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消費税 2020/08/11

懸念だらけのインボイス制度。今からできる対策とは?

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2019年10月1日、消費税の増税と軽減税率制度の導入が施行されました。現在は2020年も半ばに差し掛かり、新しい消費税率に慣れてきた頃ではありますが、実はまだ完全に軽減税率を巡る施策が完了したわけではありません。
その施策の一つが、2023年10月に導入される「インボイス制度」です。インボイス制度は経理業務だけでなく、経営そのものに影響を与えると懸念されており、どう備えるべきか悩んでいる企業や事業者は少なくありません。
今回はインボイス制度の概要と対策を紹介します。

インボイス制度とは

インボイス制度とは、別名「適格請求書保存方式」といい、取引の際、販売対象ごとに消費税率が記載された納品書や請求書などの証憑を発行する制度です。インボイス制度導入後は、課税事業者から発行されたインボイスが、消費税の「仕入額控除」を受けるための要件になります。
従来の証憑と比較した際、追記されるのは以下の4項目です。

■インボイス制度における証憑の新項目
  • 軽減税率の対象品目かどうかの記載
  • 適格請求書発行事業者の登録番号
  • 品目を税率ごとに合計した税込金額
  • 品目それぞれの税率と消費税額

重要なのは2の「適格請求書発行事業者の登録番号」です。課税事業者としてインボイスを発行するためには、税務署で「適格請求書発行事業者」の登録をする必要があります。その際に発行されるのが「適格請求書発行事業者の登録番号」です。登録後は最低2年間、変更することができません。

インボイス制度のスケジュール

インボイス制度の導入には少なからず懸念点もあるため、段階を踏んだ導入が予定されています。ポイントとなるのは、区分記載請求書等保存方式での証憑が必要となる2023年10月、適格請求書の発行が義務付けられる2026年10月です。課税事業者は2026年10月までに適格請求書発行事業者への登録をしなくてはなりません。

■税額計算の方法、及び特例の施行スケジュール
2019年10月 2023年10月 2026年10月 2029年10月
現行 区分記載請求書等保存方式 適格請求書等保存方式
免税事業者からの仕入控除 100% 80% 50%
※特例:80%
0%(完全廃止)
※特例:50%
税額計算の方法 税込価格からの割戻し計算
  • 適格請求書の税額の積上げ計算
  • 取引総額からの割戻し計算
いずれかの方法を選択する
請求書等の発行義務 請求書等の交付義務なし
  • 適格請求書の交付義務あり
※免税事業者は発行不可
仕入額控除の要件 請求書等の保存が要件
  • 適格請求書の保存が要件
※免税事業者からの仕入税額控除不可

※出典:中小企業庁「消費税軽減税率まるわかりBOOK」

インボイス制度の懸念点

インボイス制度の導入に備えて、早速、適格請求書発行事業者に登録、という手順を踏みたいところですが、実際には様々な懸念点が存在しています。特に現在、免税事業者である場合は注意が必要です。

課税事業者の懸念点:インボイス制度対応へのコストがかかる
課税事業者として適格請求書発行事業者に登録すると、インボイス制度に対応した証憑を発行する必要があります。その場合、ひとつひとつを手作業で行うのはかなりの労力なので、それに適応した会計システムやレジを用意することになります。
クラウド型の会計ソフトなどは、状況に応じて自動的にアップデートされるものもありますが、POSレジなどの独立した機器は、対応しているものに取り換えなければならない可能性も考えられます。

買い手事業者の懸念点:経理処理の負荷が増す
インボイス制度が導入されると、商品の「買い手」となる事業者は以下の点に注意して経理処理を行う必要があります。
  • 購入した商品を軽減税率・非軽減税率に分けて処理
  • 販売者が免税事業者・非免税事業者かを分けて処理
全ての取引において上記の処理が必要なため、従来よりも極めて複雑な手順を踏むことになります。

免税事業者の懸念点:取引打ち切りのリスクが増す
これまで売上が年間1,000万円以下の事業者は、消費税の納税が免除されていました。インボイス制度の導入後も、免税事業者として事業を行うことは可能です。ただし、免税事業者との取引で販売先が仕入額控除を受けることはできません。先述の通り、課税事業者から発行されたインボイスが、消費税の仕入額控除の条件となるからです。消費税の仕入額控除ができないというデメリットを取引先が負うことになると、取引自体が打ち切られる可能性は少なくありません。

