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経営計画 2020/05/19

キャッシュフロー分岐点売上高を理解して安定した経営へ

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経営状態を示す代表的な指標に、利益の基準となる「損益分岐点売上高」と、資金繰りの基準となる「キャッシュフロー分岐点売上高」があります。安定した経営を行うにはこの二つの指標を把握することが重要であり、どちらか一つだけのチェックではリスクを見落としかねません。
例えば、「損益は黒字なのにキャッシュフローが赤字」というのは異常であり、この状態を回避するためにはどちらの指標も理解する必要があります。
今回は二つの指標のうち、「キャッシュフロー分岐点売上高」に焦点を当て、概要と計算方法を解説します。

キャッシュフローとは

キャッシュフローとは「キャッシュ」と「フロー」を合わせた言葉で、「キャッシュ」は現金、普通預金、当座預金などの資金を、「フロー」はそれら資金の流れを示しています。この考え方を踏まえ、資金の流出を「キャッシュアウト(もしくはキャッシュアウトフロー)」、資金の流入を「キャッシュイン(もしくはキャッシュインフロー)」といいます。

■キャッシュアウトの例
  • 給与の支払い
  • 家賃の支払い
  • 商品の仕入れ金額の支払い(買掛金の支払い)
  • 借入金の返済

■キャッシュインの例
  • 売掛金(売掛債権)の回収
  • 金融機関からの借入
  • 株式の発行

キャッシュフローは「キャッシュイン」から「キャッシュアウト」を差し引いた値です。
利益が増えても、キャッシュフローがマイナスであれば資金が不足していることになります。そうなると、長期的な経営が困難となり、倒産のリスクが高くなるのです。このような事態を防ぐために、事業のキャッシュフローを正しく理解し、キャッシュフローを黒字にする必要があります。

キャッシュフロー分岐点売上高とは

キャッシュフロー分岐点売上高とは、事業運営に必要な最低限の売上高を示したものです。損益分岐点売上高が利益をゼロとして計算するものに対し、キャッシュフロー分岐点売上高は、仕入費用、借入金の返済額、経費などを含めた収支をゼロとします。基本的に、キャッシュフロー分岐点売上高は損益分岐点売上高よりも値が大きくなります。

※関連記事:損益分岐点売上高と限界利益で経営計画の基礎を学ぶ

■発生主義と現金主義
キャッシュフロー分岐点売上高と損益分岐点売上高は、算出時に異なる考え方を用います。キャッシュフロー分岐点売上高は、入金時に収益、出金時に費用を計上する「現金主義」を用いて算出するのに対し、損益分岐点売上高は、入出金のタイミングだけでなく、掛取引などの「経済的事実」が発生した時点で計上する「発生主義」に則って算出されています。

※関連記事:支払遅延や貸し倒れ。売掛金を巡るトラブルと回収方法

キャッシュフロー分岐点売上高の計算方法

キャッシュフロー分岐点売上高は、以下で求められます。

(固定費-減価償却費+借入金返済額)÷限界利益率

基本的な計算構造は損益分岐点売上高と同じですが、キャッシュフロー分岐点売上高では現金主義を用いるため、以下の2点を調整しています。

1.固定費、変動費のうち、支出を伴わないものを除く
固定費-減価償却費

2. 費用に計上されない支出を加える
借入金返済額を加える

■キャッシュフロー分岐点売上高の計算例
ある企業の売上高、固定費、変動費を以下とする。
  • 売上高:300,000円
  • 固定費:130,000円(うち減価償却費20,000円、借入金返済額25,000円)
  • 変動費:72,000円

まずは発生主義の場合の値を算出します。

限界利益(売上高-変動費):228,000円
限界利益率(限界利益÷売上高):76.0%
損益分岐点売上高(固定費÷限界利益率)=171,000円(端数切り捨て)

そして、減価償却費(20,000円)と借入金返済額(25,000円)を反映させて調整すれば、キャッシュフロー分岐点売上高を求められます。

キャッシュフロー分岐点売上高
(130,000-20,000+25,000)÷76%=177,000円(端数切り捨て)

上記の計算で、損益分岐点売上高は171,000円、キャッシュフロー分岐点売上高は177,000円であることが明らかになりました。 これにより、売上高が171,000円以上となれば利益は出るものの、177,000円以下であれば資金がショートすることがわかります。事業を安定させるには、売上高が双方の指標を満たしていることが大切です。
**********

事業を支えるのはなんと言っても資金繰りであり、その良し悪しの判断基準となるのがキャッシュフロー分岐点売上高です。経営計画を練るために重要な指標なので、これまで意識してこなかった人は、ぜひコンスタントに確認するようにしてください。また、キャッシュフロー分岐点売上高は上場企業が公開している財務諸表などからも作成できます。練習がてら計算してみると共に、それぞれの企業からどういったデータが算出されるかを比較してみると、経理の勘が養われるでしょう。

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