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ITDX 2019/10/15

キャッシュレス決済は約50%の事業者が手数料に懸念。会計の独自調査から見えるもの(会計事務所白書2019)

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株式会社ミロク情報サービスでは、事業主や税理士・公認会計士を対象に、経理におけるIT化の実態を調査しています。先日、経理ドリブンでは2019年の調査レポートを元に軽減税率制度についてのデータをまとめました。第2弾となる今回は、キャッシュレス化の現状や「キャッシュレス・消費者還元事業」の認知度についてまとめます。

調査概要

調査名:
会計事務所白書
事業主と税理士・公認会計士のキャッシュレス推進に関する実態調査
(事業主/税理士・公認会計士編)
調査主:
株式会社ミロク情報サービス
調査対象:
合計832人
(事業主500人/税理士・公認会計士332人)
※調査対象は飲食・物販、サービス業(宿泊施設などの店舗型サービス)などのオーナーや事業責任者と自営業/税理士・公認会計士
調査期間:
2019年8月9日~2019年8月21日
調査エリア:
全国
調査手法:
インターネット調査

キャッシュレス・消費者還元事業の認知度は約3割程度と低調

まずは2019年10月から始まった「キャッシュレス・消費者還元事業」に関するデータを見ていきます。「キャッシュレス・消費者還元事業」とは、中小規模の事業主に対して、キャッシュレス決済の導入費用を無料にするという国の事業です。また2020年6月までは、手数料が3.25%以下となり、さらにその1/3を国が負担してくれます。

Q キャッシュレス・消費者還元事業をご存じですか
1位 概要のみで内容の細部までは知らない 38.0%
2位 内容も大体把握している 26.4%
3位 聞いたことはあるが、内容は知らない 23.8%
4位 全く知らない 11.8%


内容を把握していると答えた事業主は26.4%にとどまり、概要のみ、もしくはほとんど知らないと答えた事業主は合わせて73.6%にも上りました。その原因の1つは、以下のデータから推測できます。

Q あなたはキャッシュレス決済をお店に導入するための方法やコストをご存じですか
1位 少しは知っている 48.6%
2位 よく知っている 24.8%
3位 聞いたことはあるが、あまり知らない 20.4%
4位 全く知らない 6.2%


よく知っていると答えた事業主は24.8%にとどまり、そもそもキャッシュレス決済への興味がそこまで高くないということが伺えました。

キャッシュレス決済のボトルネックは決済手数料

Q キャッシュレス決済に関するイメージについて、該当するものを教えてください。(複数選択可)
1位 決済手数料が高い 52.4%
2位 現金管理が楽になる 39.2%
3位 初期投資が必要 32.6%
4位 支払いサイクルが長い、手元にすぐ現金が入ってこない 27.2%
5位 売上管理が楽になる 26.0%


上記の結果から、事業主の過半数が「決済手数料が高い」というイメージを持っていることがわかります。実際、「支払いがクレジットのみだと利益がほとんどなくってしまうため、ランチ代は現金払いを推奨している」という居酒屋もあるようです。

一方で、現金管理、売上管理が楽になるというイメージを持っている事業主は、合わせて全体の44%となりました。デメリットのイメージを超えることはできませんでしたが、キャッシュレス決済が現金、売上管理の改善にも少なからず期待を持たれていることがわかります。この傾向は税理士・公認会計士も同じで、「現金管理が楽になる」と回答した人は56.3%と最も多くなりました。

キャッシュレス決済の導入は今が肝心

Q キャッシュレス決済を導入してよかった点はどんなことですか?
1位 集客力が上がった 21.7%
2位 財務状況をリアルタイムで把握できるようになった 21.3%
2位 横領や犯罪の防止 21.3%


上位の項目は僅差となっており、どの点に対しても効果が見込まれることがわかります。

「財務状況をリアルタイムで把握できるようになった」については、キャッシュレス決済に対応したクラウド会計システムを導入すれば、財務状況の把握だけでなく、仕訳や経費申請などの業務も自動化されます。これは期待値の高かった現金、売上管理にも直結していると考えられるため、非常に有効です。財務状況がデータ化していることで、顧問税理士や会計士との確認作業もスムーズになります。

※参考資料:ミロク情報サービスでも手軽に導入できる「かんたんクラウド会計」

今後、上記のようなメリットが広まっていけば、キャッシュレス決済は徐々に一般的になることが考えられます。現時点で未対応の事業主もいずれ対応の必要が出てくるでしょう。
初めて導入するとなると様々な懸念があるかと思いますが、最大の障壁となっている決済手数料については「キャッシュレス・消費者還元事業」を利用することで、前述の通り、2020年6月までの手数料は減額されます。

※参考記事:「キャッシュレス・消費者還元事業」がついにスタート!押さえておくべきポイントは?

事業の適応期間中にキャッシュレス決済を軌道に乗せることができれば、期間が終了した後でも効率よく運用することができます。

※関連サイト:会計事務所白書
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今回の「会計事務所白書」の結果から、事業者にとってキャッシュレス決済はまだ課題があるという認識が多く、補助事業の認知度も低いことがわかりました。中小事業者の多くがキャッシュレス決済に切り替えるには、まだ時間がかかりそうです。しかし「キャッシュレス・消費者還元事業」を活用できる今のタイミングは、導入の最大のチャンスとも考えられます。世の中が着々とキャッシュレス化に向かって進んでいる今、まだ未対応という事業者は、タイミングを見極めながら切り替えの検討をしてください。

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