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経理/財務税務(税金・節税) 最終更新日:2026/07/23

グループ法人税制はここに注意!自社が対象となるケースと主な対象取引

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  • グループ法人税制とは、100%の完全支配関係にある法人グループを一体として捉える法人税上の制度であり、要件を満たすと届出不要で強制的に適用される。
  • グループ内で譲渡損益調整資産を譲渡した場合は課税が繰り延べられ、寄付金・受贈益や完全子法人からの受取配当金には通常とは異なる税務処理が適用される。
  • 同一オーナーが100%保有する複数法人も対象となるため、適用関係の見落としや別表4・別表5の税務調整漏れがあると、申告誤りや追徴課税につながるおそれがある。

「自社はグループ法人税制の対象になるのか」、「グループ会社との取引で税務上の注意点はあるのか」。
経理担当者の中には、このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
グループ法人税制は、100%の完全支配関係にある法人グループに適用される法人税上のルールです。
譲渡損益の繰り延べや寄付金の取り扱いなど、通常とは異なる税務処理が求められるため、内容を正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、グループ法人税制の概要や適用範囲、対象となる主な取引と税務処理、実務上の注意点についてわかりやすく解説します。

グループ法人税制とは

グループ法人税制とは、発行済株式の100%を保有する資本関係(完全支配関係)にある法人グループを一体と見なし、グループ内で行われる特定の取引に対して、通常とは異なる税務処理を求めるルールです。
グループ内での資産移転や資金移動を利用した意図的な租税回避を防ぎ、課税の公平性を保つことを目的として、平成22年度(2010年度)の税制改正で導入されました。

この制度には、グループ内で行われた一定の資産譲渡に係る課税を、資産がグループ外へ移転する時点まで繰り延べる仕組みが含まれています。
そのため、制度の内容を正しく理解しておくことで、グループ内取引に伴う税務上の影響を適切に把握できます。

グループ法人税制には届出や承認などの手続きは不要で、要件を満たせば企業の意思に関係なく強制的に適用されます。
完全支配関係がある限り、グループ内の企業は常にこのルールに従う必要があります。


グループ法人税制の適用範囲
完全支配関係は、株式の直接保有だけでなく、間接的な保有や個人を通じた保有も含めて判定されます。
主に次の4つのパターンが該当します。

類型 説明
直接完全支配関係 親会社が子会社の株式を100%直接保有しているケース。最も基本的な形。
間接完全支配関係
(みなし直接完全支配関係)
親会社が100%子会社(完全子法人)を通じて、孫会社の株式を実質100%保有しているケース。
兄弟会社の関係 同一の親会社に100%保有されている子会社同士のケース。
同一の個人・親族による保有 同じ個人(及びその親族など)が複数の法人の株式をそれぞれ100%保有しているケース。
特に見落としやすいのが4つ目です。
オーナー社長が個人で複数の会社を経営している場合、会社間に直接の資本関係がなくても完全支配関係と判定され、グループ法人税制が適用されます。
例えば、社長が100%出資で設立した、飲食店運営会社A社と不動産管理会社B社があるとします。
A社とB社の間に直接の資本関係はありませんが、同じ個人が両社の株式を100%保有しているため、完全支配関係と判定されます。
同族会社では特に見落としやすいため注意が必要です。


グループ法人税制が適用対象外となるケース
次のような場合は完全支配関係が成立せず、対象外となります。

外部資本が少しでも入っている場合
完全支配関係は「100%保有」が絶対条件のため、99.9%でも対象外です。
取引先などが株式を一部でも持っていれば成立しません。

従業員持株会が株式を保有している場合
持株会が株式を持つと親会社などの保有割合が100%に届かず、原則として完全支配関係は成立しません。
ただし、持株会やストックオプションなどによる保有が合計で5%未満の場合は、例外的にその分を除いて判定できるケースもあります。

海外子会社・外国法人が絡む場合
譲渡損益の繰り延べや寄付金といった主要な税務処理は、原則として内国法人(日本の法人)どうしの取引に適用されます。
そのため、外国法人は内国法人の子会社であっても、グループ法人税制の主要な適用対象とはなりません。
一方で、外国法人が親会社であっても、その子会社が内国法人であれば、その子会社はグループ法人税制の対象となります。
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グループ法人税制の対象となる主な取引と税務処理

完全支配関係が成立すると、グループ法人税制により、グループ内の資産譲渡・寄付・配当などの取引について特有の税務処理が求められます。
ここでは、経理実務で押さえておきたい代表的なポイントを5つ解説します。


1.譲渡損益調整資産(簿価1,000万円以上)の譲渡損益は繰り延べ
グループ内で帳簿価額1,000万円以上の資産(譲渡損益調整資産)を譲渡した場合、譲渡側の法人はその時点で譲渡損益を計上せず、その資産がグループ外へ移転するまで課税を繰り延べます。
例えば親会社が含み益のある土地を子会社に売却しても、その時点では譲渡益に課税されません。
後日、子会社がその土地を外部の第三者へ売却するなど一定の事由が生じた時点で、親会社が譲渡益を計上することになります。

