価で取引するのが原則ですが、例外的に株式市場外(相対取引など)で取引することも可能です。
ただし、市場外で一定規模以上の株式を取得する場合には、公正な取引を確保するため、金融商品取引法により原則としてTOB(株式公開買付け)を実施する必要があります。
TOBでは、買付者は開始公告と同時に公開買付届出書を内閣総理大臣へ提出し、20営業日以上60営業日以内の買付期間を設け、すべての株主に同一条件で買付けを行います。
また、いったん開始した公開買付けは、原則として撤回できません。
対象企業の取締役会が賛同して実施されるものを「友好的TOB」、賛同を得ずに実施されるものを「敵対的TOB」といいます。


敵対的買収で敵対的TOBが利用される理由
市場で株式を買い進めると、買い占めの過程で株価が上昇し買収コストが膨らんでしまいます。
これに対しTOBでは、買付価格をあらかじめ固定できるため、コストの見通しが立てやすくなります。
また目標株数を確保できない場合には買付け自体を不成立とすることも可能です。
買収企業にとってはリスクを制御しやすい手法であるため、対象企業の賛同を得られない敵対的買収では、敵対的TOBが代表的な手法として利用されています。

※参考資料:財務省関東財務局「株券等の公開買付け
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【2026年改正】TOB規制はどう変わったのか

TOBは2026年5月1日に制度改正が行われました。
この改正は、2006年の金融商品取引法成立以来約20年ぶりとなる本格的な制度改革であり、自社の株主構成や買収リスクを見直す際の前提が大きく変わりました。


義務的公開買付けの強制基準が3分の1から30%に引き下げ
2026年の改正による最大の変更点は、義務的公開買付けの強制基準が3分の1(約33.3%超)から30%に引き下げられたことです。
さらに、これまで規制対象外だった市場内取引(取引所内取引)も義務的公開買付けの対象となりました。
このため、株式市場で通常どおり株式を買い進めた場合でも、取得後の所有割合が30%を超えると、原則としてTOBによる取得が必要となります。
以前は約33.3%を超えるまで公開買付け義務は生じませんでしたが、改正後は30%の段階でTOBの要否を検討する必要があります。
例えば、株式を25%保有している買い手が追加で10%を取得すると所有割合は35%となるため、原則としてTOBの要否を検討することになります。


その他の変更点
30%ルールへの統合により、3か月以内の急速な取得を規制していた「急速な買付け」は廃止されました。
さらに、買付者が個人の場合の親族を自動的に合算する「形式的特別関係者」の規定も見直されています。
一方で、非公開化TOBと並行して大株主から低価格で株式を取得できる「並行買付け」制度が新設されるなど、手続きも柔軟化されています。

敵対的買収・敵対的TOBのメリット・デメリット

続いて、敵対的買収・敵対的TOBの主なメリットとデメリットを解説します。


買収企業側にとってのメリット
対象企業の事業基盤を取り込める
敵対的買収・敵対的TOBが成功すると、買収企業は対象企業の経営権を獲得できます。
その結果、対象企業が持つ経営資源や市場シェアを取り込み、事業規模を一気に拡大できる点が最大のメリットです。
自社でゼロから事業基盤を構築するよりも、既存の組織・ノウハウ・顧客基盤をそのまま引き継げるため、短期間で事業を拡大しやすい点が株式取得によるM&Aの大きな強みです。

少ない資金で経営に関与できる
全株式を取得しなくても、一定割合以上の議決権を取得することで経営に関与できるため、買収資金を抑えられる場合があります。

シナジー効果が期待できる
既存事業と対象企業の事業を組み合わせることで、コスト削減や売上拡大などのシナジー効果も期待できます。


対象企業にとっての意外な側面
敵対的買収・敵対的TOBは、対象企業にとっても一方的に不利益なものとは限りません。
敵対的買収の可能性があることで、現経営陣には「株主利益に資する経営を行わなければ経営権を失う可能性がある」という緊張感が生まれます。
経営陣が自らの利益を優先して株主利益を軽視すれば、株価が低迷し、買収の対象となる可能性が高まるためです。
このような市場からの規律が、経営方針を株主利益に資する方向へ促す効果を持つという考え方もあります。


