所得税の確定申告書の提出期間は原則として毎年2月16日~3月15日であり、開始、終了日が土日祝日の場合は次の月曜日が期日になります。
期限を過ぎると提出はできないため、会計事務所や税理士事務所では前年の11月頃から準備を始めます。まずは顧問先から申告期間分の証憑や会計資料、控除書類などの提出を依頼し、足りないものがないかチェックします。すべての資料が集まったら仕訳や整理を行い、決算書を作成します。業務が集中するのは1月~2月末頃です。
確定申告は個人事業主と企業の場合で作業が異なります。個人事業主の確定申告業務は大きく2段階の作業に分かれています。
1.事業の決算書を作成
決算書は、現金出納帳や売上帳、領収書、通帳のコピーなど、事業所得や不動産所得に関係のある資料をもとに作成します。事業収入以外にも給与収入や農業収入がある個人事業主も少なくないため、会計事務所が業務を請け負う場合は丁寧なヒアリングが必要になります。
2.事業主の確定申告書・消費税申告書を作成
得られた所得、生命保険料控除、医療費控除、源泉徴収税額をもとに、確定申告書を作成します。消費税の課税事業者に該当する場合は、消費税の申告書作成も必要です。
一方で株式会社など法人の確定申告業務は、大きく3つの段階に分かれています。
1.会社の決算書を作成
会計期間内のすべての仕訳入力を済ませ、試算表を作成して残高の不一致や取引の入力漏れがないかなどを確認します。法人では取引量も膨大になるため、月次決算の段階から正確な仕訳処理が必要です。試算表を完成させたのち、決算整理仕訳で棚卸資産や減価償却費などを計上して決算書類を作成します。
2.取締役会・株主総会の開催
法人の場合、決算内容は取締役会、株主総会で承認を得る必要があります。開催の時期は企業規模などによって異なりますが、法人税等の申告期日は決算が確定した日から2カ月以内と定められているため、それを目安に設定されます。ただし上場企業の場合は証券取引法による厳密な手続きが必要となるため、2カ月では開催まで辿り着けません。そのため法人税等は1カ月の延長申請を行い、3カ月を目途に開催を設定します。
3.法人税・消費税申告書を作成
決算書を作成して企業の収益が確定したら、「法人税」、「法人事業税」、「法人住民税」、「消費税」の申告書を作成します。
税金によって所轄税務署や都道府県税事務所など提出先が異なり、決算書の項目と各税法上の項目も微妙に異なるため、注意が必要です。
経営確定申告 2021/02/02
スムーズな確定申告を行うために!会計事務所側の動きをチェック!
毎年2月から3月は確定申告が行われる時期です。実際の確定申告業務は会計事務所や税理士に任せることも多いため、企業の経理担当者が自ら実務を担当するケースはあまりありません。しかし、経理担当者であるからには、知識として実際の確定申告の流れを知っておく必要はあります。今回は会計事務所や税理士事務所が行っている確定申告業務の流れと必要なスキルについて解説します。
緊急事態宣言の影響を受け、贈与税及び個人事業者の消費税(及び地方消 費税)の申告・納付期限が、2021年4月15日(木)まで延長されることが国税庁より発表されました確定申告業務の内容
求められるレベルや知識
確定申告の決算書作成に欠かせないのが簿記会計の知識です。
一般企業の経理担当者は日商簿記検定試験3級または1年以上の実務経験が求められるとされていますが、会計事務所の担当者は様々なパターンの申請に対応するため、日商簿記検定試験2級および3年程度の実務経験が必要だと言われています。なお、簿記の資格と併せて実務経験が求められるのは、実際の経理の仕訳に様々な取引パターンが存在するためです。簿記検定のために学習した範囲以外のいわゆる「教科書通りではない」仕訳や、業界特有の仕訳パターンなどがあるため、資格だけではなく実務に即した臨機応変な対応力も必要になるのです。
また、会計事務所や税理士事務所では、フリーランスや医療法人など様々な業界の確定申告業務を手がけます。たとえば顧客の自動車重量税や自賠責保険料の立て替えが多い自動車整備工場や、海外で買い付けを行っている古着販売業など、一般的な企業の仕訳では見慣れない取引に遭遇することも珍しくありません。このような「業界特有の取引」はその取引の性質を詳しく把握したうえで処理の方法を決めるため、幅広い知識が必要になります。
企業の経理担当者の場合は、自社で取り扱う業界について深く知っておく必要があります。
また、会計事務所や税理士事務所では、フリーランスや医療法人など様々な業界の確定申告業務を手がけます。たとえば顧客の自動車重量税や自賠責保険料の立て替えが多い自動車整備工場や、海外で買い付けを行っている古着販売業など、一般的な企業の仕訳では見慣れない取引に遭遇することも珍しくありません。このような「業界特有の取引」はその取引の性質を詳しく把握したうえで処理の方法を決めるため、幅広い知識が必要になります。
企業の経理担当者の場合は、自社で取り扱う業界について深く知っておく必要があります。
スムーズな進行のために
確定申告書の作成には様々な控除金額の入力が必要になります。会計事務所や税理士事務所の場合、必要な資料の提出を顧客に依頼する際にスムーズなやりとりをするため、質問が多い項目については事前にしっかりと説明を行っています。
なお、確定申告業務で比較的よく上がる質問には以下のようなものがあります。
なお、上記に対する内容は毎年同じというわけではなく、税制改正などの影響によって変わることが多々あります。会計事務所や税理士事務所ではそのため情報収集も確実に行っています。
なお、確定申告業務で比較的よく上がる質問には以下のようなものがあります。
- 医療費控除の対象となる費用
- 所得控除と税額控除の違い
- ふるさと納税の仕組み
- 住宅ローン控除の計算方法
なお、上記に対する内容は毎年同じというわけではなく、税制改正などの影響によって変わることが多々あります。会計事務所や税理士事務所ではそのため情報収集も確実に行っています。
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