HOME 税金/節税 DX促進に電子帳簿保存法の要件緩和…令和3年度税制改正大綱はデジタル化にも有効!
税金/節税 2021/04/06

DX促進に電子帳簿保存法の要件緩和…令和3年度税制改正大綱はデジタル化にも有効!

4月1日から適用されている令和3年度税制改正大綱は、「新型コロナウイルス対応」、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「脱炭素」を目的とした新制度の創設および既存の税制の見直しを中心とした構成となりました。
税制改正大綱は、個人所得課税、資産課税、法人課税、消費課税、国際課税、納税環境整備、関税のカテゴリーに区分されて内容がまとめられています。
今回はこのうち、企業に関する税の中心となる「法人課税」と、その納税方法に関わる「納税環境整備」の2つのカテゴリーから改正ポイントを解説します。

法人課税1:DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制の創設

デジタル技術によってサービスや製品、業務、組織などを改善することを「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と言います。「DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制」ではDXの促進を目的とし、DXへの投資額に対して3%、5%の税額控除または30%の特別償却を行います。
投資例として、クラウド化などのデジタル環境の構築が挙げられています。

■課税の特例の内容
対象設備 税額控除 特別償却
ソフトウェア
繰延資産
機械装置
器具備品
3% 30%
5%
※対象設備は同法の施行日から2023年3月31日までに導入したものに限ります。

この制度の対象は青色申告をしている法人であり、事前に「事業適応計画(仮称)」の認定要件を満たして国から認可をもらう必要があります。事業適応計画の認定については、産業競争力強化法により「デジタル要件」と「企業変革要件」を満たさなければなりません。

■事業適応計画の認定要件
要件 内容
デジタル要件 データ連携・共有
クラウド技術の活用
独立行政法人情報処理推進機構による「DX認定」の取得
企業変革要件 全社の意思決定に基づくものであること
一定以上の生産性の向上が見込まれること
ほか

法人課税2:中小企業向けの投資増大、所得拡大促進の制度の延長と拡大

中小企業を支援するための税制改正は前年度以前から行われており、令和3年度税制改正大綱でもその継続や拡大などが行われています。主な項目は以下の通りです。

■中小企業者等の法人税率の特例の現行制度との違い
現行制度 改正案
租税特別措置法 年間所得額800万円以下の企業を対象に、法人税率を15%に軽減
  • 適用期限を2年延長
中小企業投資促進税制 特定の機械や設備などを取得した中小企業を対象に、30%の特別償却もしくは7%の税額控除
  • 適用期限を2年延長
  • 対象の業種を追加
  • 別制度の「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」を統合
中小企業経営強化税制 「特定経営力向上設備等」を取得した中小企業を対象に、即時償却もしくは7%の税額控除
  • 適用期限を2年延長
  • 取得対象に「経緯資源集約化設備」を追加

また、従業員の給与を増やした場合、増加した金額の一部を控除できる「所得拡大促進税制」の要件が緩和されました。

■所得拡大促進税制の現行制度との違い
現行制度 改正案
通常要件 1) 継続雇用者給与等支給額が前年比で1.5%以上
2) 給与等支給額の増加額が前年度以上
給与等支給総額(企業全体の給与)が前年度比で1.5%以上
上乗せ要件 継続雇用者給与額前年比2.5%増であり、次のいずれかを満たすこと

  • 教育訓練費が対前年比10%以上増加
  • 中小企業等経営強化法にもとづく経営力向上計画の認定を受けており、確実になされていること
給与等支給総額(企業全体の給与)が前年比2.5%増であり、次のいずれかを満たすこと
  • 教育訓練費が対前年比10%以上増加
  • 中小企業等経営強化法にもとづく経営力向上計画の認定を受けており、確実になされていること

法人課税3:コロナ禍を踏まえた賃上げおよび投資促進に係る税制の見直し

新規雇用者に対する給与を一定以上の割合で増加させた企業に対して、税額控除を行う制度が新設されます。これは新型コロナウイルスの影響による企業の雇止めを防ぐことを目的としています。

■税額控除の内容
  • 新規雇用者給与等支給額の15%の税額控除
  • 当期の教育訓練費が前期の教育訓練費の1.2倍を満たす場合、「1」の税額控除率にさらに5%上乗せ
    ※税額控除額は法人税額の20%を限度とする。

■新規控除の要件
  • 新規雇用者給与等支給額の対前年増加率が2%
  • 雇用者給与等支給額が対前年度を上回ること

納税環境整備1:押印義務の廃止

従来は必須であった、納税関係書類における押印が廃止されました。ただし、すべての書類に押印が不要となるわけではありません。実印、印鑑証明書が必要な手続きなどでは、押印が求められるので注意が必要です。

■押印義務廃止の原則と例外
税務関係書類の分類 押印の要否
原則 全般
※確定申告、扶養控除等申告書など
不要
例外 担保提供関係書類 必要
遺産分割協議書

納税環境整備2:電子帳簿保存法の見直し

経理業務や税務申告におけるDXを促進する制度の1つとして、電子帳簿保存法の要件が緩和されます。改正の狙いは、経理を電子化することによる「生産性の向上」と「テレワークの推進」、さらにクラウド会計ソフト等の活用促進による「企業の記帳レベルの向上」とされています。 これは2022年1月1日以降に適用される予定です。

■電子帳簿保存法の見直し
  • 税務署長による事前承認が不要となる
  • 電子帳簿の作成に必要な経理システムの基準が下がる
  • 優良な電子帳簿に対してインセンティブ(控除の上乗せなど)を実施

従来、電子帳簿保存法を利用するためには、開始日の3カ月前までに税務署からの承認を受ける必要がありました。これが今回の改正で不要になります。
また、時刻証明のために必要な「タイムスタンプ」の要件も大きく緩和されます。変更点は以下の通りです。

■タイムスタンプの要件の緩和
現在 改正後
付与期間 領収書を受け取って3営業日以内 領収書を受け取った翌日から最長2カ月以内
自署 領収書に本人の自筆の署名が必要 自署は不要
タイムスタンプの不要条件 訂正・削除の履歴を確認できるシステムのみ 「現在」よりも緩い条件を満たすシステムであればタイムスタンプ不要

さらに、国税関係の書類をスキャナ保存する際、真実性を確保するために求められる「事務処理要件」が不要になるほか、可視性を確保するための「検索要件」が1つになるなど、電子帳簿保存法を活用しやすい環境が今回の改正で大幅に改善されました。

■事務処理要件の廃止事項
廃止事項 現在 改正後
改ざんの確認のための相互けん制 必要 不要
原本廃棄前の定期検査 必要 不要

■検索要件の緩和
検索要件 現在 改正後
取引年月日、取引金額その他主要な記録項目 必要 日付、金額、取引先のみ
日付または金額の範囲を指定して検索 必要 不要
2以上の任意の項目を組み合わせて検索 必要 不要
**********

法人課税と納税環境整備の側面から、令和3年度税制大綱のポイントについて解説しました。DXの促進や、業務効率化に直結する押印義務の廃止、電子帳簿保存法の見直しは経理の現場にも大きな影響があると考えられます。有益な制度は早めに詳細を把握し、利用することで業務の効率化にもつなげることができます。

人気記事ランキング - Popular Posts -
記事カテゴリー一覧 - Categories -
関連サイト - Related Sites -

経理ドリブンの無料メルマガに登録