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経理/財務消費税 2023/04/18

売り手・買い手の立場別ですぐわかる!インボイス制度への対応

2023年10月1日、いよいよインボイス制度がスタートします。消費税の仕入税額控除を受けるためにはインボイス(適格請求書)が不可欠ですから、その交付・受領や保管・利用のための体制づくりに追われている経理部門の皆様も少なくないでしょう。今回は、インボイス制度に対応するために必要な準備や留意点について、さまざまな立場からわかりやすくまとめてみました。

立場によって異なるインボイス制度への対応

適格請求書等保存方式(インボイス制度)への対応は、消費税の課税事業者と免税事業者、取引の売り手と買い手といった立場によって、準備すべき事柄や留意すべきポイントが異なります。ほとんどの事業者は、売り手と買い手という2つの立場に立っているため、インボイス制度では双方を見据えながら準備をしていく必要があります。

そこで今回の記事では、取引の立場ごとに、インボイス制度の開始前にしておくべき準備と開始後の運用で行う業務を整理しておきましょう。

まずは下記の図表をご覧ください。インボイス制度への対応内容を立場ごとにまとめたものです。
皆様の会社がどの立場に立っており、何をすべきなのか、ひと目で把握していただけると思います。

例えば課税事業者の立場から、制度開始までに何をすべきかを見てみましょう。
売り手としては、インボイス発行事業者としての登録申請はもちろん、請求書等のフォーマット改訂、インボイスを交付・保存する体制づくり、税額計算方法の確認などが必要となってきます。
買い手の立場としても、仕入明細書をインボイスとする場合にはやはりフォーマットの改訂が必要となり、インボイスを保存する体制づくり、取引先との調整、税額計算方法の確認などが求められます。

消費税の課税事業者であっても、例外として、インボイスの交付義務が免除される取引があるため、準備を進める際には顧問税理士に詳細を確認しておきましょう。

6年間の経過措置があるインボイス制度

2023年10月1日スタート!といっても、インボイスがない取引についていきなり仕入税額控除ができなくなるわけではありません。仕入税額控除には経過措置が設けられているのです。

インボイス制度開始から6年間は、インボイスがない取引でも帳簿と区分記載請求書等の保存があれば、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できます。

下図のように、はじめの3年間は80%、その後3年間は50%を控除することができ、インボイスがない取引の仕入税額控除が認められなくなるのは、2029年10月以降となります。
もちろん、インボイス制度のスタートまでに準備が完了していることがベストですが、対応が間に合わなかった場合でも、焦らず着実に業務体制を整えることが大切です。

デジタル化・システム化でインボイス対応を効率化

今回改めて、インボイス制度開始前の準備と開始後の運用業務を整理したことで、経理部門がやるべき業務が増えてしまったとお嘆きの皆様もいらっしゃるかもしれません。
しかし見方を変えれば、これは経理業務をデジタル化・システム化して業務効率化を図る好機と言えるでしょう。
ミロク情報サービスでは、インボイス制度に関わる業務を効率化するデジタル化・システム化ソリューションを、3つの切り口からご提案しています。

国税関係書類のペーパーレス化
インボイス制度が始まると保管すべき書類が大幅に増えるため、その保管管理にかかる費用やスペースを考えると、請求書等の国税関係書類を紙文書として交付・受領し続けるのは無理があります。
  • 紙文書で受け取った書類はスキャナ保存する
  • 請求書等はPDFなどの電子データで交付する
といった方法で国税関係書類をペーパーレス化すれば、紙文書の保管管理にかかるコスト、手間、時間、スペースを大幅に節約することができます。電子データであれば検索しやすく、業務での活用性も飛躍的に向上します。

デジタルインボイスの導入
インボイス制度によって注目を集めているのが「デジタルインボイス」です。これは、国際的な標準規格JP PINTに則ってインボイスを電子データ化することで、インボイスの発行・受領に関わる業務を効率化するもので、会計システムに取り込む際の手入力やデータ変換を不要にし、経理業務の自動化を可能にします。インボイスをペーパーレス化するなら、ぜひとも念頭に入れておきたい仕組みです。

AIによる自動仕訳
インボイスを電子データで受け取る場合や、スキャナ保存したインボイスにOCR機能で文字データを付加する場合には、金額や税率などの数値、取引先名や摘要などをデータとして扱うことができ、さらにはAIによる自動仕訳が可能になります。
AIによる自動仕訳では、金額や取引先名などが自動で取り込まれ、仕訳が自動で作成されます。仕訳ルールは自社で登録できるほか、過去の仕訳からAIが学習していくことも可能です。経理担当者は手作業で仕訳入力をする必要がなく、自動仕訳された内容をチェックしてミスを減らすことに注力できるのです。
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インボイス制度の導入と経理業務のデジタル化は表裏一体の関係にあります。DX(デジタルトランスフォーメーション)の波に乗り遅れることなく、デジタル化で経理業務を効率化・高度化していくために、インボイス制度への対応が大きなターニングポイントとなることは間違いありません。財務会計や税務について豊富なノウハウを蓄積してきたMJSは、インボイス制度の導入についても企業の皆様を積極的にサポートしています。インボイス制度の準備でつまずいたら、MJSまでお気軽にご相談ください。

インボイス制度の対応のポイント
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