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経理/財務消費税 最終更新日:2026/09/17

インボイス制度、2026年10月から控除可能割合が「70%」へ!まだまだ続く制度変更と経理で注意したいポイント

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  • 2026年10月から、免税事業者等からの仕入れに係る仕入税額控除は80%から70%へ縮小し、経過措置は2031年9月まで段階的に継続する。
  • 2026年10月1日以後に開始する課税期間から、経過措置を適用できる課税仕入れの上限は、取引先ごとに10億円から1億円へ引き下げられる。
  • 経理担当者は、控除割合の低下による納税影響額を試算し、取引先の登録状況や帳簿の区分、会計システムの設定を2026年10月までに確認することが重要である。

2026年10月から、インボイス制度の経過措置が大きく変わります。
免税事業者等からの仕入れに係る仕入税額控除は、これまでの80%から70%へ引き下げられる一方、経過措置の適用期限は延長され、新たに30%の控除割合も設けられました。
また、取引先ごとの控除限度額の引き下げや、法人の「2割特例」の終了、個人事業者向け「3割特例」の新設など、経理実務に関わる変更もあります。
今回の記事では、2026年10月以降のインボイス制度の変更点を整理するとともに、税負担への影響や取引先の棚卸し、会計システムの確認など、経理担当者が今から準備しておきたいポイントを解説します。

【2026年10月】インボイス経過措置改正内容の全体像とスケジュール

2023年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、制度開始による急激な税負担・事務負担の増大を避けるため、いくつかの時限的な経過措置を設けて運用されてきました。
導入から3年となる2026年10月、免税事業者等からの仕入れに係る経過措置をはじめ、負担軽減措置の内容が変わります。


免税事業者等からの仕入税額控除は段階的に縮小、取引先ごとの上限も1億円に
控除可能割合の見直し
経過措置では、一定の要件を満たす帳簿と区分記載請求書等の保存を条件に、インボイス発行事業者以外の免税事業者等からの仕入れであっても、消費税相当額の80%を控除することが認められていました。
2026年10月1日以後、この控除割合が80%から70%へと縮小されます。
また、令和8年度の税制改正により、負担増をより緩やかにするための「70%」及び「30%」という控除割合が新たに設けられ、経過措置全体の適用期限も2年間延長されました。

当初の計画では、2026年10月以降の控除割合は80%から50%へと引き下げられ、2029年10月には経過措置が終了する予定でした。
しかし、物価高の影響など、中小・小規模事業者を取り巻く厳しい経営環境を考慮し、今回の税制改正で見直されています。
この見直しにより、免税事業者等からの仕入れに係る仕入税額控除の経過措置は、以下の通り段階的に縮小し、最終的に2031年9月30日をもって終了します。

免税事業者等からの仕入れに係る仕入税額控除の経過措置スケジュール
適用期間 控除割合 備考
2023年10月1日〜2026年9月30日 80% 改正前からの措置
2026年10月1日〜2028年9月30日 70% 今回の改正で新設
2028年10月1日〜2030年9月30日 50% 改正前から割合・適用期間を見直し
2030年10月1日〜2031年9月30日 30% 今回の改正で新設
2031年10月1日〜 0% 経過措置終了
※参考資料:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について

控除限度額の見直し
また、買い手企業側で注意が必要なのが、「一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れ」に対する金額上限の見直しです。
現行制度では、同一のインボイス未登録の事業者などからの課税仕入れの合計額について、その年または事業年度ごとに10億円まで経過措置を適用できます。
ただし、2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、この限度額が10億円から1億円へ引き下げられます。
つまり、同一の取引先からの対象となる課税仕入れが1億円を超えた場合、その超過部分には経過措置を適用できません。

特定の外注先や仕入先に対して多額の支払いを行っている企業では、取引先ごとの年間累計額をこれまで以上に厳密に確認する体制が必要になるため、注意しましょう。


法人の「2割特例」は終了、個人事業者向けに「3割特例」を新設
「2割特例」とは、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者となった事業者が、売上税額の2割を納税額とすることができる特例です。
この2割特例について、法人の場合は2026年9月30日を含む課税期間で適用終了となります。
例えば3月決算法人では2027年3月期までです。

一方、2027年分と2028年分の消費税の確定申告では、インボイス登録を機に免税事業者から課税事業者となった一定の個人事業者に限って、売上税額の3割を納税額とする「3割特例」が新設されます。
これは、これまでの2割特例と同様に、インボイス登録に伴う税負担を軽減するための措置です。

法人は3割特例の対象外であるため、2割特例の適用終了後は、本則課税または一定の要件を満たす場合には簡易課税で申告することになります。
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インボイス制度改正による企業への影響は?納税額と取引への影響を確認

経過措置の控除割合が段階的に縮小することは、買い手企業にとって、これまで差し引くことができていた仕入税額控除が減少することを意味します。
事実上、消費税の負担が増えることになるため、控除割合変更後にいくらコストが増加するのかを事前に確認しておくことが重要です。


控除割合の低下に伴う納税額の変化(計算例)
免税事業者である仕入先から、年間800万円(税込880万円)の課税仕入れを継続している場合を想定します。

免税事業者からの仕入れに係る消費税負担額の推移(年間仕入800万円のケース)
適用期間 控除割合 控除できる金額
(仕入税額控除)
仕入税額控除できない金額
制度開始〜2026年9月末 80%控除 64万円 16万円
2026年10月〜2028年9月末 70%控除 56万円 24万円
2028年10月〜2030年9月末 50%控除 40万円 40万円
2030年10月〜2031年9月末 30%控除 24万円 56万円
2031年10月〜(終了後) 0%(控除不可) 0円 80万円
上記の例では、2026年10月を境に、仕入税額控除できない消費税相当額は16万円から24万円へと1.5倍に増加します。
このように、免税事業者との取引割合が高い企業ほど、仕入税額控除できない金額が増え、キャッシュフローや損益にも影響を及ぼします。
外注先や単発の経費支払先も含め、免税事業者との取引がどの程度あるかを改めて確認し、影響額を試算しておくことが重要です。


