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会計処理 2019/02/26

輸出、輸入、新興国。海外取引における経理業務の2つの注意点

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インターネット技術の発達、普及が当たり前となった現在、「経済がグローバル化している」という現象についても、もはや珍しいことではなくなりました。多くの企業が、新たな市場開拓や、コストの軽減などを目的に海外企業との取引に乗り出し、経理担当者にも海外企業との経理や税務の処理に関わるスキルや知識を求められる機会が増えています。
そこで今回は、海外取引に関わる経理業務の基礎的な知識と注意点についてご紹介します。既に海外取引のある企業にお勤めの方はもちろん、海外取引のある企業に転職などを考えている方もぜひ参考にしてみてください。

海外取引の経理処理は国内取引よりも難しい!?

一般的に海外取引は、国内取引の処理よりも難しいとされています。その理由とされている大きなポイントを以下でご紹介しましょう。

相手国の税法・貿易・為替などの知識が必要
税法などのルールは国ごとに異なるので、各国に応じて理解する必要があります。さらに開発途上国にある企業とやりとりする場合、「取引に関わる法律や税法が整備されていない」、「法律やルールが変更されやすい」といったリスクも考えられます。
その一方で、ある一定の製品を輸出する場合は、貿易取引の際の運賃、保険料などを「売主・買主のどちらが負担するか」などを定めた「インコタームズ2010」という国際規約があり、 こちらの条件に当てはまる取引では、日本の税法を理解しているだけでもスムーズに処理できるケースが多いです。 インコタームズ2010は、荷物を受け渡し場所などの条件ごとに合計11の規則で構成され、「あらゆる輸送形態に適した規則」、「海上および内陸水路輸送のための規則」の2つのクラスに分類されています。

■あらゆる輸送形態に適した規則
EXW 出荷工場渡し条件 売主は、売主の敷地(工場)で買主に商品を移転する。それ以降の運賃、保険料、リスクは全て買主が負担する。
FCA
(Free Carrier)
運送人渡し条件 売主は、指定された場所(積み地のコンテナ・ヤード等)で商品を運送人に渡すまでの費用とリスクを負担する。それ以降の運賃、保険料、リスクは買主が負担する。
CPT
(Carriage Paid To)
輸送費込み条件 売主は、指定された場所(積み地のコンテナ・ヤード等)で商品を運送人に渡すまでのリスクと海上運賃を負担し、それ以降のコストとリスクは買主が負担する。なお、CPT条件は保険をどちらが付保するのか決めていない。リスクを負担する買主が付保するのが一般的。
CIP
(Carriage and Insurance Paid To)
輸送費込み条件 売主は、指定された場所(積み地のコンテナ・ヤード等)で商品を運送人に渡すまでのリスクと海上運賃、保険料を負担。荷揚げ地からのコストとリスクは買主が負担する。
DAT
(Delivered At Terminal)
ターミナル持込渡し条件 指定された目的地(ターミナル)までのコストとリスクを売主が負担する。ただし、発送先での輸入通関手続きと関税は買主が負担。※ターミナルとは、埠頭や倉庫、陸上・鉄道・航空輸送ターミナルを指す。
DAP
(Delivered At Place)
仕向地持込渡し条件 DATとほぼ同様。ターミナル以外の任意の場所における車上・船上であり、荷降しは買主が行う。
DDP
(Delivered Duty Paid)
仕向地持ち込み渡し・関税込み条件 売主は、指定された目的地まで商品を送り届けるまでのすべてのコスト(輸入関税を含む)とリスクを負担する。


■海上および内陸水路輸送のための規則
FAS
(Free Alongside Ship)
船側渡し条件 売主は、積み地の港で本船の横に荷物を着けるまでの費用を負担。それ以降の費用とリスクは買主が負担する。
FOB
(Free On Board)
本船甲板渡し条件 売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用を負担し、それ以降の費用及びリスクは買主が負担する。
CFR
(Cost and Freight)
運賃込み条件 売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用と海上運賃を負担。それ以降の保険料及びリスクは買主が負担する。
CIF
(Cost, Insurance and Freight)
運賃・保険料込み条件 売主は、積み地の港で本船に荷物を積み込むまでの費用、海上運賃と保険料を負担。それ以降のリスクは買主が負担する。

取引先や国税庁の関連規約や要領では、上記の条件が前提の知識として扱われる場合があります。経理担当者は、スムーズに業務を行うためにも自社と関連がある項目について理解しておきましょう。

※参考資料:日本貿易振興機構

輸出取引は、売上の計上のタイミングに注意

輸出売上は、税務調査時に必ず確認される重要な事項です。正しく処理しておかないと指摘を受けてしまう恐れがあるので、経理担当者は「売上を計上するタイミング」についてしっかりと理解する必要があります。
輸出取引の場合、売上を計上するタイミングは大きく分けて4つ存在します。それぞれを以下で簡単にご紹介します。

■売上を計上するタイミング
  • 出荷時に計上する
    商品を倉庫や工場から出荷した時点で売上として計上します。取引としては簡単な方法ですが、取引先からの入金よりも先に売上分の税金を納税しなければならない場合もあったりと、リスクが高い面もあります。
    出荷工場渡し条件(EXW)を取り決めている企業や国内取引と同様の基準で売上を計上したい企業はこのタイミングを選ぶことが多いです。
  • 通関された日に計上する
    輸入許可通知書の日付をもとに、輸出手続きが完了した日に売上を計上します。後述する船積日や引き渡し日の計上よりも早く売上に反映させていたい場合に採用されます。
  • 船積日に計上する
    船積みされた日に売上を計上する方法です。貿易の処理では、この時点で売上を計上するのが一般的とされています。前述したFOB(本船甲板渡し条件)の取引を行う企業の多くが、このタイミングを採用しています。
  • 商品を引き渡した日で計上する
    商品を相手国の港やターミナルに陸揚げしたタイミングで売上を計上する方法です。税金面では一番有利ですが、「いつ到着したのか把握しづらい」という課題があり、実務上はあまり使われていません。運賃込み条件(CFR)、運賃・保険料込み条件(CIF)のケースでは多く採用されています。

※関連記事:近年導入が広がる国際会計基準「IFRS」とは
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今回ご紹介した項目以外にも、海外との取引には国内取引にはない様々なルールがあります。また、言語の壁や文化の違い、為替リスク、法律上の問題など、気をつけておかなければならないことは少なくありません。その一方で、「海外取引に強い経理」の需要が高まる可能性は十分にあります。デキる経理を目指すために、「海外×経理」の分野にも注目してみてください。

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