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経営資金調達 2017/02/28

資金調達を成功に導く資料作成のポイントはこれだ!

自己資本だけで経営が成り立っている企業はほとんどありません。
いうまでもなく、資金調達は事業成長の大きな原動力といえるでしょう。
そして、それを支えていくのが経理担当の重要な任務。資金調達を成功に導く資料作成のポイントはどこにあるのでしょうか。今回はその要諦に迫ります。

銀行は決算書のどこを見ているか。

銀行は決算書のどこを見ているか
銀行から資金調達を受ける際、通常提出が求められる資料は、決算書3期分、試算表、借入残高一覧となります。決算書は、企業の1年間の事業活動の成果を現した成績書で特に重要視されるのは当然です。
試算表は現在の経営状況を表したもの、借入残高一覧は他行も含めて現在どれだけの借入金があるかを把握するための資料です。

決算書の中でもとりわけ重要となるのは貸借対照表です。
銀行はこの資料をもとに会社の安全性や事業活動における財務状況、お金の流れ、使い方の良し悪しを判断しています。
例えば、下記の貸借対照表をベースに銀行がどのポイントに着眼しているかをみてみましょう。

卸売業A社の貸借対照表
資産の部 負債の部
流動資産 800万円 流動負債 550万円
現金預金 300万円
売掛金 300万円
商品 200万円
買掛金 300万円
短期借入金 250万円
固定負債 200万円
固定資産 950万円 長期借入金 200万円
建物 700万円
機械 100万円
運搬車両 150万円
純資産 1000万円
資本金 700万円
利益余剰金 300万円
資産 1750万円 負債+純資産 1750万円

銀行がまずチェックするポイントは、資産(左側)と負債(右側)のバランスです。
具体的には、流動資産>流動負債となっているか。流動資産とはすぐに現金化できる資産、流動負債はすぐに返さなければならない借入金など。
つまり、すぐに返さなければならない借入金より、すぐに現金化できる資産を有しているかをみているのです。

さらに、自己資本比率も重要視されるポイント。貸借対照表の右側は、負債と純資産で構成されていますが、この負債は他人資本、純資産が自己資本です。
他人資本と自己資本を足したもの(負債と純資産の合計)が総資本で、総資本に占める自己資本の割合が、自己資本比率となります。

つまり、上記の例では、1000万円(自己資本)÷1750万円(総資本)=57%が自己資本比率。
通常、50%を超えると優良企業とされ、銀行の評価もかなり高くなります。20%〜30%でも良い印象を与えるといわれています。

銀行が嫌う貸借対照表とは。

銀行が嫌う貸借対照表とは
では、銀行の評価が低くなる貸借対照表とはどんなものでしょう。当然、先の例とは反対に自己資本比率が低いのはマイナスポイント。
自己資本のひとつである利益余剰金は、数年分の利益が蓄積された数値なので、赤字の累積があるとここがマイナスになるケースもあります。
そうなると、銀行からの融資は難しくなります。

また、仮勘定が多いのも減点対象です。仮勘定とは、帳簿に記録すべき取引は発生したものの金額が未確定なもの。
つまり、前渡金、立替金、未払い、仮払い、未収入金などの項目がある貸借対照表です。
社長や役員の貸付金があるのもマイナス。社長や役員が会社からお金を借りていると、銀行からは不良債権とみなされるので会社の与信評価は下がります。

急激に成長している企業を銀行が警戒する場合もあります。例えば3年連続125%以上の増収増益を続けていると資金繰りが追いつかなくなり、資金ショートするケースがあるからです。
増収増益の最中に融資を断られたら、その可能性を考慮し事業構造を見直す必要があります。そうした進言を経営層に行うのも経理の重要な役割です。

近年、重要性が高まる経営計画書。

近年、重要性が高まる経営計画書 決算書は、いうなれば会社の過去の成績表です。
重要な要素であることに変わりはありませんが、近年ではこれからのビジョンや経営計画書に重きを置く傾向が強くなってきました。
これは、2014年に金融機関の監督官庁である金融庁から、事業性を評価した融資促進の指針が出されたことが大きく影響していると考えられます。

今後は、融資金をどう活用するのか、どのような返済計画をもっているのか、数年後にどのくらいの利益を出し、どのような財務体質をつくっていくのか。
そうした未来像を数字で表していく必要があります。加えて、計画にリアリティーを与える資料、例えば売上を立証する業務委託契約書なども強力な武器となるでしょう。

さらに、自社の強みや業界の将来、市場やマーケティングの展望、具体的な営業方針なども不可欠となります。
これまでのような財務面での訴求なら、銀行員も十分に理解できる領域ですが、会社の強みを立証するような市場背景やマーケティング展望などは、担当行員がそれほど詳しくないケースも多くなります。
従って、今後はわかりやすく訴求力のある資料づくりも大切です。担当行員が稟議を上げたくなるような資料づくり、そんな観点も重要となることでしょう。

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あらゆる職業に共通していえることですが、経理に求められるスキルも大きく変わってきています。
決算書や経営計画などの資料づくりに関しても、会社の事業によって生じた取引の結果を正確に表す会計・集計業務だけではなく、様々な付加価値を生むサービス業務的な要素が必要となっています。
資金調達のためにどんな資料が必要なのか。どんな訴求が担当行員の心を動かすのか。そんな視点で経営者に的確なアドバイスができる経理担当が求められているのです。
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