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ITDX 2024/05/08

生成AIを実際に使ったことがあるのは約半数。企業における生成AIの現状と今後の課題とは(会計事務所白書2024)

株式会社ミロク情報サービスでは、企業バックオフィスまたはIT担当者と事業主および会計事務所を対象に、生成AIに関する実態調査を実施し「会計事務所白書2024」として公開しました。
本記事では調査結果をもとに生成AIに対する認知やイメージ、活用方法、今後の期待に関する実態についてまとめています。

調査概要

調査名:
会計事務所白書2024
生成AIに関する実態調査(企業・事業主編)
調査主:
株式会社ミロク情報サービス
調査対象:
企業のバックオフィスまたはIT担当者、事業主636人
調査期間:
2024年3月8日(金)~2024年3月18日(月)
調査エリア:
全国
調査手法:
インターネット調査

経理業務への活用が期待されている生成AI

ChatGPTなどの生成AIツールが新聞やニュースなどで紹介され、ITの動向に興味・関心を持つ人が情報収集を行っている影響からか、本調査でも「生成AI」という言葉を知っている人は97%にも及びました。
経理などのバックオフィス業務担当者における生成AIへの認知度や活用方法の詳細は以下のようになっています。

Q 「生成AI」を使ったことはありますか?

ある 50%
ない 50%


使ったことが「ある」と、使ったことが「ない」がほぼ半数の結果となりました。
多種多様な業界において生成AIを役立てることができるため、既に活用している企業・事業主も存在する一方で、使用していない企業・事業主も同数いるようです。
これには、AIの学習に利用されるデータの保護に関する問題や、どう使えばよいかわからないといった利用方法の問題が関係していると考えられます。

Q 「生成AI」を使ったことが「ある」と答えられた方に伺います。「生成AI」をどのような用途で使われましたか?

文章の生成(作成)を頼む 63%
調査、検索を頼む 57%
アイデアを聞く 42%
翻訳を頼む 23%
その他 14%


「文章の生成(作成)を頼む」が63%、「調査、検索を頼む」が57%、「アイデアを聞く」が42%となり、生成AIが得意とする「過去の学習データから文章を生成すること」を活かした業務効率化や新規アイデアの創出がメインとなっているようです。
その他には「Excelの式作成のアシスト」や「文章の校正と編集」といった具体的な使用例があり、経理などのバックオフィス業務の一部に役立っているようです。

多くの企業が生成AIの利用に踏み出せない背景

生成AIへの認知はあるものの、未だ導入していない企業も多い状況です。
ここからはそうした企業が生成AIの利用に踏み出せない背景について確認していきます。

Q 「生成AI」を使ったことが「ない」と答えられた方に伺います。今後「生成AI」を使ってみたいと思いますか?

興味はあるがどのようにしたら使えるかわからない 50%
今後使ってみたいと思う 31%
あまり使ってみたいと思わない 19%


「興味はあるがどのようにしたら使えるかわからない」が50%となり、生成AIの利用に前向きではあるものの、使いこなす難しさが生成AIの利用の妨げとなっているようです。
単純な操作方法とは別に、「望んだ回答を得るためにどのように指示したらよいか」という点に難しさを感じている人も多いと予想されます。
また、ChatGPT及び他の生成AIツールでは表記や回答に英語が使われていることも多く、普段英語を利用しない方にとっては使いにくい一面もあります。
このような状況から、誰でも利用できるようにマニュアルの整備が必要になってくると考えられます。


Q 「生成AI」に対するイメージについて教えてください。(※複数選択可)

業務効率・生産性を高める 81%
新しい仕事が創出される 39%
なんとなく怖い 18%
仕事が奪われる 12%
その他 11%


「業務効率・生産性を高める」が81%で圧倒的多数となった一方で「なんとなく怖い」が18%、「仕事が奪われる」が12%を占めました。
このようなマイナスなイメージを解消するためには、生成AIに関する基本的な知識を習得することが重要となってきます。
生成AIはまだ発展中の技術であるため、活用できるか否かは業務内容や使い方による部分が大きい状況です。
学習した過去データから確率が高い文章を生成する仕組みのため、学習した内容や量などによっては精度が低い情報を出力してしまうなど、人間の判断が必要となるケースも多々あります。
あくまで人間が使うツールであることがわかれば、生成AIに対する漠然とした怖さは薄れていくと考えられます。

生成AIを導入している企業の活用実態

では、実際に生成AIを導入している企業はどのようなことに留意しているのでしょうか。

Q 職場で「生成AI」を使用することについてルールや制限はありますか?