3割特例がもたらす取引への影響
3割特例は、売り手である個人事業主側の支援措置ですが、買い手である企業にとっては、取引先とインボイス登録について改めて協議する機会にもなります。
これまで「消費税の納税義務が発生すると手取りが激減する」という理由でインボイス登録を拒んでいた個人事業主に対して、3割特例がある状況なら、課税事業者になっても手取りへの影響を最小限に抑えられることを伝えられるためです。
今後の取引条件なども踏まえ、このタイミングで改めてインボイス登録について話し合ってみるのもよいでしょう。
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2026年10月のインボイス制度改正に向けて経理担当者が準備すべきこと

2026年10月の改正をスムーズに乗り切るため、経理の現場で今からでも間に合う対応策を紹介します。


納税影響額の試算
まずは免税事業者等との取引状況を整理し、控除割合の引き下げによる影響を把握しておくことが重要です。
直近1年間の仕訳データから、適格請求書発行事業者以外の「免税事業者」や「未登録者」に対する支払実績を洗い出し、10月以降に控除割合が70%に下がることで、自社の納付消費税額が具体的にいくら増えるのか、事前にシミュレーションしてみましょう。
そのうえで、年間の予算や納税準備資金に反映させると見通しが立てやすくなります。


取引先の棚卸し
影響が大きい取引先については、必要に応じて今後の取引条件などについても協議を進めましょう。
個人事業主に対しては「3割特例」という負担軽減措置が用意されていることも踏まえ、取引相手の状況に配慮しながら、双方の合意のもとで丁寧に協議することが重要です。
ただし、取引条件を見直す際には、中小受託取引適正化法や独占禁止法への配慮が不可欠です。
「課税事業者にならないなら取引を停止する」、「控除が減る10%分を一方的にすべて値下げする」といった強硬な交渉は、法律に抵触するリスクがあります。

※関連記事:中小受託取引適正化法、下請法から何が変わった?フリーランス法との違いと支払い・手数料の見直しポイント


仕入税額控除で注意したい実務上のポイント
仕入税額控除を適切に行うためには、少額特例の対象要件や、経過措置を適用するための帳簿への記載についても改めて確認しておく必要があります。

1万円未満の少額特例には対象事業者の要件がある
「1万円未満の取引なら、インボイスを回収しなくても帳簿保存だけで仕入税額控除できる」と考えている場合は注意が必要です。
この少額特例を適用できるのは、「基準期間(2年前)の課税売上高が1億円以下」または「特定期間の課税売上高が5,000万円以下」の事業者に限られています。
そのため、基準期間の課税売上高が1億円を超え、かつ特定期間の課税売上高も5,000万円を超える事業者は、少額特例を適用できません。

こうした事業者では、1万円未満の「コインパーキング代」や「消耗品費」、「飲食代」であっても、原則として仕入税額控除に必要な請求書や領収書などを保存する必要があります。
また、仕入先が免税事業者等の場合は、経過措置の対象となる取引として適切に区分・管理することも必要です。
自社が少額特例の対象となるかを改めて確認し、全社的な経費精算ルールにも反映しておきましょう。

※参考資料:国税庁「少額特例(一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置の概要)の概要

70%控除には帳簿への記載も必要
経過措置を適用して70%控除を受けるためには、区分記載請求書等の保存だけでなく、帳簿に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を記載する必要があります。
これまで「80%控除対象」など、控除割合を含めて管理していた場合は、2026年10月1日以後の取引について「70%控除対象」など、新しい控除割合に対応した区分へ切り替えましょう。
適切に区分されていないと、消費税の計算時にどの取引にどの控除割合が適用されるのか、確認に手間がかかる可能性があります。
また、会計システムの税区分やフラグで管理している場合は、経過措置の対象となる取引が正しく帳簿に反映され、消費税額の集計にも適切な控除割合が適用される設定になっているか確認しておきましょう。


会計システムの事前確認
今回の改正を踏まえて細分化される経過措置の税区分・適用スケジュールや、取引先ごとの年間1億円の上限管理は、煩雑になりがちな作業です。
これまでこうした管理を手作業やExcelで行ってきた場合でも、今後はミスのリスクが高まり、取引量の多い企業では実務上の負担も非常に大きくなります。
これを機に、会計システムの導入を検討するのもよいでしょう。

また、既に会計システムを利用している企業は、2026年10月以降の70%控除に対応した税区分や自動集計、取引先ごとの累計額管理など、今回の改正に必要な機能や設定に対応しているかを事前に確認しておきましょう。
特に10月以降の取引については、適切な税区分や控除割合が反映される環境をあらかじめ整えておくことで、経理担当者の確認作業や事務負担を大幅に軽減できます。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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2026年10月の改正に向けて経理担当者に求められるのは、制度変更を把握するだけでなく、自社への影響を具体的に洗い出しておくことです。
特に免税事業者等との取引が多い企業では、控除割合の引き下げによる負担増がどの程度になるのかを早めに試算しておきましょう。
併せて、取引先の登録状況や会計システムの対応状況、経費精算ルールなどを確認し、2026年10月以降も正しく処理できる体制を整えておくことが重要です。

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