ここ数年、従業員による未払い残業代請求が急増しています。厚生労働省の「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成29年度)」によると、是正の対象となった企業数は1,870企業(前年度比521増)、支払われた割増賃金合計額は446億4,195万円(前年度比319億1,868万円増)で、1企業当たりの平均支払額は2,387万円にものぼります。
とは言え「うちの会社はタイムレコーダーと勤怠管理システムで、きちんとデータを取っているから大丈夫!」と安心している企業も多いようです。過去の事例を紐解いてみると、タイムレコーダーで記録されている時間と実際の作業時間との間に大きな差があり、労働基準監督局による立ち入り検査や是正勧告、さらには訴訟へと至ったケースは後を絶ちません。
なぜそのような事態が発生してしまうのでしょうか。そして、防止する方法はあるのでしょうか。今回は、中堅建材メーカーG社を例にとって、ご紹介したいと思います。
人事/労務労務管理 2018/11/15
パソコンの操作ログを活用して労働時間や勤務実態を正しく把握しよう!
目次
従業員が使っているパソコンの操作ログを収集・活用することにより、働き方が多様化する中で把握しにくくなっている労働時間や勤務実態を見える化し、労務トラブルや情報漏えいなどを未然に防ぎましょう。
増えつづけています! 未払い残業代請求などの労務トラブル
長時間労働是正の取り組みの陰で持ち帰り残業が常態化!
中堅建材メーカーとして長い歴史を持つG社は、長期にわたる景気悪化の中にあっても、強力な営業力・提案力で堅実に売上を維持してきました。
優秀な営業スタッフの定着率を高めるために、G社では早くから長時間労働の是正に取り組み、19時退社の徹底、タイムレコーダーと連動できる勤怠管理システムの導入、残業の事前承認制度などに取り組んでいます。
「残業時間削減の施策を始めてから半年で、20時以降にオフィスの電気がついていることはほとんどなくなりましたから、取り組みは成功したものと、経営陣も総務部も気をよくしていたんですね」と、G社総務部部長の真崎氏は振り返ります。
「ですから、未払い残業代に関して労働基準監督署の立ち入り調査が入ったときはまさに寝耳に水という感じだったのです」
19時退社と残業の事前承認を徹底したものの、実際には、こなしきれなかった仕事を自宅に持ち帰ったり、喫茶店で作業したりということが一部の部署で常態化しつつありました。その不満が、結果として今回の立ち入り調査につながってしまったのです。
優秀な営業スタッフの定着率を高めるために、G社では早くから長時間労働の是正に取り組み、19時退社の徹底、タイムレコーダーと連動できる勤怠管理システムの導入、残業の事前承認制度などに取り組んでいます。
「残業時間削減の施策を始めてから半年で、20時以降にオフィスの電気がついていることはほとんどなくなりましたから、取り組みは成功したものと、経営陣も総務部も気をよくしていたんですね」と、G社総務部部長の真崎氏は振り返ります。
「ですから、未払い残業代に関して労働基準監督署の立ち入り調査が入ったときはまさに寝耳に水という感じだったのです」
19時退社と残業の事前承認を徹底したものの、実際には、こなしきれなかった仕事を自宅に持ち帰ったり、喫茶店で作業したりということが一部の部署で常態化しつつありました。その不満が、結果として今回の立ち入り調査につながってしまったのです。
パソコンの操作ログを活用して労働時間の実態を正しく把握!
企業には、従業員の労働時間を正しく把握する義務があります。知らぬ間にサービス残業が行われているという事態を解消するために、G社総務部では、まず実際の労働時間を正しく把握しようと考えました。
「今回の件で、タイムレコーダーだけでは正しい労働時間を把握しきれないことがわかりました。そこで注目したのが、パソコンの操作ログです」と、真崎氏は述べています。
G社では、パソコンの起動/終了がいつ行われているか、記録(ログ)を取ることにしました。採用したのは、オフィス内のパソコンはもちろん、営業スタッフが社外に持ち出すノートパソコンも記録できるセキュリティ系システムです。
「操作ログから読み取れるパソコンの起動/終了時間と、タイムレコーダーで収集した出社/退社時間を照らし合わせて、そこに大きなズレがあれば、それは当社の意図しない超過勤務が発生していることを意味します。そのような超過勤務を早期に発見することで、労働基準監督署の指摘を受ける前に、適切な対応を行うことが可能になります」
「今回の件で、タイムレコーダーだけでは正しい労働時間を把握しきれないことがわかりました。そこで注目したのが、パソコンの操作ログです」と、真崎氏は述べています。
G社では、パソコンの起動/終了がいつ行われているか、記録(ログ)を取ることにしました。採用したのは、オフィス内のパソコンはもちろん、営業スタッフが社外に持ち出すノートパソコンも記録できるセキュリティ系システムです。
「操作ログから読み取れるパソコンの起動/終了時間と、タイムレコーダーで収集した出社/退社時間を照らし合わせて、そこに大きなズレがあれば、それは当社の意図しない超過勤務が発生していることを意味します。そのような超過勤務を早期に発見することで、労働基準監督署の指摘を受ける前に、適切な対応を行うことが可能になります」
パソコンの操作ログからリスクの高い行動をチェック!
