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経理/財務管理会計 2021/08/16

管理会計とは?財務会計との違いや中小企業にとっての必要性、作成方法を解説!

企業経営で最も大切なことは、自社の現状を把握することです。自社の現状がわからなければ経営層は意思決定をすることもできません。管理会計の目的は、そうした経営層の意思決定の材料となる数量データを提供することにあります。大企業を中心に導入が進んできた管理会計ですが、近年は中小企業こそ、その必要性が声高に言われています。そこで、今回は中小企業の経理担当が知っておくべき管理会計の基礎知識をお届けします。

  • 投稿日:2018/08/14
  • 更新日:2021/08/16

管理会計とは

まず、管理会計についておさらいしてみましょう。企業における会計は、管理会計の他に財務会計、税務会計に大別されます。財務会計は、財務諸表によって株主や取引先、債権者などのステークホルダーへ報告するための会計です。税務会計は、税金を計算するための会計で、税務申告という形で税務署に報告される会計です。

財務会計も税務会計も、社外的な報告を目的とするため一定のルールに基づいて申告書などを作成する必要があります。いずれも、過去のデータを取りまとめたもので、会社の現状が分かりやすい形としては見えてきません。ゆえに、経営層の意思決定の材料には向かないと言われています。

一方、管理会計は、業績評価、経営状態の把握、経営戦略や経営計画の策定、事業・商品別の会計情報などを数字データで表したものです。これは「会社の今」を可視化したデータと言えます。社内向けの資料となるので、財務会計や税務会計などのように法的なルールはなく、各企業の視点や経営者の目指す指標が強く反映されたものになりがちです。

なぜ、中小企業に必要なのか

管理会計は、会社の現状を把握する数字データであると先述しました。その必要性を明示するために、財務会計の盲点についてふれたいと思います。財務会計では、損益計算書(P/L)などによって利益が示されます。利益は(収益 − 費用)で算出されますが、正確に算出しても自社の現状に反映されるとは限らないという問題があります。

なぜならば、企業の取引では収益や費用は発生主義によって、取引発生時に計上されますが、実際にキャッシュが入ってくるのは数カ月後になるケースが多くみられるからです。その間は、売掛金として資産の一部に計上されるものの、キャッシュは入ってきていないという状況になります。

企業は、キャッシュが尽きたら倒産してしまいます。利益を出しているのに倒産する「黒字倒産」が起きるのはこのためです。倒産まで至らないとしても、事業部が多岐にわたり商品も豊富にあると、それぞれ個別の会計情報を把握するのが困難となり、キャッシュの減少に気づかなかったり、その原因を突き止めるのが難しくなったりします。キャッシュが潤沢にない中小企業ほど、リアルタイムかつ詳細な会計情報の把握が必要となります。

管理会計の代表的な手法

先述したように管理会計は、決められたルールやフォーマットがあるわけではなく、経営者や会社が何を重視するかによって導入手法は変わっていきます。ここでは、その代表的な手法をご紹介します。

●損益分岐点分析
損益分岐点分析とは、損失と利益がちょうど分岐するポイント。つまり、売上高と総コストが一致し、利益が0になる分岐点です。このポイントを知ることで、黒字にするためにはどれくらいの売上が必要かを把握することができます。また、これを応用させることで、事業別や製品別での採算性の比較を行い事業の見直しなどの戦略に結びつけることができます。

●予実管理
予実管理とは、企業の予算と実績を管理すること。企業の営業部では、通常売上や仕入れなどの数値目標を予算として立てていきます。この予算通りに販売実績が推移しているかを確認して管理することが予実管理です。予算に対して実績が足りない場合は、何が足りないのか、どうすれば達成できるのか、分析していきます。

●部門別会計
部門別会計を行うことで、部門ごとの売上の増減、費用の発生状況、費用対効果など、各部門の収益性や将来性を分析することができ、予算管理の適正化にもつながります。事業の集約や不採算事業の撤廃など、経営者の戦略や方針を決める重要な指針となります。

株式会社エフアンドエムによる管理会計実態調査によると、損益分岐点分析を導入している中小企業は26.2%に止まります。部門別会計を実施して営業利益を計算している企業は34.2%、予算を立てている企業は30.1%といずれも低い数値となっています。中小企業こそ、必要な管理会計。その導入をサポートするのも経理担当の重要な役割です。

※参考資料:管理会計実態調査
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管理会計を導入していない中小企業が多いということは、今後導入によって経営革新が起きる可能性も高くなります。それを先導するのが言うまでもなく経理担当です。IT化推進とともに、管理会計の導入は今後の経理部門の大きなテーマとなります。本文でご紹介した管理会計手法は、会計ソフトやERPなどのシステムでより容易にとり入れることができます。経理担当として、頭に入れておきたいポイントのひとつです。

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