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経理/財務会計処理 2021/08/23

減価償却とは?概要から定額法と定率法のメリットデメリットまでかんたん解説!

時間の経過などによって価値が減っていく資産を「減価償却資産」と言います。「減価償却資産」は使用可能期間の全期間で分割をして経費としていくべきものです。
取得にかかった経費を、各年分の経費として費用計上し分配していく手続きのことを「減価償却」といいます。「減価償却」は計算方法が定額法と定率法があるので、少し複雑に感じるかもしれません。
今回は定額法と定率法の計算方法やメリット・デメリットも解説いたします。

  • 投稿日:2017/05/30
  • 更新日:2021/08/23

減価償却とは

減価償却をごく簡単に説明すると、買った時に一度に費用にせず、数年に分けて少しずつ費用に分ける仕組み、と言うことになります。例えば。5000万円の設備を購入したとします。これを購入した年の決算ですべて費用計上したらどうなるでしょう。その年はかなりの赤字となってしまいます。その次の年は反動で利益が出すぎてしまうかも知れません。

これでは、適切な決算ができないということで、毎年少しずつ費用計上する減価償却という仕組みができました。減価償却を何年に渡って費用計上していくかを耐用年数と言いますが、これは税法上で決まっています。

例えば、一般の自動車は6年、パソコンは4年となっています。冒頭でもふれましたが、社用車は4年落ちの中古車が良いと言われるのも、4年落ちならこの耐用年数が短くなっているため初年度である程度の費用計上ができ、節税対策になるからです。主な減価償却資産の耐用年数は、国税庁のホームページに掲載されています。

減価償却の始まりは明治36年

日本における資産の減価償却の歴史は、明治36年に始まったとされています。当時、岩崎弥太郎が率いる日本郵船が所有する大量の船についての行政訴訟が発端でした。

訴えの理由は、海運業者にとって船は莫大な投資が必要な資産。この投資額がいつまでも費用(損金)にできないと、新しい船に買い換えもままならず商売が破綻するという主張でした。この訴訟で国が負け、減価償却が認められたのが始まりです。

さらに、第二次世界大戦中に減価償却費の割り増しに関する大規模改正がありました。
この改正は、当時、昼夜を問わず工場を稼働させていたため設備の劣化も速く、その分減価償却費の割り増しを認めるというものでした。そこには、企業の設備投資を促進させ、生産拡大による戦争貢献という国の思惑があったとされています。

※参考資料:国税庁:税法上の減価償却制度の沿革

減価償却の計算方法

一般的に減価償却の計算方法は、定額法と定率法があります。それぞれの特長をみてみましょう。

【定額法】
減価償却の額が毎年均等になるように費用計上する方法。この場合、5年なら1/5=0.2と均等に割り切れるのですが、3年(1/3=0.3333・・・)や6年(1/6=0.16666・・・)など割り切れないケースも出てきます。この場合、実際の計算は耐用年数ごとに税法で定めた定額法の償却率を活用します。詳しくは国税庁の減価償却資産の償却率表を参照ください。

定額法のメリット
  • 定率法より当初の償却額が小さくなるので初期の費用を抑えることができる
  • 計算が単純で償却額や未償却残高が算出しやすい
定額法のデメリット
  • 資産の収益力が低下し保守費等がかさむ後年になると負担比率が高くなる


【定率法】
減価償却の額は最初の年ほど多く、年々減少していく方法。毎年、減価償却資産の取得価額から前年までに減価償却した額を引いた残高に対して一定の率を乗じて減価償却費を計算します。

定率法のメリット
  • 早期の費用化が可能で投資額の資金回収を早めることができる
  • 初期に多額の費用が計上されるため早期の節税が可能

定率法のデメリット
  • 初期段階の償却負担が重く利益を圧迫する可能性がある
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減価償却を正しく理解することは、会計処理を行う上で不可欠です。
節税対策を含め、経営層に貴重なアドバイスを行うためのリソースともなります。ここで紹介した基礎知識をきっかけに知見を深め、ひとつ上の経理担当を目指してください。
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