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業務全般制度改正 最終更新日:2026/04/21

少額減価償却資産が40万円未満へ拡大!令和8年度税制改正で何が変わる?処理判断で迷わないために【仕訳例あり】

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  • 少額減価償却資産の特例とは、一定金額以下の固定資産を使用開始した事業年度に全額損金算入できる制度であり、中小企業者は年間300万円まで適用できる。
  • 令和8年度税制改正により、即時損金算入の取得価額基準は30万円未満から40万円未満へ引き上げられ、対象資産の範囲が拡大した。
  • 改正後は従業員数400人以下への要件見直しや施行日基準での判定、一括償却資産との選択など、税負担を踏まえた実務判断が重要となる。

令和8年度税制改正により、少額減価償却資産の特例で即時損金算入の対象となる取得価額の基準が、「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられました。
これにより、これまで資産計上が必要だった備品やソフトウェアの一部が、即時損金算入の対象となります。
一方で、適用時期や対象企業の範囲、一括償却資産との使い分けなど、経理実務では確認すべきポイントも少なくありません。
本記事では、少額減価償却資産の現行制度、令和8年度税制改正の内容、実務上の留意点をわかりやすく整理します。

少額減価償却資産の特例とは

法人が取得する固定資産は、原則として取得した事業年度で全額を損金とするのではなく、原則として耐用年数にわたって減価償却により毎期按分して損金算入するのが税務上のルールです。
これに対し、少額減価償却資産の特例とは、取得価額が一定金額以下の資産について、例外的に即時または短期間で損金算入を認める制度をいいます。
現行制度では、取得価額に応じて「10万円未満」、「20万円未満」、「30万円未満(中小企業者等の特例)」の3つの区分があり、それぞれ損金算入の方法や適用要件が異なります。

※減価償却の起点となるのは「購入日」ではなく「事業の用に供した日(使用開始日)」です。例えば、3月31日に資産を取得し、翌期の4月1日から使用を開始した場合には、その資産は翌事業年度の損金として処理することになります。


10万・20万・30万円の価格帯での処理の違い
まずは改正前の情報も含めて、取得価額に応じた3つの区分の違いを確認しましょう。

取得価額10万円未満:全額を即時経費算入
取得価額が10万円未満の資産、または使用可能期間が1年未満の資産は、使用開始した事業年度において、消耗品費などで全額を損金算入できます。
また、固定資産のうち事業用の償却資産には固定資産税(償却資産税)が課されますが、取得価額が10万円未満の資産については、原則として償却資産税の申告対象にはなりません。

※関連記事:償却資産税がかからない償却資産の特例とは?

取得価額10万円以上20万円未満:一括償却資産
取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、「一括償却資産」として取り扱い、3年間で均等に償却することができます。
具体的には、取得価額の3分の1ずつを3年にわたって損金算入しますが、通常の減価償却資産とは異なり、途中で売却や除却を行った場合でも未償却残高を一時に損金算入することはできず、3年間で均等償却を継続します。
また、一括償却資産として処理した場合には、固定資産税(償却資産税)の課税対象から除外されます。

なお、この金額帯の資産については、「一括償却資産」として処理する方法のほか、中小企業者等に認められる「中小企業者の少額減価償却資産の特例(30万円未満の即時損金算入)」の適用も検討対象となります。
どちらの方法が有利かは、損金算入のタイミングや適用要件を踏まえて判断することが重要です。

取得価額10万円以上30万円未満:中小企業者の少額減価償却資産の特例
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(中小企業者の少額減価償却資産の特例)は、中小企業者等が青色申告を行っている場合に適用できる制度です。
本特例を適用すると、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、使用開始した事業年度において取得価額の全額を損金算入することができます。
対象となる資産は、パソコンや机などの有形固定資産に加え、ソフトウェアや特許権などの無形固定資産、中古資産も含まれます。
ただし、1事業年度における適用額の合計は300万円が上限とされています。

また、本特例を適用する場合には、確定申告書に別表16(7)「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付する必要があります。
なお、本特例により全額を損金算入した場合であっても、当該資産は固定資産税(償却資産税)の申告対象となる点には注意が必要です。


処理の違いについてのまとめ
少額の減価償却資産 一括償却資産 中小企業者の少額減価償却資産の特例(改正前)
対象資産 取得価額10万円未満 取得価額10万円以上20万円未満 取得価額10万円以上30万円未満
対象企業 すべて すべて 中小企業者等
損金算入制度 使用開始した事業年度 使用開始した事業年度から3年間 使用開始した事業年度
年間の損金算入可能額 全額即時損金算入 取得価額×12/36 全額即時損金算入
償却資産税の申告対象 対象外 対象外 対象
※参考資料:国税庁タックスアンサー「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
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【2026年改正】令和8年度税制改正で何が変わる?40万円未満への引き上げと改正前後の比較

中小企業者の少額減価償却資産の特例は、平成15年度税制改正により創設された制度です。
これまで取得価額の上限は30万円未満とされてきましたが、令和8年度税制改正により、この基準額が見直されました。
具体的には、物価上昇やIT機器の価格動向などを踏まえ、上限額が40万円未満へ引き上げられています。

