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人事/労務働き方改革 2018/11/06

経理の働き方改革はどうなる!?(新米経理の会計奮闘記 第7回)

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新米経理の会計奮闘記 登場人物
  • 山本理子

    ようやく経理担当になったものの、分からないことだらけ。毎回様々な経理問題に頭を悩ます。曲がったことが大嫌い。

  • 吉田経男

    毎回経理問題を引き起こす営業部員。おっちょこちょいでずる賢い一面もあるが、本当はやさしい男。

  • 会計仙人

    突如現れて、会計問題をわかりやすく解説してくれる謎の仙人。仏陀の会計担当だったらしい。

新米経理の山本理子が社内で巻き起こる様々な経理問題に挑む会計奮闘記。毎回、突如現れる会計仙人が経理問題を分かりやすく解説してくれるお悩み解決ストーリーの第7回目です。今回は、近年注目を浴びる働き方改革について会計仙人の知見が炸裂!テレワークなど、働き方改革には向かないと言われる経理業務ですが、果たして妙案はあるのでしょうか?

経理の働き方改革は後回し?

「最近、どんどん世の中の働き方が変わってきてるのね」
理子がため息をつきながら、スマホでニュースサイトを眺めている。

「どうしたの暗い顔して」いつものように慌ただしく営業の吉田が帰ってきた。

「働き方改革ってすごいですよね。在宅勤務やモバイルワーク、どんどん働き方が変わっているのに、うちの会社って改革の気配すらないと思って」と理子の表情が曇る。

「そんなことないよ。だいぶ変わってきてるよ」と吉田。
「営業部では数年前から全員にタブレットが支給されて、客先じゃ電子カタログを見せて説明してるしね。必要書類は出先から会社のサーバにアクセスして確認できるから、もう紙資料は持ち歩かなくなった。これも立派な働き方改革だろ?」

「営業部はそうですよねぇ。でも経理部は何にも変わらない。なぜなのかしら」
理子の嘆きは深い。

「やっぱり、営業は売上を生む部署だからねえ。経理みたいなバックオフィスは後回しになっちゃうのよ」と吉田は得意げな顔を理子に向ける。

「なんですか、その勝ち誇った顔。経理がいなくても営業は動けると思ってるんですか?」

「動けますよぉ。バンバン売上あげちゃいます」

「その売上を管理するのは誰なんですかっ!」
「経理の管理業務は、売上があがってから発生する業務なんじゃないの?」
相変わらず、争いが絶えない二人である。

その時、どこからともなく重厚な太鼓が鳴り響き、鬱蒼とした霧に包まれた仙人が舞い降りてきた。

働き方改革の背景とは


「まあまあ、お二人さん。そういがみ合わんでもいいじゃろ」
と、いつになく穏やかに登場する会計仙人。

「あら、珍しく怒ってないですね」
理子も少し驚いている様子だ。

「いや、血圧が高くて医者にあまり興奮するなと釘をさされているのじゃ」

「でもなんだか、穏やかな会計仙人って…ただのおじいちゃんですね」

「ただのおじいちゃんはないじゃろ!」

「落ち着いてください、血圧上がりますよ」となだめる吉田。

「よいか、働き改革が取りざたされているが、その背景を知っておるのか?」

「確か、残業を制限して労働時間を減らすために、政府が提唱した施策なんでしょ?」と理子。

「やはり、そこに目がいくわけじゃな。働き方改革は、労働時間を減らして楽をするための施策ではない。目的は労働生産性を上げることにあるのじゃ」

「日本人の働き方は効率が悪いと言われていますよね」と吉田。

「その通りじゃ。労働生産性は、労働の成果を労働量で割って算出される。つまり、労働者一人あたりが生み出す成果の指標と言えるのじゃ。この労働生産性に関して日本はかなり低いのじゃよ」
会計仙人が続ける。

「何しろ、日本の労働生産性はOECD加盟35カ国の中で21位。統計で遡れる1970年以来、主要7カ国の中で最下位が続いているのじゃ。この労働生産性を改善するのが働き方改革の大きなテーマなんじゃ」

※参考資料:労働生産性の国際比較2017年版(日本生産性本部資料)

