「なんじゃ、またヒステリーか?やれやれ…勘弁してほしいのぅ…」
「キャー!会計仙人!一体いつからいたんですか?」
「たった今じゃよ、最近どうしておるかと思って様子を見て見たら、何事じゃ」
「領収書の整理をしてたんです」
「そんな手荒に整理するヤツがおるか」
「ち、違いますよ!私だって普段はクールに仕事してます。でも見てください、これ」
理子が仙人にファイルを見せる。
そこにファイリングしてある領収書は日付や案件もバラバラで、印字されていた文字も掠れていた。
理子が仙人にファイルを見せる。
そこにファイリングしてある領収書は日付や案件もバラバラで、印字されていた文字も掠れていた。
「なるほど、ずいぶん雑な管理じゃなぁ。お主らしい」
「ちょっと、よく見てください!これ5年前の領収書ですよ。私、5年前はこの会社にいなかったんですから」
「ということは別の者がこのファイルを作ったのか」
「そうです。私が担当したファイルはこっち!」
理子が仙人に差し出したファイルは中身が綺麗に整頓されている。
理子が仙人に差し出したファイルは中身が綺麗に整頓されている。
「このファイルを作ってるときに、ふと、前の領収書管理の仕方はどうだったのかなと思って調べてみたんです。そうしたらこの有様で…」
「なるほど、だからイライラしておったのか」
「当然ですよ!見てください、私のこの美しい管理の仕方!ちゃんとExcelのデータとも連動してるんですよ」
「素晴らしい!お主、意外と几帳面なところもあるんじゃのぅ」
「でしょ!」
仙人に褒められて、理子もすっかり気をよくしたようである。
仙人に褒められて、理子もすっかり気をよくしたようである。
「しかし、この管理方法はかなり時間がかかるんではないかのぅ」
「うっ…それは…時間はかかりますけれど。でも綺麗に整理しないと、後から見返すときに困るし」
「もちろん、領収書などの証憑を管理する目的の1つは『取引のエビデンスを残す』ことじゃからの。正しく管理することは大事なことじゃ。
しかしそればかりに時間を取られるわけにもいかんというのが素直なところではないかの?」
しかしそればかりに時間を取られるわけにもいかんというのが素直なところではないかの?」
「はぁ~。そうなんです。綺麗にファイリングしようとすると、どうしても時間がかかるんですよね。もっと楽に管理できる方法があればいいのになぁ」
肩を落とす理子に向かって、仙人がおもむろに問いかける。
肩を落とす理子に向かって、仙人がおもむろに問いかける。
「なんじゃお主、『電子帳簿保存法』を知らんのか?」
「あぁ、それってアレですよね。帳簿や証憑をデータで管理できるっていうヤツ。でも色んなルールがあるみたいだし、導入したらかえって大変そう」
「ほっほっほ。お主もまだまだじゃなぁ。それでは今日は電子帳簿保存法について解説してやろう。きっと役に立つはずじゃ」
「言われてみると、難しそうっていう印象だけで、ちゃんと調べてなかったかも…。
よし、この機会に勉強してみるわ!」
よし、この機会に勉強してみるわ!」
イライラした様子で、何かのファイルを机に叩きつける理子。
たまたま姿を現した会計仙人は、その音にびっくりして腰を抜かす。