生成AIの使用ルールは定められていない 80%
生成AIの使用ルールが定められている 16%
職場では生成AIを使用できないようになっている 4%


「生成AIの使用ルールは定められていない」が80%と、ガイドラインやルールを定めていないケースが多数となりました。
AIに精通している人材が社内に不足していることが予想されます。
生成AIに関するルールが定められておらず、何か起こった時の対処方法もわからないという状況は、前掲のAIに対する「なんとなく怖い」というイメージにもつながっていると考えられます。
また、顧客の重要な情報や個人情報、研究情報などの機密情報を扱う企業では、情報漏洩のリスク回避から生成AIの使用を禁止しているケースもあります。

Q 「生成AI」の整備や導入に関して、困ったときどこ(誰)に相談することが多いですか?(※複数選択可)

自分で調べる 65%
社内のIT担当者 33%
ソフトウェアやハードウェアのベンダー 19%
友人・知人 9%
ITコーディネータや専門のコンサルタント 6%
その他 5%


「自分で調べる」が65%となり、企業単位ではなく個人単位での情報収集が実態となっているようです。
生成AIの情報を発信するSNSアカウントやコミュニティ、専門家による生成AIを学ぶためのウェビナーなどが増えてきているため、それらが情報収集の1つの手段となっていると考えられます。

しかし、企業で生成AIを活用するにはそういった個々の情報収集だけではなく、全社的に取り組む必要があります。
企業として生成AI活用の方針やマニュアルを整備する際、社内に詳しい人材がいない場合は、ベンダーなどの専門家を頼るのも有効です。
生成AIなどの技術導入をする際に、その企業にとってどのような機能やサポートが必要なのかはそれぞれですので、企業独自で進めることに不安がある場合は専門家に相談してみることも検討するとよいでしょう。

※関連サイト:株式会社ミロク情報サービス セミナー・研修会

経理業務における、AIとの今後の関係性について

ここまでは現在の生成AIの認知や活用実態を確認してきました。
ここからは今後の経理業務において、AIがどのような存在になっていくかを見ていきます。

Q 「生成AI」は今後どのような存在になると思いますか?

インターネットやメールと同じように誰もが一般的に使用するようになる 71%
一部の限られた人が使用している状態が継続する 23%
新しいサービスが誕生して生成AIブームはなくなる 6%


「インターネットやメールと同じように誰もが一般的に使用するようになる」が71%と多数となり、生成AIが日常業務において重要なツールになることへの強い期待が伺えます。
一方で23%が「生成AIの使用が特定の専門家や分野に限定されたまま継続する」としており、ハードルが高いと感じている人も多いようです。
多くの人が汎用的に活用できるようになるには、さらなる教育やアクセシビリティの向上が必要となるでしょう。

前掲の質問に対する「興味はあるがどのようにしたら使えるかわからない」という意欲のある状態に対して社内的な体制を整えれば、近い将来多くの企業が生成AIを活用する時代が来ると予想されます。
また、AIの精度が上がっていくにつれて、例えば現在使用している会計システムなどに生成AIが組み込まれていきAIを意識せずとも誰でも使いこなすことができるようになる可能性も高いでしょう。

会計事務所を対象にした同様のアンケートについても、「インターネットやメールと同じように誰もが一般的に使用するようになる」が多数を占めており、今後生成AIは一部の人のみならず誰もが使うことのできるツールとして社会実装されていく期待が持たれています。

※関連サイト:会計事務所白書2024

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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今回の「会計事務所白書」の結果から、生成AIの認知をしている方は多いが、導入に向けては課題が多いことがわかりました。
特に生成AIツールは個人利用が多く、マニュアルやガイドラインなどが整備されていないことから、全社的な導入は少数に止まっているようです。
まずは自社において生成AIツールでできることとできないことを見極める必要がありますが、場合によっては専門家に相談することも重要です。
生成AIが普及していく中で、自社の状況に合わせた生成AIツールの導入を検討してみてください。

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