買収企業側にとってのデメリット・リスク
買収が失敗するリスクがある
気づかないところで対象企業が買収防衛策を講じている場合、目標とする議決権割合を確保できず、買収が失敗に終わることがあります。
また、株式取得によって完全支配を目指しても、市場での株式取得やTOBだけで少数株主を排除し、100%の株式を取得することは容易ではありません。
買収が成立しなかった場合でも、高い価格で取得した株式は手元に残ることになります。

買収後の統合がうまくいかないリスクがある
買収が成功した場合でも、対象企業の従業員が経営体制の変化を理由に離職したり、ブランドイメージの低下によって顧客が離れたりする可能性があります。
また、買収後の経営統合(PMI)が円滑に進まなければ、期待したシナジー効果が得られず、コストだけが残るおそれもあります。

2026年改正でTOB実施義務をより早い段階から検討する必要がある
2026年5月の制度改正により、義務的公開買付けの基準が30%へ引き下げられました。
このため、市場内取引による買収戦略でも、従来より早い段階からTOB実施義務の有無を検討する必要があります。
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敵対的買収の防衛策

敵対的買収の防衛策には様々な種類があります。
代表的なものとして、安定株主の確保、第三者への新株・新株予約権の発行、ポイズンピル、黄金株(拒否権付株式)、取締役の任期ずらし、定款による決議要件の加重、増配、事業計画の株主への積極的な説明、時価総額の向上などが挙げられます。
ここでは、その中でも代表的な「黄金株」と「ポイズンピル」について解説します。


黄金株(拒否権付株式)
黄金株とは、株主総会や取締役会の決議事項に対して、定款で定めた一定事項について拒否権を持つ種類株式のことです。
防衛効果の高さから、「黄金株」という名称が与えられています。

会社法では、一定の株主総会や取締役会の決議事項について、種類株主総会の決議も必要とする旨を定款で定めることが認められています。
これにより、取締役の選任・解任や合併、事業譲渡などの重要事項について、種類株主の承認を要件とすることができます。
そのため、黄金株を活用することで、買収者が自社の意図に反する経営を進めようとした場合に、一定の歯止めをかけることが可能です。

例えば、創業者や特定の株主にあらかじめ黄金株を発行しておけば、敵対的買収者が経営陣を一新しようとした場合でも、定款で定めた重要事項については決議を阻止できる可能性があります。
また、黄金株のみを譲渡制限株式とすることも可能なため、買収者が黄金株を取得して拒否権を掌握するリスクも抑えられます。

一方で、黄金株は経営陣による支配権維持のために利用されるおそれもあることから、上場会社では導入に慎重な企業が多く見られます。
非上場会社では、事業承継や支配権維持の観点から導入が検討されることがあります。


ポイズンピル
ポイズンピル(毒薬条項)とは、敵対的買収に備えてあらかじめ新株予約権を活用した仕組みを定めておき、買収者が一定割合(例:15〜20%)まで株式を買い集めた場合に、買収者以外の株主が新株予約権を行使することで発行済株式数を増やし、買収者の議決権割合を低下させる買収防衛策です。

会社法では、一定の事由が生じた場合に会社が新株予約権を取得できる「取得条項付新株予約権」を活用した買収防衛策も認められています。
一方で、ポイズンピルは経営陣による支配権維持のために利用されるおそれもあるため、導入や発動にあたっては株主意思を反映させることが重要とされています。


その他の防衛策
その他の地道な対応として、増配や自社株取得によって既存株主の保有意欲を高めたり、事業計画を株主へわかりやすく説明して現経営陣への信頼を高めたりすることも、結果的に有効な買収防衛策となります。
株主から信頼される経営を続けることが、最も根本的な買収防衛策といえるでしょう。
なお、企業として買収防衛策を検討する際には、2026年5月の改正内容も踏まえる必要があります。
大量保有報告書を適時に確認するとともに、防衛策の内容が改正後のTOBに対応しているかを定期的に見直すことが重要です。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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敵対的買収は、対象会社の取締役会の賛同を得ずに株式取得を通じて経営権の取得を目指す買収手法です。
2026年5月の制度改正では、TOBの義務付け基準が30%へ引き下げられるなど、企業を取り巻く買収ルールが大きく見直されました。
制度の仕組みや改正内容を正しく理解し、平時から自社に適した買収防衛策を検討しておくことが重要です。

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