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経理/財務会計処理 2018/01/23

そのケース、経費で落とせるの?人件費編

様々なシーンを題材に「経費で落とせるの」という問題を出題するシリーズ企画、第7弾は人件費編です。経理担当者要チェック!
社内の他部署やクライアント先から質問されたと思って気軽にチャレンジしてみてください。

人件費とは?

人件費とは、企業や組織が従業員に支払う費用全般のことを指します。その内訳は、一般的に役員報酬、従業員給与、従業員賞与、法定福利費、福利厚生費、退職年金費用となります。

法定福利費とは、健康保険、厚生年金などの社会保険料や労働保険料の会社負担分、福利厚生費は、社員の健康診断費用や社員旅行費用など、会社によって様々となります。退職年金費用は、退職金の支給に備えて会社が積立する費用です。

人件費は、損益計算書(P/L)では人件費や労務費と記載されるケースと、給与、賞与、役員報酬、法定福利費など、具体的な項目で記載されることもあります。
また、製造現場の社員の人件費は製品の製造コストに含まれる売上原価となり、営業や経理部門の社員の人件費は販売費及び一般管理費に区分されるなど、複雑な側面があります。
では、問題を始めましょう。

ケース1
息子を入社させて給与や賞与を払っています。
これは、人件費として経費になるの?

将来の事業継承を視野に入れつつ、息子を入社させて修行させています。もちろん、他の社員と同等の待遇です。ただ、近い将来は役員にさせようと考えています。給与・賞与は人件費として計上できますか。
気になる答えは…
○ 人件費になります!
中小企業の場合、経営者の妻や息子が社員として働くケースはよくあることです。この場合に注意したいポイントは、勤務実態があるのかという点と、他の社員と給与・賞与の支給条件が同じということ。この2つをクリアしているのであれば人件費として経費計上できます。
ただし、役員にした場合、給与は1年間同額となり、賞与については経費として認められなくなります。

POINT!
勤務実態があり他の従業員と同待遇なら経費計上可能

ケース2
仕事はしていない非常勤役員への給与。
これは、人件費として経費になるの?

かつて得意先の部長だった方を非常勤役員として招きました。業界に精通している重鎮として、アドバイザー的な役割を担ってもらいます。ただ、定期的に出社を義務付けているわけではなく、実務もありません。給与は経費になるのでしょうか。
気になる答えは…
○ 人件費になります!
仕事はほぼしていない非常勤役員に一定の報酬を支払っても経費となります。ただし、高額な場合には税務調査で問題となる可能性があります。
では、いくらまでなら許容されるのでしょうか。この点に関して明確な基準はないようですが、過去の裁判事例を紐解くと月額10万円前後が妥当とされているようです。

POINT!
非常勤役員の給与も人件費になるが高額はNG

ケース3
決算賞与を役員にも支払いたい。
これは、人件費として経費になるの?

今期は大きな利益が出たので社員に決算ボーナスを支払う予定です。利益の源泉となったプロジェクトのリーダーである役員にも決算賞与を払いたいのですが、これは人件費として計上できるのでしょうか?
気になる答えは…
× 人件費になりません!
役員に対する決算賞与は経費になりません。
一般的に、役員に対する給与は役員報酬と役員賞与があります。経費として損金参入にするためには、それぞれ条件があります。役員報酬は定期同額給与であること。つまり、当該事業年度の各支給時期における支給額が同額でなければなりません。
役員賞与は事前確定届出給与であることが条件となります。これは、支払う時期と支払う金額を期日までに税務署へ届出しておくことで損金が認められます。
決算賞与は、利益が上がったのを受けて支払われる賞与なので役員への支給は認められません。

POINT!
役員への決算賞与は認められない
**********
人件費は、会社の中で大きなウエイトを占める経費です。
冒頭で述べたように会社の業態によって売上原価となったり販管費に含まれたりする上、損益計算書(P/L)に記載される項目もまちまちです。従って、他社と人件費を比較する際は、注意が必要です。
また、人件費は経理上費用として扱われますが、会社の未来をつくっていくのは社員です。そういう意味では、将来への投資という意味合いもあります。
労働分配率など、人件費にどれくらいの割合をかけるかは経営層にとって大きな関心事。経理担当として適切なアドバイスを提供できるようにしたいものです。
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