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経理/財務税務(税金・節税) 2019/03/12

提案で会社に貢献!経理担当者がチェックすべき決算前の節税対策とは

棚卸表の作成、現金出納帳のチェック、領収書や納品書・請求書などの帳簿整理、債権の整理……。決算月が近づくと仕事が慌ただしくなる経理担当者も多いのではないでしょうか。ミスなくきっちりと業務をこなすことも大切ですが、もう一歩進んだ取り組みとして、決算と関連性の強い「節税対策」への見地を広げてみることもおすすめです。もしかすると会社貢献に直結する提案が思い浮かぶかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

決算月までにチェックすべき節税対策10選

経理担当者が決算月までにチェックすべき10の節税対策をまとめました。ただし、いずれの節税対策も経営者の決済や準備に時間がかかるケースがあるため、あらかじめどの節税対策が自分の会社に合っているのかを知っておくことが重要です。

■決算月までにチェックしておく節税対策候補
  • 30万円未満の備品を購入
  • 社内旅行の実施
  • 決算賞与の支給
  • 中小企業倒産防止共済への加入
  • 生命保険の加入や見直し
  • 固定資産の処分
  • 修繕の実施
  • 広告宣伝の実施
  • 家賃の前払い

上記の中でも、今回は多くの企業で検討されている「1.30万円未満の備品購入」と、比較的経理の現場からも提案しやすい「7.修繕の実施」による節税対策をピックアップして解説します。

30万円未満の備品購入による節税

中小企業の節税対策として、まず挙がるのが「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の活用です。 通常、決算月に減価償却資産を購入した場合は1カ月分しか減価償却費を計上できません。ところが、この特例は一定の条件を満たせばその取得価額すべてを経費として算入することが認められているのです。つまり、購入したのが事業年度末であっても全額を経費処理することが可能になり、急に節税対策をしなければならないときに有効な手段となります。法人が特例を受ける条件は以下の通りです。

  • 青色申告法人である中小企業者または農業協同組合など(従業員の数が1,000人以下)であること
  • 備品を2020年3月31日までに取得していること

※参考資料:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

以前は、適用期間は2018年3月31日までとされていましたが、同年4月の改正で延長が決まりました。条件にあてはまり、なおかつ備品購入の予定がある場合は、早めの購入を提案することで節税のチャンスが増えます。

特例の対象になる資産

「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の対象になるのは、30万円未満の減価償却資産となります。その一例を挙げてみましょう。

■有形減価償却資産
  • 建物
  • 機械装置
  • パソコン
  • デスク

■無形減価償却資産
  • ソフトウェア
  • 特許権
  • 商標権

注意点としては「各年度で一括で経費計上できる資産の合計額は300万円未満」、「取引の単位ごとに判定(=デスクセットは、デスクとイスで判定される)」などが挙げられます。

修繕費の計上による節税

もうひとつの対策、「修繕の実施」について考えていきましょう。

修繕費とは、建物や機械、備品などのメンテナンスや修理をしたときに使用する勘定科目です。先述した「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」と同様に一括で経費計上が可能なので、決算直前の工事でも税金を抑えることが可能です。 ただし、修繕の内容が「資本的支出」に当てはまってしまうと、修繕費ではなく「減価償却資産」として計上しなくてはならないので注意が必要です。減価償却資産では節税にはつながらないほか、誤って修繕費として計上してしまうと利益の過少申告と見なされて、「延滞税」、「過少申告加算税」が課される恐れがあるので、しっかりと判断しましょう。

■修繕費に当てはまるポイント
  • 無条件で修繕費として経費算入できる支出
    支出額が「20万円未満」または「3年以内の周期」によるもの。
  • 資本的支出か修繕費かが不明確な支出
    支出額が「60万円未満」または「その資産の前期末取得価額の10%以下」であるものは、修繕費として損金算入することができる。
  • 資本的支出か修繕費かが不明確でかつ「2」の要件を満たさない支出
    「支出額の30%」または「その資産の前期末取得価額の10%」のいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしている場合、修繕費とした金額を損金算入することができる。
※前期末取得価額=原資取得価額+前期末までに支出した資本的支出の額
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むやみやたらに備品を購入したり修繕したりすることはNGですが、必要性がある場合には節税への大きなメリットが得られます。「応接室の備品がボロボロです。今年は利益が多く出たので新調しませんか?節税にもつながりますよ」などの提案をしてみると上司や経営者から一目置いてもらえるかもしれません。まずは社内を見回って、足りない備品や修繕が必要な機械などをチェックしてみてはいかがでしょうか。

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