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業務全般スキルアップ/キャリアアップ 2019/11/26

日商簿記検定試験2級に頻出!覚えておきたい勘定科目【費用編】

経理担当者のスキルアップに欠かせない資格といえば、日商簿記です。経理ドリブンでは、日商簿記検定試験2級によく出題される勘定科目を解説しています。第二回になる今回は費用項目編として、棚卸減耗費、商品評価損、社債発行費、社債利息について解説します。検定試験だけでなく、実務でも使う勘定科目ばかりなので、よく確認してください。

※関連記事:日商簿記検定試験2級に頻出!覚えておきたい勘定科目【資産編】

日商簿記検定試験2級の概要

日商簿記検定試験2級には、大きく分けて「商業簿記」と「工業簿記」という2つの試験範囲があります。合格にはそれぞれ正解率70%が必要です。かつては合格率が40%を超えていましたが、年々難易度を増し、直近の第151回の合格率は12.7%まで低下しています。
合格には本腰を入れてしっかり勉強をする必要があります。

棚卸減耗費

商品の実地棚卸を行った際、盗難や誤記帳、紛失、破損などの原因によって、帳簿の数字と実際の数字が異なることがあります。このとき、棚卸の数が帳簿よりも少ない場合の処理に使用するのが「棚卸減耗費」です。帳簿より少ない棚卸資産を棚卸減耗費として損益計算書に計上し、同時に少なくなった分を繰越商品として減額します。
なお、この場合の棚卸減耗費は、損益計算書上では販売費、もしくは売上原価の内訳科目として表します。

■棚卸減耗費の処理例
商品の実地棚卸を行った。商品の期末帳簿残高は2,000個(200円/1個)だったが、実地棚卸では1,800個しかなかった。減少分を棚卸消耗費として処理する。

棚卸消耗費=(2000-1800)×200=40,000
借方 貸方
棚卸消耗費  40,000 繰越商品      40,000

商品評価損

期末では、棚卸資産の価値を「正味売却価額」として表します。その際、棚卸資産の正味売却価額が取得したときの価格よりも下回っている場合に、その下落した価格を損益計算書に計上する費用のことを「商品評価損」といいます。このとき、同時に貸借対照表の資産勘定も減少させる必要があります。

正味売却価額=現在の販売価額―販売経費

■商品評価損の処理例
決算に必要な商品の評価を行った結果、商品の期末在庫数は1,000個であり、期末の正味売却価額は100円/1個だった。取得原価は150円/1個である。

正味売却価額=(150円/1個―100円/1個)×1,000個=50,000円
借方 貸方
商品評価損  50,000 繰越商品      50,000

社債発行費

「社債発行費」とは、社債の発行のために直接支出した費用のことです。通常の費用は計上と同時に処理する必要がありますが、社債発行費は会社法によって「繰延資産」として一度資産計上し、その後、社債の償還までの期間で費用化する処理方法が認められています。償却方法には「利息法」と「定額法」の2種類がありますが、日商簿記検定試験2級では主に、毎月決まった額を費用として処理する定額法が出題されるので、まずはその処理方法を覚えておきましょう。

■社債発行費の例(いずれも社債を発行するために使用した費用に限る)
  • 広告費
  • 金融機関の取扱手数料
  • 目論見書、社債申込証、社債券などの印刷費

■社債発行費の処理例
1.社債を発行するために必要な費用4,000,000円を小切手で振り出して支払った。この費用は繰延資産として処理する。
借方 貸方
社債発行費  4,000,000 当座預金      4,000,000

2.上記の社債発行費を定額法で5年にわたって償却する。
借方 貸方
社債発行費償却 800,000 社債発行費 800,000

社債利息

発行した社債には利息がかかります。その利息を表す費用の勘定科目が「社債利息」です。
社債利息として処理する利息には、大きく分けて「クーポン利息」と「償却減価法」の2種類があります。

■クーポン利息
額面に対して決められている利率(クーポンレート)を乗じて計算し、一定の期間ごとに支払われる利息。

■償却減価法
社債を額面とは異なる価格で発行した場合、調整計算によって発生する利息。

■社債利息の処理例
期首に額面20,000,000円の社債を、1口200円につき198円で発行した。また、その際には全額当座預金口座に払込みを受けた。

クーポン利息は年利5%で年1回支払い、償却期限は5年間とする。
1.クーポン利息の支払いを当座預金口座から行った

20,000,000円×5%=1,000,000円(社債利息)
借方 貸方
社債利息       1,000,000 当座預金        1,000,000

2.決算にあたり、償却原価法(定額法)の処理を行う

{20,000,000円―(20,000,000円÷200×198)}÷60カ月×12カ月=3,960,000
借方 貸方
社債利息        3,960,000 社債          3,960,000
**********

今回、解説した項目は決算時に登場することが多いものです。日常的に使うわけではないものの、覚えておくといざというときに素早く処理できますので、習得しておきましょう。また、自社が採用している償却方法についても早めに把握しておくことが重要です。このように、資格取得のためだけでなく、実践に使える知識を得られるのが日商簿記検定試験2級です。まだ取得していない人は、ぜひ試験を受けてみてください。確実にスキルアップにつながります。

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