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業務全般スキルアップ/キャリアアップ 2017/04/06

新米経理のための基本講座「会社の数字」第2弾 費用編

「会社の数字」シリーズ第1弾は、会社が成長していくための源泉となる売上を取り上げました。
第2弾は、その大切な売上をつくる上で欠かせない費用について言及します。
会社には、実に多くの費用が発生しますが、それらのすべては、売上を上げるという目的のためにあります。費用が活きているか、売上に貢献しない無駄な費用はないか。そんな観点で厳しい目を向けるのも、経理の大切な役割です。

会社の費用は4つに大別される

会社の費用は様々な種類に及びますが、費用の使途に応じて「原価」「販売費及び一般管理費」「営業外費用」「法人税等」の4つに大別されます。まずは、それぞれの概要を知っておきましょう。

○原価(製造原価/仕入原価)
原価は、会社の売上の元となる商品・サービスを製造したり、手に入れたりするために要した費用の総額。原価はさらに製造原価と仕入原価に分けられます。製造原価は材料費や工場の従業員の給料など、商品を造り出すための費用。主に製造業に発生する原価です。仕入原価は商品の調達にかかる代金など、卸売業や小売業に発生する原価です。

○販売費及び一般管理費
あらゆるビジネスに発生する費用です。文字通り販売費と一般管理費に分けられます。販売費は、営業部や販売部などの部署が商品やサービスを提供して売上をつくるために使っている費用。人件費をはじめ通信費や広告宣伝費など、様々な項目に分けられます。一般管理費は、会社の管理にかかった費用。人事部や総務部などの人件費や家賃などがあげられます。

○営業外費用
営業外費用は、会社の本業以外で発生した費用。その代表的なものは、銀行に借り入れしている場合に支払う金利です。

○法人税等
会社が国や都道府県、市区町村に支払う税金です。税金も費用の一種とされているのです。

原価を把握することが重要

上記の4つに大別される費用のうち、一般的に最も多くを占めるのが原価です。商業関連の仕入原価は全体費用の約60%、製造業の製造原価は全体費用の約70%に及ぶといわれています。当然、原価を抑えれば利益が増えますが、抑え過ぎると商品価値が下がる可能性もあります。
最も低く原価を抑えながら売上を高めるにはどうしたらいいか、会社にとって大きな命題となります。

原価を把握することで、売値をいくらにすればどのくらいの利益を出せるかがわかります。
仕入原価の場合は、商品を仕入れてそのまま販売するので単純ですが、製造原価の場合は、材料から製造という過程を経て商品化するので少々複雑です。
そのため、材料費、労務費、経費の3つに分けて集計します。 材料費は、商品をつくるための材料。
例えばラーメンだったら、麺、スープをつくるための野菜や煮干しなど、卵やメンマなどのトッピング類が相当します。
労務費は社員やパート・アルバイトなどの人件費、経費はそれ以外の費用、ラーメン店だったら家賃や水道光熱費です。
こうして原価を分類することで、費用バランスが明確になり、改善への足掛かりをつくれるのです。
原価 仕入原価
製造原価 材料費
労務費
経費

販管費の詳細は損益計算書に記載

販売費及び一般管理費は、略して販管費とも呼ばれます。具体的にどのような費用があるのかは、損益計算書に記載されています。
損益計算書には、使用目的別に詳細な費用項目があり、これらを勘定科目といいます。会社が使った費用をそれぞれの勘定科目ごとに仕訳して記載するのが経理担当の実務的な役割です。

販管費が売上に占める割合は、業種や会社によって異なります。
一般的にいわれている目安としては、販売費が製造業で5〜10%、商業で10〜20%、一般管理費で製造業、商業ともに10%〜20%です。
販管費の中で最も多く占める費用は人件費。一般的には販管費の約6割を占めるとされています。それでは、販管費の内訳となる勘定科目をみてみましょう。

販売費及び一般管理費〈内訳〉
役員報酬 社長や取締役など会社役員の報酬です。
給与・賞与 社員に毎月支払われる給与、賞与はボーナス。
法定福利費 健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料の会社が負担する分。
福利厚生費 社員が快適に働ける環境をつくるための費用。
荷造運賃 売上商品の発送に関わる梱包材料や資材、発送する際の運送費。
広告宣伝費 メディアへの広告掲載料やチラシ、Webサイトなどの広告宣伝費。
旅費交通費 通勤時の電車、バスなどの運賃や出張時の交通費や宿泊費。
通信費 電話・FAX、インターネット料金、郵便、宅配便などの費用。
減価償却費 高額な資産を決められた年数で費用にする仕組み。
地代家賃 オフィスの家賃や駐車場などの賃料。
支払手数料 銀行の振込手数料、不動産業者に支払う仲介手数料など。
租税公課 法人税、住民税、事業税、消費税以外で会社が納める税金。
雑費 勘定科目として設ける必要のないその他の経費。
※使用する勘定科目の種類や名称は、会社ごとに若干異なる場合があります。
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費用は、細かく分類することでその意味が明確になります。同時にそれぞれを比較しやすくなり費用のバランスをみることが可能となります。
詳細な勘定科目ごとに費用を仕訳するのが経理担当の実務ですが、費用のバランスをみて異常を感知し、最適配分などの改善策を進言できる能力も、これからの経理には求められていきます。
そのためにも、まずはそれぞれの費用の意味をしっかり把握しましょう。
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