2017年、電子帳簿保存法の規制緩和で 領収書のスマホ撮影・原本破棄が可能に!
国税関係帳簿や国税関係書類に対し、電子化された文書ファイルによる保存を認めた法律、電子帳簿保存法。毎年のように規制緩和が繰り返され、2017年より領収書やレシートのスマホ撮影・原本破棄が可能となっています。
この規制緩和は経理部門にどんな影響をもたらすのか。経理担当として知っておきたいポイントについてまとめてみました。
電子帳簿保存法とは?
しかし、電子データでの保存の対象や条件が厳しく、当初はあまり普及することはありませんでした。
大幅な規制緩和によって普及の追い風となったのは2016年1月に適用された改正。
電子保存の対象書類が3万円未満に限られていた金額規定が撤廃され、電子署名も不要になるなど、導入障壁が大きく下がりました。
今回、2017年1月より適用された改正は、2016年に続く画期的な規制緩和といえます。
スマホで撮影した領収書やレシートの電子保存が可能になり、これまでスキャンデータ保存に義務付けられていた原則7年の原本保存も撤廃されました。
オフィスのペーパーレス化に大きな拍車がかかることが予想されます。
どんなメリットがあるのか?
社員は、領収書やレシートを受け取ったらその場ですぐにスマホ撮影してデータを保存すれば原本を破棄できます。
原本の紛失や、スキャニングを忘れる心配もなくなります。
経理担当にとっても、領収書・レシートのファイリングという面倒なアナログ作業が不要になるなど、業務が大幅に効率化します。
社員が撮影した領収書データをクラウドで共有すれば、データを送付してもらう手間や時間も省けます。
フォルダーで月別・部署別・科目別に分けて保存するなど、整理しやすいのもメリットといえます。
スマホで撮影して保存できる書類は、領収書やレシートだけに止まりません。
契約書、預り証、借用証書、預金通帳、約束手形、有価証券受渡計算書、社債申込書、定型的約款のない契約申込書、請求書、納品書、送り状、輸出証明書及びこれらの写し、検収書、入庫報告書、貸物受領書、見積書、注文書、契約申込書及びこれらの写しなど。
基本的に帳簿と決算関係書類以外は、可能となります。
スマホ保存の流れ
①受け取った領収書を社員がスマホで撮影し、社内のサーバーやクラウドに転送
↓
②領収書を受け取ってから3日以内にタイムスタンプ※を付与
↓
③経理担当者がデータを確認する
↓
④社員や経理担当者以外の第三者(税理士など)が事後調査
↓
⑤税理士などによる事後調査の後、原本廃棄
※タイムスタンプとは、電子データがある時刻に確実に存在していたことを証明する電子的な時刻証明書。データ保存にはタイムスタンプの付与が義務付けられています。
※参考資料:総務省
上記のように、経理担当者の業務を軽減しデータ保存までの流れもスムーズなのがスマホ保存の特長。
ただし、内部統制を整備しそれを順守する適正事務処理規定※を定める必要があります。
これは、スマホ保存に限ったことではなく、電子データ保存全般に必要な規定です。
※参考資料:国税庁による適正事務処理規定例
国税庁による適正事務処理規定では、社内規定の整備に加え、下記3つのポイントが適切に実施されていることを要件としています。
(上記規定例より引用)※関連リンク:まだ紙のまま?e文書対応の要点を、もっと詳しく見る・相互けんせい
スキャニング等に伴うミスや不正を未然に防止する観点から、特定の者に業務が集中することを回避し、当社における相互に関連する各事務について、それぞれ別の者が行うことなど明確な事務分掌の下に、相互けんせいが機能する事務処理の体制を別添の事務分掌細則により整備する。・定期的なチェック
各事務に係る処理の内容を確認するために、その各事務の定期的なチェックを行う体制を別添の事務分掌細則により整備する。・再発防止
各事務に係る処理に不備があると認められた場合に、経営者を含む幹部に不備の内容が速やかに報告されるとともに、原因究明や改善策の検討がなされ、必要に応じて手続規程等の見直しがなされる体制を別添の事務分掌細則により整備する。
これによりオフィスのペーパーレス化の流れが加速するのは間違いないでしょう。
ペーパーレス化は、事務処理の負担軽減と迅速化、コスト削減、情報漏えい対策、災害対策(BCP)など、様々なメリットをもたらすと同時に、内部統制やワークフローの変化などにも柔軟に対応していく必要があります。
経理担当として、ペーパーレス化の潮流を見据えるためにも、電子帳簿保存法に注目しましょう。