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会計処理 2021/07/07

電子帳簿保存法の要件が2022年に変わるってホント?導入するなら今がチャンス!(新米経理の会計奮闘記 第10回)

新米経理の会計奮闘記 登場人物
  • 山本理子

    ようやく経理担当になったものの、分からないことだらけ。毎回様々な経理問題に頭を悩ます。曲がったことが大嫌い。

  • 会計仙人

    突如現れて、会計問題をわかりやすく解説してくれる謎の仙人。仏陀の会計担当だったらしい。

前回の記事で、会計仙人から「電子帳簿保存法」のイロハを教えてもらった理子。今回は、2022年1月から適用される「タイムスタンプ要件の緩和」や「承認制度の廃止」といった4つの要件について説明してもらえるようです。
電子帳簿保存法に興味をお持ちの方は、理子と一緒に確認してみてくださいね。

2022年から変更となる電子帳簿保存方法の内容


「さて、今日は会計仙人から電子帳簿保存法について聞くために会議室を用意したわよ」
理子は誰もいない会議室にクッキーを並べ、お茶を淹れる。

「会計仙人~!お茶が入りましたよ~」

「なんじゃ、そのおじいちゃん扱いは」
理子の向いの椅子に、どこからともなく会計仙人が現れた。

「まぁまぁ、いいじゃないですか。今日はこうしておもてなしの準備もしたわけなんですから」

「うむ。悪くはないの」
おもむろにクッキーをほおばる会計仙人の前に湯呑を置いて、理子は目を輝かせる。

「じゃあ、この間の電子帳簿保存方法の話の続きをお願いね、おじいちゃん!」

「わかったわかった…って呼び方が『おじいちゃん』になっとるぞ!」

「あら、ごめんなさい。
…コホン、会計仙人、今日は電子帳簿保存方法を会社に導入するために、どんな注意点があるのか教えてほしいんですけれど」

「うむ、よかろう」
会計仙人はお茶を一口飲むと、理子に向き直った。

「電子帳簿保存方法を導入するには様々なルールがあるということは、前回話した通りじゃ。
ただし、その内容の一部は2021年の税制改正で変更されておる。そしてその変更が適用されるのは2022年1月からなのじゃ。つまり来年からは、より簡単に電子帳簿保存法を導入できることになる」

「前回、説明してもらったタイムスタンプの要件もその変更点に含まれるわけね」

「その通り。注目すべきは以下の4つじゃ」

■電子帳簿保存法改正の4つのポイント
  • 承認制度の廃止
  • タイムスタンプ要件の緩和
  • 適正事務処理要件の廃止
  • 検索要件の緩和

「それぞれの項目について、ひとつずつ説明していくぞ」

「よろしくお願いします!」

承認制度の廃止とは


「まずは承認制度の廃止について説明しよう」

「これって、電子帳簿保存法を導入するには誰かの承認が必要ってことですか?」

「その通りじゃ。2021年7月現在は、所轄の税務署に申請書を提出して承認を得る必要がある。期限は電子帳簿保存法を導入する月の3カ月前じゃ」

■電子帳簿保存法の申請書類
  • 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書/国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請
  • 電子保存で使用するソフトの概要を記載した書類
  • 電子保存を行うPCに関する事務手続の概要を記載した書類(保存処理を委託している場合には、その委託契約書の写し)

「いますぐ電子帳簿保存法を導入したい場合は、上記の書類を揃えなければならん」

「うわぁ、この書類を全部揃えるだけでも時間がかかりそう」

「そうじゃろうな。しかし、2022年1月からは承認自体が不要となる」

「提出書類が減るとかじゃなくて、承認自体が要らなくなるんですか?」

「さよう。従って、社内環境が整い次第、好きなタイミングで電子帳簿保存法の活用をスタートすることができるのじゃ」

「それって、ものすごい朗報じゃないですか」

「そうじゃろう。だからこそ、このタイミングで電子帳簿保存法を取り入れようという企業も多いのじゃよ」

「でもどうして、承認制度をごっそりやめちゃうんでしょうか」

「それはな、理子よ。お主のような者がおるからじゃ」

「えっ!?」

「ほっほっほ。要するに、申請書の作成にかかる手間、承認されるまでの待機時間などを考慮すると、導入をためらう者が多かったということじゃよ。電子取引の利用促進、テレワークの推進なども理由のひとつじゃ。」

「せっかく電子帳簿保存法があっても、使う人が少なかったら意味がないってことですね」

各要件の改正ポイント


「続いて、『タイムスタンプ要件』の話をしよう」

「改ざんを防ぐためにある要件ですよね。
確か、受領者の自署が必要なのと、原本作成から3営業日以内にタイムスタンプを付与しなければいけなかったような」

「よく覚えておるのぅ。
しかし残念、そのルールは全部変更じゃ。タイムスタンプの際に自署は不要、そして付与期限も最長2カ月に延長となるぞ」

「に、2カ月!?3日から2カ月って…スケールが違うわ」

「さらに、利用するソフトによっては、タイムスタンプそのものが不要になるのじゃ」

「面倒だと思ってたタイムスタンプ要件がこんなに緩和されちゃうなんて…」

「要件が変更となったのはタイムスタンプだけではない。他に『適正事務処理要件』と『検索要件』もあるぞ」

「それはどういうものなんですか?」

「適正事務処理要件とは、不正防止のために社内規定を整備する目的の要件じゃ。従来の電子データに関する事務処理には『相互けん制』、『定期的な検査』などの決まり事があったんじゃよ」

