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会計処理 2021/08/24

減価償却は複雑?仕訳方法、計算方法を整理して根本から理解しよう

減価償却は処理できる資産の条件や仕訳方法、計算方法が複数あることから、複雑な印象のある業務の1つです。そのため、場当たり的な対応になってしまう人もいるかもしれません。しかし、ミスなく効率的に業務を行うにはしっかりと基礎から理解を深める必要があります。そこで今回は、減価償却の仕訳方法、計算方法を整理して紹介していきます。

減価償却できる資産とできない資産を理解しよう

減価償却とは、「購入したモノ(固定資産)の劣化に合わせて経費を計上する」会計処理です。減価償却資産に該当するモノは消耗品などとは違い、一括で経費計上するのではなく、一定期間をかけて経費計上します。そのため、時間によって劣化したり価値がなくなったりするモノでなければ減価償却することはできません。つまり、土地などの劣化することがないモノは減価償却として処理できないということです。
減価償却を理解する最初の一歩として、減価償却できる資産、できない資産の大まかな違いを認識しておきましょう。

■減価償却できない資産(例)
  • 土地
  • 骨董品
  • 電話加入権
  • 借地権

前述した「劣化しないモノ」のほか、当然、「事業に利用していないモノ」も減価償却することはできません。

■減価償却できる資産(例)
  • 建物
  • 建物の付帯設備
  • 機械
  • 装置
  • 特許、商標、意匠権

減価償却できる資産は、購入価格が10万円以上のモノであり、使用している間は財産として価値があることが基本的な条件となります。価値があるかどうかは、売却できるかどうかで判断します。これらの条件を満たしたモノであれば有形、無形資産を問わず減価償却することが可能です。
また、10万円未満のモノ、もしくは使用期間が一年未満のモノは「少額の減価償却資産」として費用計上することもできます。

※出典:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
※関連記事:今さら上司に聞けない!減価償却の基礎知識

減価償却の仕訳

減価償却が複雑な印象を与える理由として、仕訳方法と計算方法がそれぞれ2種類あることが挙げられます。しかし、どのようなシーンで利用するかを整理すればそう難しいことではありません。

それではまず、仕訳方法について説明します。仕訳方法には「直接法」と「間接法」という2つの方法があり、どちらを選択しても節税面や銀行からの評価などは大きく変わらないとされています。そのため、自身のスキルや自社の事情を基準にして選ぶことができます。

■減価償却の仕訳方法1:直接法(直接控除法)
減価償却費する際、直接資産の金額を減らすのが「直接法(直接控除法)」です。後述する間接法よりもシンプルに「今後、費用化できる価格」がわかることが最大のメリットです。仕訳方法自体も簡単なので、簿記初心者でもスムーズに処理することができます。
小規模事業者や個人事業主のほか、設備投資が少ない企業の場合は、シンプルに処理できる直接法を選ぶことが多くあります。

直接法の仕訳方法
  • 取得原価:300,000円
  • 耐用年数:6年
  • 減価償却費:50,000円

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 50,000円 固定資産 50,000円

■減価償却の仕訳方法2:間接法(間接控除法)
「減価償却累計額」という勘定科目を使うことで、減価償却資産そのものの金額を減らさずに処理するのが「間接法(間接控除法)」です。直接法と比べると処理が複雑になりますが、「資産を購入した金額(減価償却資産)」と「これまでに費用にした金額(償却累計額)」を都度、確認できるのがメリットです。
より詳細な情報を記録していくことになるので、設備投資の多い工場、もしくは規模の大きい店舗の場合は、間接法を選ぶことが多くあります。

間接法の仕訳方法
  • 取得原価:300,000円
  • 耐用年数:6年
  • 減価償却費:50,000円

借方 金額 貸方 金額
減価償却費 50,000円 減価償却累計額 50,000円

減価償却の計算方法

減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」の2種類があります。ある程度は選択できる余地があるものの、自由に選べるわけではなく、原則的には減価償却資産の種類によって計算方法が決まっています。