「そして、その背景には日本社会が抱える大きな課題が横たわっておる。なんだかわかるかな」

「人口減少とか、働き手の不足とか?」と理子がつぶやく。

「そういうことじゃな。労働人口が想定以上に減少している。労働人口が減っている以上、生産性を上げるしかない。そのための改革なのじゃ」

課題解決への対策とは


「労働人口の減少を補うために生産性を上げる。そのための働き方改革だということはわかったけど、具体的にどんな対策が行われているの?」と身を乗り出す理子。

「いろいろあるが、注目されている対策の一つがテレワークじゃろう」

「あぁ、僕ら営業部がやっているモバイルワークもテレワークの一種ですよね」と吉田。

「その通りじゃ。テレワークは、在宅勤務とモバイルワーク、サテライトオフィスを活用する3つの働き方に分けられておる。
吉田が言うように、モバイルワークは多くの企業の営業部が採用しておる。客先から会社のサーバにアクセスして情報を取得したり、出先で報告書を作成して会社と共有したりすることで直行直帰を奨励し、業務効率を向上させた事例がたくさんあるのじゃ」

「やっぱり、営業部は大切にされているから改革が進むのかしら」と理子。

「そりゃあ、そうですよ」と吉田が畳み掛ける。

「営業部のモバイルワークが進むのは、別に大切にされているからではないんじゃ。単に導入がしやすく成果も見えやすいからじゃよ。例えばモバイル端末とクラウドアプリで情報共有すれば直行直帰が可能になるなど、簡単でわかりやすいじゃろ」

「じゃあ、経理でテレワークができないのはなぜ?」と理子は詰め寄る。

「実は、テレワークを行うために必要不可欠なことがあるんじゃ。それは、ペーパーレス化じゃよ」

ペーパーレス化が不可欠


「経理部がテレワークを行うとしたら、在宅勤務がメインになるはずじゃ。そのためには紙資料の電子化が必須じゃ。一般的に経理部はペーパーレス化が最も遅れている部署と言えるのぉ」

「経費精算するのにまだ出金伝票書いているからな、うちの会社。うちの経理部の電子化は遠い道だなあ」と吉田も同情する。

「ペーパーレス化とシステム化に積極的な会社では、経理部も在宅勤務を活用している会社がたくさん出てきておる。理子、お前は結婚してもこの会社に勤め続けるつもりか?」

「そんな先のことわかりませんよ」と、照れる理子。

「実はこんな事例がある。東京に本社を構える、とある会社の優秀な女性経理担当が結婚することになったんじゃ。しかし、旦那さんの都合で九州に引っ越すことになり、彼女は退職する決意をした。ところが会社は優秀な経理担当を離すまいと、本社勤務のまま九州の在宅勤務を了承したのじゃ」

「へー、すごい!週2日在宅とかじゃなく、オール在宅勤務!?」驚く理子である。

「そうじゃ。人手不足の時代、会社は優秀な社員を失うことの損失を考慮し、画期的な働き方改革を次々と推進しておる。時代は大きく変わろうとしているのじゃ」

「なんか、ワクワクするわ。テレワークを導入するためには何から始めればいいの?会計仙人!教えて」目を輝かせている理子。

「そうじゃなあ。まず、経理の業務をすべて洗い出し、在宅でもできる業務と会社にいなければできない業務を切り分けるのじゃ。その上でIT化とそれに付随するペーパーレス化が進んだ時に在宅勤務で可能な業務がどう増えるかを検証する。それからテレワーク推進委員会なるものを立ち上げ賛同者を募る。在宅勤務の効果を実証するために、まずは短期の実証実験を行うことじゃ」

「やります!」メラメラと燃える理子であった。

1週間後、テレワーク推進委員会のバッジを付けた理子が広報部の取材を受けている。全社員に告知すべく、テレワーク推進委員会発足のトピックスを広報部にねじ込んだのだ。

「在宅勤務の導入で採用応募者が50%伸びた会社もあるのです。優秀な人材の獲得と、離職防止のためにも、テレワークの導入は不可欠な時代です。私も結婚して子供が生まれても、ずっとこの会社に勤め続けていきたいです」
熱く語る理子である。

「テレワークより結婚相手を探す方が険しい道じゃのぉ」 雲間でほくそ笑む会計仙人であった。


※関連リンク:経理の「働き方改革」経費精算業務を電子化で効率化!

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今、注目を浴びている働き方改革と改革を推進する重要な施策と言われるテレワークについて、会計仙人を通じてご紹介しました。経理の在宅勤務は難しいというのが通説でしたが、本文にあるように画期的な事例が出てくるなど大きく変わろうとしています。この流れを加速させるためにも、経理部のIT化・ペーパーレス化はもはや必須であることが考えられます。高度な専門性を有する経理のスペシャリストは、在宅勤務を活用しながら複数社の社員として活躍する。そんな働き方も遠い未来ではないのかもしれません。
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