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経理/財務消費税 2022/09/20

インボイス制度を機会に請求書の電子化を進めよう!

2023年10月からのインボイス制度に向けて、ペーパーレス化・デジタル化などの対応を進めている皆様も多いでしょう。今回は、2022年秋から始まる電子インボイスも視野に入れながら、インボイス制度に対応していく際の注意点などについてご案内します。

インボイス制度で増える業務負荷

すでにご存知と思われますが、2023年10月から始まるインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、消費税の仕入税額控除を受けるために、適格請求書(インボイス)の発行と保存、帳簿の作成と保存について、法律で定められた要件を満たす必要があります。
そのため、インボイス制度の導入に向けては、

  • 適格請求書発行事業者の登録申請
  • 取引先にインボイス制度への対応状況を確認・調整
  • 請求書、領収書などの書式の見直し
  • 請求書等の保管方法の見直し(紙かデータか)
  • 業務フローや業務ルールの見直し・整備
  • 必要なシステムの選定・導入
  • 従業員への周知・教育

など、さまざまな準備が必要となり、影響の範囲が会社全体や取引先にまで及ぶため、早めのアクションが必要となります。

またインボイス制度がスタートしてからも、経理部門の実務としては、

  • 受領した請求書、領収書等が適格請求書(インボイス)かどうかの確認
  • 軽減税率や免税事業者の経過措置を考慮した記帳
  • 発行または受領した適格請求書(インボイス)の保管

など、今まで以上に手間がかかると考えられています。

業務を飛躍的に効率化する電子インボイス

前述のようなインボイス制度にともなう課題を解決する手段のひとつとして、注目と期待を集めているのが「電子インボイス」です。

電子インボイスは、請求書など受発注に関する電子データをネットワークでやりとりする仕組みのことで、インボイスをより効率的に処理できるようになります。

例えば、単純に適格請求書(インボイス)を電子データ化しても、それがPDF書類であれば、結局は受領側が会計システムなどに手入力しなければなりません。
CSVやXMLのような構造化されたデータであっても、受領する側がそのデータ形式・データ項目に対応していなければ、受領側がデータ加工や手入力をしなければならないのが現状です。

その点、電子インボイスなら、標準化された仕様に従って適格請求書(インボイス)がデータ化されるため、データ加工や手入力をすることなく、そのままシステムに取りこめるようになります。
日本では、国際規格「Peppol」をベースとして、日本の標準仕様「JP PINT」がデジタル庁の管轄で整備されており、2022年の秋には運用がスタートします。それに合わせて、会計/ERP関連のベンダー各社が電子インボイスのさまざまなサービスやアップデートをリリースする予定ですから、大いに期待したいところです。

デジタル化は業務全体を見て計画を

インボイス制度にスムーズに対応し、業務負荷を軽減していくために、国税関係帳簿書類をめぐる業務については、今後さらなるデジタル化やペーパーレス化が求められていくでしょう。

デジタル化やペーパーレス化を推進する際に注意しておきたいのは、「場当たり的な対策をしない」ということです。
例えば、2023年10月にインボイス制度がスタートする一方で、私たちは2024年1月から「電子取引に関するデータ保存義務化」の宥恕措置が終了し、完全義務化されることにも注意しなければなりません。

というのも、電子データとして受け取った領収書や請求書について、改正電子帳簿保存法ではデータ保存が義務づけられていますが、インボイス制度ではプリントアウトして保存することもみとめられているのです。
それぞれの法律・制度だけを見て場当たり的に対策しようとすると、国税関係書類について紙とデータが異なるルールで混在することとなり、業務の混乱や煩雑化を招きかねません。

またインボイス制度の導入は、他部署や取引先にも影響が及ぶイベントです。デジタル化・ペーパーレス化などの対策は、経理部門の業務だけではなく、会社の業務全体、さらには電子インボイスのような将来的な動向も見据えながら計画し、すべてがスムーズに流れるようなシステムを構築することが大切です。
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すべてがスムーズに流れるように、と言われても、さまざまな法改正や新制度が次々に施行され、ビジネス環境が目まぐるしく変化していく現状では、一体どこから手を付ければいいのかとお悩みの皆様も多いでしょう。そんな時は、会計システムやERPのベンダー担当者にご相談ください。インボイス制度や電子インボイスなどのトレンドを踏まえながら、企業それぞれの業務スタイルに最適なシステムを提案してくれるはずです。

マンガで解説!インボイス制度・電子インボイス
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