上記のような懸念点を踏まえたうえで、それぞれの事業者は課題への対策を行う必要があります。特に免税事業者は、課税事業者となって適格請求書発行事業者に登録するか否かという重大な選択を迫られます。課税事業者となれば、インボイス発行に伴う対策をしなければならないほか、当然、今まで免除されてきた消費税も払わなければなりません。といって、免税事業者を続ければ、取引先から外されるリスクを負わねばならないのです。

※関連記事:2023年にインボイス制度が導入されると…免税事業者が取るべき対応とは?

インボイス制度の対策は

これまでインボイス制度について意識していなかった、という課税事業者の中には、この記事を読んで焦りを感じ始めている人もいるのではないでしょうか。特に中小企業では、影響が大きいとされるにもかかわらず、まだ対策に手を付けていないケースも珍しくありません。今から始めればまだ間に合いますので、早めに対策を検討してください。その際、懸念点の解決策としてポイントとなるのが、適切な設備の導入と、補助金の利用です。

■業務量に対する懸念には設備の導入
売り手側にも買い手側にも負担となるのが、インボイスを使用した事務処理です。特に複数税率に対応するのは、手作業では膨大な時間がかかるほか、ミスの原因にもなりがちです。そこで活用したいのがクラウド会計ソフトです。
インボイス制度を見越したツールを選ぶ際にポイントとなるのは、もちろん複数税率への対応ですが、それだけでなく適切なアップデートも重要です。先述した通り、インボイス制度は長いスパンでスケジュールを切っているため、途中で制度の詳細が変更になる、というケースもまったくないとは言い切れません。そうなった場合、自動でアップデートされるクラウドソフトを選べば、ユーザーの手を煩わすことなく、ルールに則った運用をすることができます。

例えば、ミロク情報サービスの会計ソフトでも、複数税率に対応しているクラウドサービスが複数あります。企業規模などによって適切な種類があるので、どれが自社に最適か検討してみてください。

■ミロク情報サービスの商品群

消費税対策 消費税対策 あなたの会社にも迫られる、消費税対策に必要な会計システムとは?

■費用に対する懸念には補助金の活用
便利なツールを利用したくても費用に不安があることもあります。そういった場合に活用できるのが以下の補助金です。

IT導入補助金
クラウド会計ソフトの導入に直結するのがIT導入補助金です。IT導入補助金は、中小企業を対象に、ITツールを導入する際にかかった費用の半額ほどを国が負担してくれる制度で、最大450万円を補助してもらうことができます。ただし補助対象のITツールが決まっているなど、ルールもあるので注意が必要です。

※関連記事:IT導入補助金2020の概要と今年のおすすめツール!(リンクは後程)
※出典:中小企業庁「IT導入補助金」

小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、「従業員数が5人以下のサービス業者」などの小規模事業者を対象に、販路開拓費用の3分の2を商工会議所と商工会が負担してくれる制度で、最大50万円を補助してもらうことができます。
ただし、この補助金は給付条件に「経費総額のうち1/6以上がテレワークやオンラインビジネスに対応した投資であること」とされているため、インボイス制度への対策に直結しているわけではありません。
しかし、クラウド会計ソフトには、インボイス対策とともにテレワークやオンラインビジネスにも活用可能な機能が搭載されていることが多いので、そういったソフトを選べば一回の投資でどちらも強化できます。新型コロナウイルスの影響も大きい昨今、最小限の負担で様々な懸念に対応したい、という企業には最適な制度です。

※出典:日本商工会議所「小規模事業者持続化補助金」
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一般的にまだそこまで大きな話題になっていないインボイス制度ですが、日税連が警鐘を鳴らし続けるなど、事業の継続に大きな影響を与えることは間違いありません。本文で紹介した懸念点については早めの対応が必要です。現在、免税事業者である人も、本文の懸念点と解決策を踏まえたうえで、どのような選択をするか検討してみてください。

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