パソコンの操作ログから見えてくることは、労働時間の正確な把握だけではありません。
G社では、パソコンの起動/終了だけではなく、アプリケーションの利用、ファイルへのアクセス、文書の印刷、メールの送受信など、さまざまな操作を記録できることを利用し、
など、従業員の勤務実態をチェックできるようにしています。 「これまで、社外で活動している従業員が何をしているのか、ほとんど見えていませんでした。しかし、ノートパソコンの操作ログを読み解けば、かなりリアルにわかります」と、真崎氏は語ります。
「働き方が多様化していくにつれ、社外で働く従業員は増えていくでしょう。当社では、操作ログを収集すると同時にWebフィルタリング機能を導入し、不適切なWebサイトの閲覧を制限しました。これによって、情報漏えいやマルウェア感染につながるような従業員の行動を未然に防いでいます」
G社では、パソコンの起動/終了だけではなく、アプリケーションの利用、ファイルへのアクセス、文書の印刷、メールの送受信など、さまざまな操作を記録できることを利用し、
- 危険なWebサイトやクラウドサービスを利用していないか
- 許可なく機密情報をコピーしたり印刷したりしていないか
- 業務と関係のないWebサイトを閲覧していないか
- 不適切なソフトウェアを利用していないか
- 社内や取引先以外にメールを送っていないか
など、従業員の勤務実態をチェックできるようにしています。 「これまで、社外で活動している従業員が何をしているのか、ほとんど見えていませんでした。しかし、ノートパソコンの操作ログを読み解けば、かなりリアルにわかります」と、真崎氏は語ります。
「働き方が多様化していくにつれ、社外で働く従業員は増えていくでしょう。当社では、操作ログを収集すると同時にWebフィルタリング機能を導入し、不適切なWebサイトの閲覧を制限しました。これによって、情報漏えいやマルウェア感染につながるような従業員の行動を未然に防いでいます」
長時間労働是正対策のベースは労働時間と勤務実態の正しい把握
「今回の立ち入り調査をきっかけとして、退社時間や残業に関するルールを敷くだけでは長時間労働を是正できないことがわかりました。長時間労働の原因を突き止めた上で、適切な対策を行う必要があります」と、真崎氏は指摘します。
G社では、パソコンの操作ログを分析して業務内容を見直すとともに、残業の多い営業部門を中心にヒアリングを実施。その結果から、「スマートフォンによる出退勤打刻」「各種申請や書類作成などのモバイルアプリ化」など、ITを活用した業務のモバイル化・自動化を推進することになりました。 「長時間労働の是正には業務効率化が欠かせません。とくに営業部門では、帰社しなければ業務を完結できないというムダを改善し、外出先でのすきま時間を有効利用できる体制を整えつつあります」
とは言え、このような対策のベースになるのは、はやり労働時間と勤務実態の正しい把握。操作ログの活用が欠かせません。最近では内部統制や働き方改革への意識が高まり、パソコン操作ログの取得、Webフィルタリング、パソコンの操作制限など、IT統制機能を網羅したシステムも増えてきました。
「どのシステムを採用するにせよ、まずはデモ機やトライアルバージョンの活用をおすすめします。求める機能が揃っているか、導入しやすいか、勤怠管理システムと連携しやすいかなど、使ってみなければわからないですから」と真崎氏はアドバイスしてくださいました。
G社では、パソコンの操作ログを分析して業務内容を見直すとともに、残業の多い営業部門を中心にヒアリングを実施。その結果から、「スマートフォンによる出退勤打刻」「各種申請や書類作成などのモバイルアプリ化」など、ITを活用した業務のモバイル化・自動化を推進することになりました。 「長時間労働の是正には業務効率化が欠かせません。とくに営業部門では、帰社しなければ業務を完結できないというムダを改善し、外出先でのすきま時間を有効利用できる体制を整えつつあります」
とは言え、このような対策のベースになるのは、はやり労働時間と勤務実態の正しい把握。操作ログの活用が欠かせません。最近では内部統制や働き方改革への意識が高まり、パソコン操作ログの取得、Webフィルタリング、パソコンの操作制限など、IT統制機能を網羅したシステムも増えてきました。
「どのシステムを採用するにせよ、まずはデモ機やトライアルバージョンの活用をおすすめします。求める機能が揃っているか、導入しやすいか、勤怠管理システムと連携しやすいかなど、使ってみなければわからないですから」と真崎氏はアドバイスしてくださいました。