「どんな決まりなんですか?」

「相互けん制とは、2人以上で電子化の作業に対応しなければならないというものじゃ。不正がないよう互いに見張りを立てるということじゃな。
定期検査は、電子データ保存後に不正がなかったか検査するためのものじゃ。そのために原本も保管し続ける必要があった」

「それって紙も保管するってことですか?電子データ化する意味がないんじゃ…」

「さよう。そのため、『相互けん制』、『定期的な検査』、そして『再発防止策』という要件は廃止になったのじゃ」

「それに伴って、適正事務処理要件が廃止になったってことですね」

「うむ。来年からは1人で電子化する作業ができるし、原本の破棄も早急に行えるぞ」

「もう一つの、検索要件っていうのはなんですか?」

「作成した電子データを検索するために設ける項目のことを『検索要件』というんじゃ。
これまでの電子帳簿保存法では、勘定科目や帳簿の種類など様々な項目が検索要件として求められておった。それが改正後は年月日と金額、取引先のみになるのじゃ」

「どの改正内容を確認してみても、劇的な変更って感じがしますね。
これならウチの会社でも電子帳簿保存法を導入できそうな気がするわ!」

「待て待て。実は法的要件はこれだけではないのじゃ」

「えっ…じゃあ、要件緩和されたこの3つのポイントはいいとして、まだまだ複雑な要件がたくさんあるってこと?
そんな~だまされた…!」

「だまされたとは心外じゃのぅ。
安心せい!ちゃんと対策があるぞ!」

電子帳簿保存法に対応したソフトの準備が大切!


「仙人の言う対策を使えば、電子帳簿保存法は簡単に導入できるんですか?」

「当たり前じゃ。 その方法とは…ズバリ、電子帳簿保存法に対応したソフトを導入することじゃ」

「それを使えば、さっき仙人が言っていた法的要件もクリアできるってことですよね。
ちなみに、その法的要件って、どんなものなんですか?」

「法的要件は、真実性と可視性の確保をするために存在しておる。
データの履歴の確認や出力条件など、細か~いルールが決まっているんじゃ」

「その様子だと、一つ一つ確認していったら日が暮れそうな予感…」

「さらにじゃ。今回の改正のように、電子帳簿保存法の内容は年々変更するから…」

「一度覚えただけじゃダメなのね!やっぱり私には電子帳簿保存法を活用するのはムリかも」

「だから言ったじゃろう。電子帳簿保存法に対応したソフトを使えばよいと」

「それが本当ならまさに救世主ですけれど、そんな細かい要件に対応しているソフトなんてどう探せばいいんですか?」

「JIIMAの認証を受けているか確認すれば、対応しているソフトを探すのは簡単じゃぞ」

「JIIMA認証?」

「文書情報管理に関わる活動に取り組んでいる公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が、国税庁からの依頼を受けて、各要件を満たしているかどうか判定してくれているんじゃよ」

「JIIMA認証を確認しつつ、ソフトが要件を満たしているか確認すればいいのね。それならできそうだわ」

「ただし、JIIMA認証の中にも『電帳法スキャナ保存ソフト認証』『電子帳簿ソフト法的要件認証』などの種類があるから、注意するように。
それも踏まえて、まずはJIIMA公式サイトにあるリストを確認するとよいぞ。
要件ごとにソフトウェアが提示されておるから、必要なソフトが検討できるようになっているわい」

「でもやっぱり、お金はかかるのよね?」

「当然じゃ。しかし考えてもみよ。ソフトにかかる費用は一時的なものじゃが、それによって大幅に業務効率が上がるんじゃぞ。
多少の初期投資はせんと成長は見込めん 」

「確かに、電子帳簿保存法を導入したときのメリットを考えると、結果的に安いものなのかもしれないわね」

「さよう。この後、会社が予算を割いてくれるかどうかは、お主のプレゼン次第じゃな」

「やってみます!
でもJIIMA認証ソフトがあって本当によかった。ここまで話を聞いておいて、やっぱり電子帳簿保存法は難しいって結論になったら時間の無駄になっちゃうところだったわ。
さっそくJIIMAのサイトをチェックしてみよーっと」
理子はポケットからスマホを取り出してサイトを見ながら、ひょいひょいっとクッキーをつまんでいく。

「あ、こら。その茶菓子はワシに用意したもんじゃろうが…。
まぁ、やる気になっとるようじゃし、このくらいは目をつぶるか」
残り少ないクッキーに手を伸ばしながら、会計仙人は理子とともに午後のティータイムを楽しむのであった。

※関連サイト:JIIMA「電子帳簿ソフト法的要件認証製品一覧」
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令和3年度税制改正の4つのポイントと、それに対応する製品の選び方「JIIMA認証制度」について会計仙人に解説してもらいました。従来は検討開始から導入まで半年ほど必要だった電子帳簿保存法も、2022年1月からはより短期間での導入が見込めます。とはいえ、ソフトウェアの導入はもちろん、それ以前の自社の環境の整理など、ある程度の準備期間は必要です。年明けとともに電子帳簿保存法を活用できるよう、今から準備を進めてみてくださいね。

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