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税金/節税 2020/06/23

源泉所得税のいまさら聞けない基礎知識

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源泉所得税は、会社員への給料やフリーランス・個人事業主への報酬の支払いの際に、必ず処理しなければならない税金です。月次作業のため、経理担当者にとっても身近な存在であるかと思いますが、そもそもの仕組みは理解できているでしょうか。今回は、源泉所得税の概要と計算方法について解説します。

源泉所得税とは

源泉所得税は所得税の一種で、個人が会社から受け取った給与や賞与の金額によって負担するものです。企業は「源泉徴収義務者」として「源泉徴収」が義務付けられており、通常では毎月、本人に代わって給与から源泉所得税を天引きし、税務署に納付しています。対象はパート・アルバイトを含む社員だけでなく、外注・請負先となるフリーランスや個人事業主なども含まれることがあります。

所得税には「源泉所得税」の他に「申告所得税」があり、それぞれ納付方法が異なります。申告所得税は個人が申告して納税するもので、年に一度、賞与、報酬などを含めた1年間の所得をもとに控除額を計算し、確定申告・年末調整などでまとめて納付します。 対する源泉所得税は、各月から一定額を天引きして納付するもので、払い過ぎた分は年末調整で「還付金」として返却されます。これは、分割で納付することによる納税者の負担軽減と、安定した税金の徴収などを目的としています。

※出典:国税庁「源泉所得税」

源泉所得税の計算方法

源泉所得税の税額は、国民年金、国民健康保険、健康保険・厚生年金などを給料から差し引いた毎月の「社会保険控除後の給与」から、毎年、国税庁が公表する「給与所得の源泉徴収税額表」を基準に算出します。
「給与所得の源泉徴収税額表」には、月払いに用いる「月額表」、日払い・週払いに用いる「日額表」、賞与に用いる「賞与に対する源泉徴収額の算出率の表」があるので、それぞれの状況に応じた表を利用してください。

さらに、扶養控除や障害者控除などを受けるために必要な「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出したかによっても税額は異なります。給与所得の源泉徴収税額表では以下のように違いが記されています。

  • 甲…「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した者
  • 乙…「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出していない者

実際に令和2年分の表をもとに正社員の源泉所得税額を算出してみます。

※出典:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)」

源泉所得税の算出方法(正社員Aの場合)
  • 社員Aの給与所得者の扶養控除(異動)申告書の提出状況を確認。提出済みであり扶養する人数は2人だった。
  • 社員Aの給料は18万円、社会保険料は2万円であり、社会保険料等控除後の支払い額は16万円だった。
  • 月額の源泉徴収税額表の「甲」の「159,000以上、161,000以下」かつ、扶養親族「2人」の行の税額を確認する。

■給与所得の源泉徴収税額表(令和2年分)
その月の社会保険料等控除後の給与等の金額
扶養家族等の数
0人 1人 2人 3人 4人 5人 6人 7人
以上 未満 税額 税額
88,000 89,000 130 0 0 0 0 0 0 0 3,200
159,000 161,000 3,340 1,720 100 0 0 0 0 0 10,200
※掲載上の都合、一部表記を加工しています。

上記の結果、社員Aの月額の所得税額は「100円」ということが明らかになりました。企業は源泉所得税額100円を、社会保険料等控除後の給与16万円から天引きして納付することになります。
基本的には上記の流れで社員一人一人の源泉所得税を算出していきますが、シフト制などのパートやアルバイトが対象の「日額表」は、基準となる給与や税額が異なるので、それぞれに適した表を参照してください。

源泉所得税の納付方法・期限と特例

企業は原則として、上記のように算出した源泉所得税を給料や報酬から差し引き、給料の場合は「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」、報酬の場合は「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」に記入して、毎月、税務署に納付しなければなりません。
納付期限は毎月10日と決められており、主な納付方法は「クレジットカード」、「ネットバンキング」、「銀行・郵便局(納付書必須)」、「ATM」、「ダイレクト納付」の5つです。このうち、銀行・郵便局以外の方法はe-TAXの登録と手続きが必要です。

しかし、本来は納税者の経済的負担を軽減するための分割納付であるものの、毎月、源泉所得税を算出するのが稼働の負担となる場合もあります。そのため、稼働を削減するための措置として、事前に申請すれば納期を年2回に抑えられる「納期の特例」が設けられています。これを利用することで、1回につき6カ月分の源泉所得税をまとめて納付することができます。給与の支払いを受ける人数が常時10人未満の事業者が対象となっているので、該当の企業は特例の活用も検討してみてください。

※関連記事:経理の基本!源泉徴収の「納期の特例」について
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個人に代わって企業が納税の責任を持つ源泉所得税の処理は、とても重要なものです。個々に対応した金額を算出しなければならないこと、月々の作業が発生することから、手間がかかる印象もあるかと思いますが、計算の仕組みはそう難しいものではありません。また、支払いについても「ダイレクト納付」などを使用すれば比較的、時間をかけずに対応することができます。
それでも手間を感じる場合は、納期の特例も検討してみてください。利用に条件はあるものの、活用できれば確実に稼働削減が実感できるでしょう。

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