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経理/財務管理会計 2017/07/11

経理担当者必読!財務会計と管理会計の違いとは

ご存知の方も多いと思いますが、会計は財務会計と管理会計の2種類に分けられます。大企業など組織が多岐に及ぶ組織では、財務会計は経理部で行われ、管理会計は経営企画部や戦略部が担うとされています。しかし、近年では経理部門でも財務会計だけでなく管理会計も担うべきではないかという意見が見受けられます。なぜなのでしょうか。財務会計と管理会計の違いをもとに、その理由を解説します。

財務会計とは?

財務会計とは、企業活動の成果を損益計算書や貸借対照表などの財務諸表として報告することを第一の目的とした会計です。報告する相手は株主、債権者、取引先、仕入先などの外部の関係者で、これらをステークホルダーと呼びます。

ステークホルダーの中でも財務諸表に最も関心をもつのが銀行や大口の仕入先などの債権者です。債権者は、その会社に貸付金や売掛金があるので与信管理の上でも財務諸表が重要となります。その他のステークホルダーにとっても、会社の会計情報を把握するための大切な資料と言えます。

財務会計は、すべての法人企業に適用される会社法・商法・法人法によって規定され、一定のルールに準じて会計処理と報告がなされます。そのための日々の業務や必要資料を作成するのが経理の大切な役割です。

管理会計とは?

管理会計とは、主に経営者が将来の意思決定を行うために、会社の現況を把握し、正確に分析するための会計です。あくまでも経営者が意思決定するための情報提供なので、外部に報告する義務も、法的な規制を受けることもありません。

内部資料なので分析対象や分析手法、アウトプットの方法など、すべて経営者の自由裁量で決められます。従って、管理会計の範囲はとても幅広いものになります。例えば、製品別や各部門別の原価計算、損益分岐点分析、キャッシュフロー分析、安全性や収益性など、 多様な側面からの経営分析、予算管理、事業評価指標、投資案件の適否判断があります。

このように、管理会計は会社経営を多面的に分析していくための情報提供と言えます。組織内部の業績測定や業績評価などにも活用されるため、会社にとって重要な内部資料となります。

  財務会計 管理会計
誰に 外部のステークホルダー 内部の経営管理者
何を 会社の利益 経営に役立つすべての情報
いつ 決算期ごとに作成 必要な時にいつでも作成
どのように 法律に従う 自由な形式
内容 過去の実績 現状と将来の予想
範囲 会社全体 多面的に細分化

経理が担うのは?

財務会計と管理会計は明確に違うということがわかったと思います。しかし、会社経営の実務においては、切り離すことができないものです。なぜなら、管理会計の目的のひとつ、合理的な意思決定を行うためには、財務会計から得られる情報が不可欠だからです。

例えば、ある投資案件の適否を判断する際は、当該案件からもたらされるキャッシュフローをいくら見込むかを想定する必要があります。これは管理会計の領域ですが、その意思決定を行う判断材料となるのは、いつ、いくらの利益があるのか、つまり損益計算書(財務会計)が重要な指針となります。

このように精度の高い管理会計を実行するためには、財務会計の客観的な情報が不可欠となります。また、財務会計にとって管理会計とは、財務会計が抽出した事業の現況や問題点を分析・改善するために、やはり不可欠な存在と言えるのです。

しかし、大企業などでは財務会計は経理部で、管理会計は経営企画部や戦略部が担うケースが多いようです。先述したように、財務会計と管理会計は綿密に情報共有がなされる必要があります。財務会計を担う経理部が管理会計も兼ねるというケースがもっと増えるべきではないでしょうか。経理担当にとっても、管理会計の知見と経験は、経営者の右腕として成長するための貴重な礎となるはずです。
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会社の経営状況や財政状態などの業績を法規制に基づいて社外のステークホルダーに報告する財務会計は、経理担当にとって重要な任務です。しかし、これからの時代は財務会計の客観データをベースに、経営者の意思決定をサポートする管理会計の領域も不可欠となります。経営者から本当に必要とされる経理担当になるために、今から意識して管理会計について学んでいきましょう。
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