※参考資料:財務省「令和8年度税制改正大綱


主な改正点
令和8年度税制改正では、中小企業者の少額減価償却資産の特例について、以下の見直しが行われました。

1.取得価額基準の引き上げ(30万円未満 → 40万円未満)
即時損金算入の対象となる取得価額の上限が、「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられました。
これにより、従来は対象外であった高性能なノートパソコンやタブレット端末、業務用ソフトウェアなども、新たに即時損金算入の対象となります。
なお、有形固定資産に加え、ソフトウェアや商標権などの無形固定資産、中古資産についても、引き続き対象とされています。

2.適用対象となる企業規模の見直し(500人以下 → 400人以下)
常時使用する従業員数の要件については、従来の500人以下から400人以下へと引き下げられました。
このため、従業員数が400人前後の企業については、各事業年度の期末時点における従業員数に基づき、適用可否を慎重に判定する必要があります。

3.適用期限の延長(令和11年3月31日まで)
本特例の適用期限は、令和11年3月31日まで延長されました。
本制度は時限措置であるため、今後の税制改正における延長や見直しの動向についても継続的に確認することが重要です。


改正前後での比較
項目 現行(改正前) 改正後
取得価額の上限 30万円未満 40万円未満
年間上限額 300万円 300万円(変更なし)
適用対象企業の従業員数 500人以下 400人以下
青色申告・損金経理要件 必要 必要(変更なし)

中小企業投資促進税制の価格基準も連動改正
今回の改正に伴い、中小企業投資促進税制における取得価額要件についても見直しが行われ、一定の資産については「1台または1基の取得価額が30万円以上」から「40万円以上」へ引き上げられました。
中小企業投資促進税制の適用を受ける場合には、取得価額の30%の特別償却、または取得価額の7%の税額控除のいずれかを選択適用することができます。
少額減価償却資産の特例とあわせて活用を検討する際には、こうした関連税制における取得価額要件の変更についても、あらかじめ確認しておくことが重要です。
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経理担当者が押さえるべき実務対応

今回の改正では、金額基準の引き上げに加え、適用時期や資産区分の判断が実務上のポイントとなります。
施行日前後の取り扱いや、10万円以上20万円未満の資産の扱いについて、経理担当者として押さえておくべきポイントを整理します。


改正法の施行日を境に金額の判定基準が切り替わる
改正後の40万円基準は、施行日以後に取得し、事業の用に供した資産から適用されます。
適用の切り替えは事業年度単位ではなく、個々の資産ごとに判定されます。
このため、特に2026年は施行日の前後で異なる金額基準が混在することになります。
例えば、12月決算法人の場合、2026年1月から施行日までに取得・使用開始した資産には現行の「30万円未満」の基準が、施行日以後に取得・使用開始した資産には改正後の「40万円未満」の基準が適用されます。
固定資産台帳などにおいて、各資産の取得日および使用開始日を正確に把握できるよう管理しておくことが重要です。


仕訳例(改正前後の比較)
2026年の施行日前後で、税込330,000円のPCを購入し、その日のうちに使用開始した場合の仕訳を考えてみましょう。
※税込経理を前提とします。

改正前
取得価額が30万円以上であるため、中小企業者の少額減価償却資産の特例は適用できず、器具備品として資産計上し、耐用年数(4年)にわたり減価償却を行います。

使用開始時
借方 金額 貸方 金額
器具備品 330,000 現金預金 330,000
期末
借方 金額 貸方 金額
減価償却費 82,500 減価償却累計額 82,500
改正後
取得価額が40万円未満となるため中小企業者の少額減価償却資産の特例の適用対象となり、使用開始した事業年度に全額を損金算入できます。

使用開始時
借方 金額 貸方 金額
消耗品費 330,000 現金預金 330,000
ただし、法人税の確定申告においては、別表16(7)の添付が必要です。
また、償却資産税の課税対象となるため、固定資産台帳への記帳も必要となります。


年間上限額300万円の管理にも注意
今回の改正では、年間上限額300万円は据え置かれたまま、対象資産の単価上限のみが40万円未満に引き上げられました。
1件あたりの金額が大きくなる分、上限に到達するペースが速まる可能性があります。
複数部門で備品購入が行われる企業では、部門横断での管理体制を整備しておくことが重要です。
なお、上限を超えた部分については、通常の減価償却資産として耐用年数にわたり減価償却を行います。


10〜20万円の固定資産は処理方法の選択が重要
少額減価償却資産の特例が適用できる金額帯であっても、取得価額が10万円以上20万円未満の資産については、一括償却資産(3年間の均等償却)を選択した方が、トータルコストの観点で有利となるケースがあります。
これは、固定資産税(償却資産税)の取り扱いの違いによるものです。
先述の通り、少額減価償却資産の特例を適用した資産は償却資産税の課税対象となりますが、一括償却資産とした場合は課税対象外となります。
償却資産税は、土地や家屋を除く事業用資産を対象とし、課税標準額の合計が150万円の免税点を超える場合に、原則として1.4%の税率で課されます。
そのため、即時償却による法人税の節税効果よりも、償却資産税の負担の方が大きくなるケースも考えられます。
設備投資が多い企業では、法人税と償却資産税の双方を踏まえたトータルコストで比較・検討することが重要です。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
会計業務の効率化に、柔軟性と迅速性を発揮
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令和8年度税制改正により、少額減価償却資産の特例における取得価額基準は「40万円未満」へ引き上げられました。
これにより、設備投資の判断や経理処理の選択肢が広がる一方で、適用時期や資産区分の判断など、実務上の留意点も増加します。
改正内容に加え、一括償却資産との使い分けや税負担への影響も踏まえ、適切な固定資産管理と税務対応を行うことが重要です。

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