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ITDX 2018/10/23

IT化推進に対する実態調査から見えるもの(会計事務所白書2018特別編)

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財務・会計システムおよび経営情報サービスを開発・販売する株式会社ミロク情報サービスでは、事業主および税理士・公認会計士約600名を対象に、ITの活用状況や導入課題などIT化推進に関する実態調査を実施し、その結果を「会計事務所白書2018年特別編」として公開しました。そこには、事業主のIT活用・導入の現状と課題が浮き彫りになっています。会計事務所として事業主とどのように関係強化を図るべきか。そんな戦略やサービス拡充のヒントも見えてきますので、本調査のエッセンスをご紹介します。

調査概要

調査名:
会計事務所白書 2018年 特別編
事業主と税理士・公認会計士のIT化推進に関する実態調査
(事業主編 / 税理士・公認会計士編)
調査主:
株式会社ミロク情報サービス
調査対象:
合計594名
―個人事業主や小規模企業※の事業主 300名
※従業員20名以下の会社の経営者・役員を対象
―税理士・公認会計士 294名
調査期間:
2018年7月13日~7月23日
調査エリア:
全国
調査手法:
インターネット調査

事業主のIT活用・導入に関する現状

Q あなたの職場のIT導入に対する課題について教えてください(複数選択可)

1位 価格(費用対効果) 46.7%
2位 ITに詳しい人材/導入を推進する人材の不足 33.3%
3位 必要なサービスがわからない 22.7%


Q あなたの職場のIT化推進者について教えてください(複数選択可)

1位 とくにいない 45%
2位 メーカー・販売会社・代理店・事務機器屋 33.7%
3位 税理士・会計士 20.3%


まず、事業主のIT活用・導入についての現状を見てみましょう。IT導入に対する課題として、最も多くあがったのは「価格(費用対効果)」で46.7%。次いで「ITに詳しい人材/導入を推進する人材の不足」、「必要なサービスがわからない」と続きます。

この回答から、事業主の多くはIT活用・導入に対して、自社に必要なものがわからない上、導入を推進する人材もいない。価格への課題は、そうした不安感の表れと言えるのではないでしょうか。

2つ目の質問では、具体的にIT化を推進する人が周囲にいないことを示しています。この「とくにいない」という回答45%を除いた場合の割合を見てみると、「メーカー・販売会社・代理店・事務機器屋」が61%、「税理士・公認会計士」が36%となります。事業主の多くは、IT化をサポートしてくれる人を必要としています。税理士・公認会計士の存在は、もっとクローズアップされてもよいのではないでしょうか。

会計事務所の顧問先へのIT導入サポート事情

では、実際に税理士・公認会計士は、顧問先に対してどのようなIT導入サポートを行っているのでしょうか。アンケート結果にご注目ください。

Q IT関連において、あなたと顧問先との関係はどのようなものですか

「顧問先も私も詳しくないのでITの話題にならない」 49.7%
「私がITに詳しいので顧問先にアドバイスしている」 22.1%
「私も顧問先もITに詳しいので情報交換している」 15.0%


Q あなたの事務所では、顧問先にどのようなIT関連情報を提供していますか(複数選択可)

「提供していない」 49.3%
「事務所で導入実績のある機器やサービスに関する情報」 19.7%
「IT利活用によるコスト削減に関する情報」 17.3%


1つ目の質問を見てみると、約半数がITの話題にならないと回答しています。ITに詳しくないと話題にしようと思わないのも当然で、詳しい人はアドバイスしているという結果となっています。この結果から想像できる通り、2つ目の質問も「提供していない」という回答が半数を占めています。

税理士の平均年齢は60歳を超えているとされ、ITに詳しい方はそんなに多くないことが想定されます。顧問先の事業主は、ITに関する情報提供者や導入推進者を求めているものの、税理士・公認会計士はその要求に応え切れていないという現状が浮かび上がります。では、視点を変えて事業主からみた会計事務所のIT導入サポート事情を検証してみましょう。

事業主からみた会計事務所のIT導入サポート事情

Q 税理士・会計士のITスキルにどのようなイメージがありますか

「一般的なIT知識はありそう」 50.3%
「わからない事があったらなんでも教えてくれそう」 23.3%


Q 会計事務所からIT導入に関する提案を受ける際、どのようなテーマだったら受け入れやすいですか

「財務面から分析した経営課題の改善につながる提案」 39.7%
「自社のコスト削減につながる提案」 39.3%
「優遇税制などを活用した節税につながる提案」 29.7%


1つ目の質問では、税理士・公認会計士には多少なりともIT知識を期待しているとの回答が合計86.3%にのぼりました。やはり、事業主はITに詳しい人材や導入推進者を求めているにも関わらず、税理士・公認会計士はそのニーズに応えられていないというのが現状のようです。もし、事業主の期待に応えることができたら、顧問先との関係性をもっと強化できるのではないでしょうか。

2つ目の質問からは、受け入れやすいテーマとして「財務面から分析した経営課題の改善につながる提案」、「自社のコスト削減につながる提案」があがっています。コスト削減に関しては、IT導入に対する課題でもダントツで1位でした。このあたりに大きなヒントがあるような気がします。

コスト削減に直結するIT導入施策

会計事務所から事業主への提案として、コスト削減に直結するIT導入施策が有効だと、アンケート結果から見えてきました。そこで、注目してほしいのが「IT導入補助金」です。

Q IT導入に関する補助金などを活用したことがありますか

ない 88.8%
ある 11.2%


Q 事業主に聞きました。IT導入補助金をご存知ですか

知らない 78.7%
知っている 21.3%


IT導入補助金を活用したことのある会計事務所は、わずか1割しかありません。活用しない理由としては、「本業以外やらない」、「サポートが面倒」、「導入の責任が持てない」などの声が上がっています。つまり、「できない」のではなく単に「やっていない」というのが事実なのです。

また、約8割の事業主がIT導入補助金を知りません。ということは、紹介するだけでトピックスになることは間違いないでしょう。これはITに詳しくなる必要もなく、できる提案です。事務所と顧問先とのさらなる信頼関係構築につながるはずです。
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会計事務所に限らず、あらゆるビジネスにとって最も大切なのは、お客様の求めていることを知ること。それを把握する手段としてアンケートなどのデータは重要です。 会計事務所と事業主の双方に同一テーマで行なったアンケートは、大変珍しいものと思います。また、IT化の推進はこれからの経理部門、会計事務所に不可欠です。ぜひ、アンケートの詳細をご覧ただき、参考にしてください。

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