2021年10月1日、「インボイス制度」にてインボイスを発行するために必要な「適格請求書発行事業者の登録申請」がスタートします。インボイスとは、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額を示すためのもので、現行の区分記載請求書に「登録番号」、「適用税率」、「税率ごとに区分した消費税額等」を明記して発行します。
しかし、このうちの「登録番号」については、2021年10月1日以降に税務署長から承認を受けた事業者しか記載することができないのです。さらに申請には期限が設けられており、2023年5月31日以降は原則、登録申請書を提出することができません。
また、これまで免税事業者だった人が適格請求書発行事業者として登録する場合、原則、登録開始日の前日から起算して1カ月前までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となる必要があります。ただし経過措置として、2023年10月1日を含む課税期間中は選択届出書を提出しなくても、登録申請のみで課税事業者になれる特例が設けられています。
※関連記事:懸念だらけのインボイス制度。今からできる対策とは?
経理/財務消費税 2021/08/04
インボイス発行事業者の申請が10月からスタート!制度改正準備のポイントは電子インボイス!?
経理ドリブンでは、これまで適格請求書等保存方式(インボイス制度)についての記事をいくつか公開してきました。インボイス制度の導入は2023年10月からですが、事前に行うべき発行事業者の申請自体は2021年10月からスタートします。申請を目前に、もう一度インボイス制度についてのおさらいをしてみましょう。
さらに今回は、インボイス制度に上手に対応できる手段の1つ「電子インボイス」について解説します。
本記事は投稿日時点の内容となります。最新の内容は国税庁のWebサイトをご確認ください。
インボイス制度と申請スケジュールのおさらい
電子インボイスとは
インボイス制度が導入されると、インボイスに関する処理はかなり手間がかかると予想されています。売り手側であれば請求書に記載する項目が増えるのはもちろんのこと、買い手側が仕入税額控除を受けるにも、税区分ごとに会計処理を行うなどの労力を要するのです。そのため「免税事業者だから関係ない」というわけにもいきません。
このようなインボイス制度の課題解決につながる手段のひとつが「電子インボイス」です。電子インボイスとはインボイスを電子化する仕組みのことで、インボイスに関する処理を効率よく行うことができます。実際、EUでは電子インボイスが既に紙のインボイスに等しい地位を得ているなど、世界的に電子インボイスの普及が進んでいます。
このようなインボイス制度の課題解決につながる手段のひとつが「電子インボイス」です。電子インボイスとはインボイスを電子化する仕組みのことで、インボイスに関する処理を効率よく行うことができます。実際、EUでは電子インボイスが既に紙のインボイスに等しい地位を得ているなど、世界的に電子インボイスの普及が進んでいます。
電子インボイスには未確定部分も多い
電子インボイスは「電子インボイス推進協議会(EIPA)」が主導して、普及活動や要件策定などを行っています。ただし2021年7月現在、未定の内容も多く、スムーズな導入を行うには最新の情報を常にキャッチアップして理解しておくことが必要です。EIPAでは以下のタイムスケジュールで電子インボイスの環境整備を行うとしています。
これらのスケジュールを意識し、都度、どのような内容になっているかを確認することが重要です。
■EIPAのタイムスケジュール
- 2021年半ば
電子インボイス国内標準仕様(初版)公開予定 - 2022年秋
各企業がシステム運用できる状態を完了 - 2023年10月
インボイス制度開始
これらのスケジュールを意識し、都度、どのような内容になっているかを確認することが重要です。
電子インボイスの管理は実際どうなる?
電子インボイスは、電子インボイスに対応する会計システムを利用した管理が予想されています。会計システムはシステムごとに互換性がないことが多いため、心配な人もいるかと思いますが、電子インボイスの仕様は国内で統一されると決まっているため、それが間違いなければ取引先と異なる会計システムを使っていても問題ありません。
さらに、2021年7月現在、電子インボイスの国内統一規格は世界30カ国が加盟する国際規格である「Peppol(ペポル)」への準拠を目指しています。これが実現すれば、海外企業とのやりとりも国内と同じ方法で行えるようになるでしょう。
なお、電子取引を行った際に電子データを保存する方法は「電子メール」、「Webサイトからのダウンロード」、「クラウドサービス」の3つが国税庁により認められています。これは電子インボイスの送受信も同様です。
※出典:国税庁「適用要件」
さらに、2021年7月現在、電子インボイスの国内統一規格は世界30カ国が加盟する国際規格である「Peppol(ペポル)」への準拠を目指しています。これが実現すれば、海外企業とのやりとりも国内と同じ方法で行えるようになるでしょう。
なお、電子取引を行った際に電子データを保存する方法は「電子メール」、「Webサイトからのダウンロード」、「クラウドサービス」の3つが国税庁により認められています。これは電子インボイスの送受信も同様です。
■電子メールに電子インボイスが添付される場合
- 電子インボイスが添付された電子メールそのものをサーバなどの自社システムに保存する
- 添付された電子インボイスをサーバなどの自社システムに保存する
■発行者のWebサイト上に電子インボイスがアップロードされている場合
- そのWebサイト上に電子インボイスを保存する
- PDFなどでデータをダウンロードできる場合は、Webサイトから電子インボイスをダウンロードしてサーバなどの自社システムに保存する
- 電子データがHTMLデータで表示される場合は、Webサイト上に表示される領収書を画面印刷するか、もしくはPDFなどのデータ形式に変換したうえでサーバなどの自社システムに保存する
■第三者等が管理するクラウドサービスを利用し電子インボイスを授受する場合
- そのクラウドサービスに電子インボイスを保存する
- クラウドサービスから電子インボイスをダウンロードして、サーバなどの自社システムに保存する
※出典:国税庁「適用要件」
**********