なお、譲渡損益調整資産には、土地・建物などの固定資産のほか、有価証券、金銭債権、繰延資産などが含まれます(売買目的有価証券や帳簿価額1,000万円未満の資産などは除きます)。


2.グループ内の寄付金・受贈益は全額が損金・益金不算入
グループ内で寄付(無償の資金提供など)を行った場合、支出した側は全額を損金不算入(経費にできない)、受け取った側は全額を益金不算入(収益にしない)とします。
グループ全体で見れば資金が移動しただけで純資産は変わらない、という考え方です。
例えば親会社が赤字の子会社に100万円を資金援助した場合、親会社では経費にならず、子会社でも課税される利益にはなりません。


3.完全子法人からの受取配当金は全額が益金不算入
100%グループ(完全支配関係)内の子会社から受け取る配当金は、その全額が益金不算入となり、課税対象になりません。
子会社の利益には既に法人税が課されており、配当時に親会社で再び課税すると二重課税になるためです。
子会社から親会社へ1,000万円の配当を行っても、親会社はこの配当に対して法人税を負担しません。


4.100%グループ内の現物配当は適格現物配当として課税繰り延べ
金銭ではなく資産(有価証券や土地など)で配当を行う「現物配当」の場合、完全支配関係にある法人間では適格現物配当となり、譲渡損益を計上せず帳簿価額のまま資産を引き継ぎます。
子会社が保有株式を親会社に現物配当しても、含み益への課税は生じず、親会社が簿価をそのまま引き継ぎます。


5.資本金5億円以上の親会社を持つ子会社は中小特例が不適用
資本金1億円以下の中小企業であっても、資本金5億円以上の法人(大法人)と完全支配関係にある場合、中小企業向けの特例措置が使えなくなります。
実質的に大企業の一部と見なされるためです。

具体的には、年800万円以下の所得に対する法人税の軽減税率や、交際費等の年800万円までの損金算入枠などが利用できなくなります。
大企業の100%子会社となった場合は、中小企業向け特例が適用できなくなることで税負担が増えるケースもあるため、注意が必要です。
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グループ法人税制の注意点とよくある見落とし

最後に、実務でつまずきやすいポイントを整理します。


グループ法人税制は「法人税のみ」が対象
見落とされがちですが、グループ法人税制はあくまで「法人税」のルールです。
グループ内取引で譲渡損益が繰り延べられたり寄付金が損金不算入になったりしても、それは法人税の計算上の話にすぎません。
消費税は通常通り各法人ごとに課税関係が生じます。
「グループ内だから消費税もかからない」と誤解しないよう注意しましょう。


個人オーナーが複数社を経営する場合の適用見落とし
前述の通り、同一の個人が複数の会社を100%保有していると、会社間に直接の資本関係がなくても完全支配関係と判定されます。
経理担当者が他社の資本関係まで把握しきれず、本来必要な寄付金の損金不算入処理を失念して追徴課税を受ける、というケースが起こりがちです。
グループ法人税制の対象範囲を把握することに加え、適用後の税務調整を継続的に管理することも重要です。


譲渡損の繰り延べと別表4・別表5の調整漏れに注意
含み損のある資産をグループ会社に売却し、譲渡損を計上して所得を圧縮する節税策は使えません。
譲渡損益調整資産の損失も、資産がグループ外へ出るまで繰り延べられるためです。

また、これらの処理は会計上の利益と税務上の所得にズレを生むため、法人税申告書の別表4(所得金額の計算)や別表5(利益積立金額の計算)での調整が必要になります。
例えば親会社が簿価5,000万円の土地を子会社へ3,000万円で売却した場合、会計上は次の仕訳で売却損2,000万円を計上します。

借方 金額 貸方 金額
現金預金 3,000万円 土地 5,000万円
固定資産売却損 2,000万円
税務上は、この売却損2,000万円を損金算入せずに繰り延べるため、別表4で同額を加算します。
繰り延べた金額は、将来子会社が土地を外部へ売却した事業年度に別表4で減算し、損失計上のタイミングを合わせます。

このような処理をした場合は、譲渡した事業年度だけでなく、損益が実現する将来の事業年度まで継続して管理する必要があります。
調整漏れは追徴課税につながるおそれがあるため、注意しましょう。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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グループ法人税制は、100%の完全支配関係にある法人グループに強制的に適用される法人税上のルールです。
譲渡損益の繰り延べや寄付金・受贈益の不算入、中小企業向け特例の不適用など、通常とは異なる税務処理が求められます。
適用関係を見落とすと、申告誤りや想定外の税負担につながるおそれがあります。
自社が対象に該当するか不安な場合や、グループ会社との取引の処理に迷う場合は、税理士などの専門家へ相談するとよいでしょう。

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