■定額法と定率法の適用項目
資産 原則
建物 定額法
建物付属設備 定額法
構築物 定額法
機械装置 定率法/定額法
車両運搬具 定率法/定額法
器具備品 定率法/定額法
ソフトウェア 定額法
建物 定額法

定額法はすべての資産に使えますが、定率法を使えるのは機械装置、車両運搬具、器具備品のみとなっています。

■減価償却の計算方法1:定額法
定額法は、毎年決まった額を減価償却する方法です。後述する定率法と比べると計算も記帳もシンプルでわかりやすいものとなっています。計算方法は「購入価額×定額法の償却率」で、国税庁があらかじめ設定している耐用年数に応じて償却していきます。

購入価額×定額法の償却率

取得価額100万円、耐用年数10年の減価償却資産の場合
耐用年数 10年
償却率 0.100
1年目の償却費の額 100,000円
2~9年目償却費の額 100,000円
10年目の償却費の額 99,999円
※最終年は期首帳簿価額から「-1」とする

■減価償却の計算方法2:定率法
定率法は決まった「比率」で減価償却する方法です。計算式は「未償却残高×定率法の償却率」となるので、残高が多い取得年に近いほど償却額が多くなるのが特徴です。初年度に多くの金額を経費計上できるので、定額法と比べると減価償却資産を取得した時点の節税効果は高いといえます。
ただし、償却額があらかじめ設定されている「保証額」を下回った場合は計算方法が変わるなど、定額法と比べると処理が複雑になりやすい傾向があります。

未償却残高×定率法の償却率

「保証額」を下回った場合
改定取得価額×改定償却率

取得価額100万円、耐用年数10年の減価償却資産の場合
耐用年数 10年
償却率 0.200
改定償却率 0.250
保証率 0.06552
償却保証額 65,520円
(=1,000,000×0.06552)
1年目の償却費の額 200,000円
(=1,000,000×0.200)
2年目~6年目の償却費の額 (1,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.200
※保証額を下回るまでこの計算方法を採用
7年目の償却費の額 65,536円
(=改定取得価額 262,144円×0.250)
8・9年目の償却費の額 65,536円
改定取得価額×0.250
10年目の償却費の額 65,535円
期首帳簿価額-1円<改定取得価額×0.250

減価償却の処理で気を付けるべきポイント

減価償却の処理において注意すべきポイントを4つ紹介します。

1. 「取得価額」をいつでも確認できるようにしておく
資産を取得した際の「取得価額」は正しく算出し、いつでもすぐに確認できるように管理しておきましょう。取得価額には運賃や保険料、手数料など資産の取得に関わる費用も含める必要があるので注意が必要です。

2. 耐用年数を確認しておく
減価償却資産は法令で定められた耐用年数が決まっています。中にはどのカテゴリに当てはまるのかわかりにくいものもあるので、償却する前に必ず確認しておきましょう。

3.使用開始時期を明確に記録しておく
減価償却の開始時期は「事業で使用した時期」です。購入月ではないので注意してください。

4.「例外」に対応できるようにしておく
減価償却資産の処理方法には「例外」も存在しており、1度で費用計上できるという例外だけでも複数のケースがあります。例えば、10万円未満、もしくは1年未満で償却する「少額の減価償却資産」、20万円未満の資産が対象になる「一括償却資産」などの特例のほか、中小企業を対象に30万円未満まで償却可能になるケースもあります。 これらの例外を正しくチェックするようにしてください。

※関連記事:減価償却を一気にできる!特例の上手な使い方
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減価償却については、整理して考えることによって実務で迷うことも少なくなります。資産には様々な種類があり、それによってどんな仕訳方法、計算方法を使うのかも異なります。その違いを把握して、正しい処理ができるようにしたいですね。まずはこのような基礎をしっかりと理解することが、スムーズな処理を行う上での第一歩です。

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