「おぉ、お主からそんな言葉が聞けるとは。これまでのワシの苦労も報われるわい」
いつものごとく、どこからともなく現れた会計仙人が大げさに涙を拭くマネをする。理子はそんな仙人にジトっとした視線を向けた。
いつものごとく、どこからともなく現れた会計仙人が大げさに涙を拭くマネをする。理子はそんな仙人にジトっとした視線を向けた。
「なんかバカにされているような…」
「そんなわけないじゃろう。本心じゃよ、本心。それよりも理子よ、データで送られてきた請求書の管理は問題ないかの」
「今は、普通に印刷して、処理した後にファイリングしてるわ」
「…ふーん」
「…そ、そりゃ私だって、印刷せずにデータで管理した方がいいのはわかってるけど、今の社内体制だとすぐにそうすることができないのよ。大人の事情ってやつよ」
「しかし、体制変更は急いだほうがいいと思うぞ。なんせ2022年1月からは、電子データで送られてきた請求書を紙で保存するのはNGになるからのぅ」
「えっ!?そんなの私、聞いてない!」
「おっと、やっぱりそうじゃったかの」
「やっぱりってどういうことですか?そんな大事なことなら、早く教えてくださいよ!」
「まぁまぁそう怒りなさんな。確かに、前回、電子帳簿保存法で緩和されたポイントを紹介した時に、紙での保存が廃止される話については忘れていたような気はしてたんじゃ」
「もう、そんなんじゃ本当にただのおじいちゃんになっちゃいますよ」
「誰がおじいちゃんじゃ!せっかく教えてやろうと思って来たというのに」
「あーわかったわかった、ごめんなさい!
とりあえず早く教えてください!なんとしてでも2022年の1月に間に合わせなきゃいけないんだから!」
とりあえず早く教えてください!なんとしてでも2022年の1月に間に合わせなきゃいけないんだから!」
「うむ。まぁワシも忘れてたのは事実だしの。では気を取り直して…」
こうして今日も、会計仙人による『電子取引のデータ保存義務化』の解説が始まったのであった。
こうして今日も、会計仙人による『電子取引のデータ保存義務化』の解説が始まったのであった。
神妙な顔でパソコンを見つめながら、理子はそれらしい独り言をつぶやく。会計仙人から「電子帳簿保存法」について教えてもらってから、経理の電子化に熱が入っているらしい。