日商簿記検定試験2級の主な出題範囲は、大きく分けると「商業簿記」、「工業簿記」の2つです。「商業簿記」は企業外部との取引が中心となるもので、「工業簿記」は企業内部の部門別・製品別に材料などの資源の投入を記録するものです。合格するにはそれぞれ合わせて70%以上正解する必要があります。
ここからは多くの経理担当者にとってなじみ深い「商業簿記」の頻出勘定科目について確認していきます。
業務全般スキルアップ/キャリアアップ 2019/08/20
日商簿記検定試験2級に頻出!覚えておきたい勘定科目【資産編】
今も昔も経理担当者のスキルアップやキャリアアップに欠かせない資格といえば、日商簿記です。かつては2級の合格率が40%を超えるなど、経理の基礎的な知識を問うだけの位置付けでしたが、近年は3年連続で合格率が10%台となり、直近(第151回)の合格率は12.7%になるなど、試験の難易度が高くなってきています。そこで今回は、日商簿記検定試験2級に頻出する、資産に関わる勘定科目と仕訳方法を紹介します。実務でも使うことが多いものばかりなので、しっかりと覚えておきましょう。
日商簿記検定試験2級の出題範囲
営業外受取手形
本業以外で発生した受取手形のことを「営業外受取手形」といいます。具体的には、固定資産の売買、有価証券の売買などが該当し、貸借対照表に資産計上する際は通常の受取手形と区別する必要があります。また、通常の受取手形は流動資産として処理されますが、営業外受取手形は1年基準(ワン・イヤー・ルール)の対象になっており、支払日が貸借対照表に計上した翌日から1年未満のものは「流動資産」、1年を超えるものは「投資その他の資産」として計上します。
■営業外受取手形の取引例
■営業外受取手形の取引例
所有する土地(帳簿価額2000万円)を2100万円で売却し、代金として受取手形を受け取った。
借方 | 貸方 |
営業外受取手形 21,000,000 | 土地 20,000,000 |
固定資産売却益 1,000,000 |
繰延資産
創立費、開業費、株主交付費、社債発行費、開発費の5項目は、原則、費用として処理されますが、いったん資産に計上して一定期間にわたって償却処理することも認められています。このような場合に生じる資産勘定のことを「繰延資産」といいます。通常、上記の5項目は、支出時に利益を生む費用ではなく、その後継続的にその効果が発揮されるため、繰延資産としての計上が認められています。
■繰延資産の取引例
■繰延資産の取引例
1.会社設立から営業を始めるまでに開業準備費として3000万円を現金で支払った。この費用は繰延資産として計上する。
借方 | 貸方 |
開業費 30,000,000 | 現金 30,000,000 |
2.決算にあたり、上記の開業費3000万円を3年にわたって償却する。(表は1年分)
借方 | 貸方 |
開業費償却 10,000,000 | 開業費 10,000,000 |
積送品
委託販売を行うために、委託先(受託者)に引き渡した商品のことを「積送品」といいます。積送品には商品の原価のほか輸送費などの付随する費用もまとめて計上しなければなりません。また、第三者である委託先に引き渡した商品は、自社の在庫と区別する必要があるため積送品勘定に振り替えて管理する必要があります。
■積送品の取引例
■積送品の取引例
委託先に自社商品を300万円分発送し、発送費用20万円を現金で支払った。
借方 | 貸方 |
積送品 3,200,000 | 仕入れ 3,000,000 |
現金 200,000 |
のれん
企業を合併、買収した際に生まれる買収価額と買収された企業の時価評価純資産額の差額であり、超過収益力を表す勘定科目のことを「のれん」といいます。
のれんは取得方法などによって処理の方法が異なります。例えば、取得された企業の取得原価が、受け入れた資産・負債の純額を上回る場合は「正ののれん」、下回る場合は「負ののれん」となります。また、資産を無償で取得する場合は「無償のれん」、有償で取得する場合は「有償のれん」となるのです。
ただし基本的には有償のれんでなければ「のれん」として資産計上することができません。また、のれんの取得価額は「買収金額-(企業の資産の時価-負債の時価)」の金額になり、計算の結果、「正ののれん」になった場合は、資産計上された資産を最長20年の期間で償却処理することが定められています。
■のれんの取引例(有償かつ正ののれんの場合)
のれんは取得方法などによって処理の方法が異なります。例えば、取得された企業の取得原価が、受け入れた資産・負債の純額を上回る場合は「正ののれん」、下回る場合は「負ののれん」となります。また、資産を無償で取得する場合は「無償のれん」、有償で取得する場合は「有償のれん」となるのです。
ただし基本的には有償のれんでなければ「のれん」として資産計上することができません。また、のれんの取得価額は「買収金額-(企業の資産の時価-負債の時価)」の金額になり、計算の結果、「正ののれん」になった場合は、資産計上された資産を最長20年の期間で償却処理することが定められています。
■のれんの取引例(有償かつ正ののれんの場合)
1.企業買収を実施した。買収企業の資産は時価2億円、負債の時価は1億円、買収価額は1億5000万円だった。買収費用は小切手で支払った。
借方 | 貸方 |
資産 200,000,000 | 負債 100,000,000 |
のれん 50,000,000 | 当座預金 150,000,000 |
2.決算では、10年かけてのれん代の償却を行うこととする。(表は1年分)
借方 | 貸方 |
のれん償却 5,000,000 | のれん 5,000,000 |
未着品
仕入れの際、発注はしたもののまだ受け取っていない運送中の商品は「未着品」という勘定科目を使って処理する必要があります。上記は特に海外から商品を仕入れる際に多いケースで、この場合は商品よりも先に「船荷証券」などの権利書が届き、これに従って支払わなければならないこともあります。このようなケースでまだ届いていない商品を未着品として処理するケースがあります。
■未着品の仕訳例
※関連記事:新米経理は注目!知っておきたいキャリアパスと役立つ資格を徹底解説!
■未着品の仕訳例
海外商品の輸入取引を行った。仕入先から船荷証券が200万円分届いた。商品はまだ受け取っていないが、荷為替手形(額面100万円)の振り込み依頼があったので、振り込みを行った。
借方 | 貸方 |
未着品 2,000,000 | 支払手形 1,000,000 |
買掛金 1,000,000 |
※関連記事:新米経理は注目!知っておきたいキャリアパスと役立つ資格を徹底解説!
**********