まず、年末調整を簡単におさらいしておきましょう。
会社は給与を支払う際に所得税を源泉徴収しますが、源泉徴収された所得税と本来納税すべき所得税額は必ずしも一致しません。毎月給与から天引きされる源泉徴収額は、国税庁によって定められた、今年はこれくらいの税額になるという想定の概算だからです。
年末調整はこのズレを調整する作業です。
年末調整は、正しい所得税額を算出する業務なので、ミスは絶対に許されません。
ミスが許されない上に、調整額を12月の給与に反映させるためにスピードも要求されます。ただでさえ忙しい年末の時期に煩雑な業務が加わるのですから大変です。
年末調整をいかにして効率的に行うかは、経理部共通の命題と言えるでしょう。
年末調整の効率化を図るためには何が必要なのでしょうか。
それを知るために、まずはスムーズな業務進行を妨げる要因について考えてみましょう。要因を把握することで対策を導いていきます。
指南役は、税理士歴30余年、数々の現場に携わってきたベテラン、岡田健二税理士です。
人事/労務年末調整 2017/12/19
年末調整をスムーズに乗り越えるスゴ技!
年末調整は、1年を締めくくる重要な業務です。
毎月の業務に加え、イレギュラーな業務として迅速に処理しなければならず、12月の経理部は超繁忙期と言えます。
それだけに効率良く、スピーディに行う必要があります。
そこで、年末調整をスムーズに乗り越えるための基本テクニックを現役の税理士さんに指南していただきました。
年末調整に求められること
業務を妨げる要因は書類の不備
年末調整のスムーズな進行を妨げる一番の要因は「何と言っても書類の不備」と語る岡田税理士。
「社員の方々から様々な書類を提出してもらうわけですが、想像以上に時間と手間がかかります。まず、いつまでたっても提出してくれない人がいます。だいたい毎年同じ人ですね。
また、必要書類が足りなかったり、記入漏れや記入ミスも多かったりして大変です。そうした不備には個別に対応して修正しなければなりません」
さらに、「中途入社した人は、前職での源泉徴収票が必要になりますし、住宅ローン控除の適用資格者は、住宅借入金等特別控除申告書が必要になるなど、個々人によって提出書類が異なることも業務を煩雑にしている要因」となります。
会社の規模が大きくなるほど、対応人数も増え、わずらわしさは雪だるま式に積み重なっていきます。
また、細かな改正に対応するのも苦労の種とか。
「配偶者特別控除の対象が変わったり、保険料控除の項目が新設されることにより、計算過程が増える場合もあります」と岡田税理士。
では、これら業務の進行を妨げる要因をもとに対策を講じていきましょう。
「社員の方々から様々な書類を提出してもらうわけですが、想像以上に時間と手間がかかります。まず、いつまでたっても提出してくれない人がいます。だいたい毎年同じ人ですね。
また、必要書類が足りなかったり、記入漏れや記入ミスも多かったりして大変です。そうした不備には個別に対応して修正しなければなりません」
さらに、「中途入社した人は、前職での源泉徴収票が必要になりますし、住宅ローン控除の適用資格者は、住宅借入金等特別控除申告書が必要になるなど、個々人によって提出書類が異なることも業務を煩雑にしている要因」となります。
会社の規模が大きくなるほど、対応人数も増え、わずらわしさは雪だるま式に積み重なっていきます。
また、細かな改正に対応するのも苦労の種とか。
「配偶者特別控除の対象が変わったり、保険料控除の項目が新設されることにより、計算過程が増える場合もあります」と岡田税理士。
では、これら業務の進行を妨げる要因をもとに対策を講じていきましょう。
年末調整業務をシステム化する
対策の中心は当然のことながら書類の不備に対するもの。岡田税理士は、特に重要なポイントとして告知の徹底をあげます。「会社の掲示板や広報誌などの社内メディアで訴求するのはもちろんですが、全社員に督促メールを一斉に送信することも含めて、年末調整の業務自体をシステム化するのが望ましいですね」
年末調整業務をシステム化したいけどやり方が分からないという場合は、ソフトやクラウドサービスの導入を検討してみましょう。申告用紙の配布・回収から生命保険控除のデータ取り込み、給与システムとの連動まで自動化することで、年末調整にかかるコストと業務負荷の低減が可能となります。部署別の提出状況や未提出者一覧も確認できるので、例えば書類提出の締切り2週間前に未提出者全員に督促メールが通知されるなどの設定も簡単にできます。
「できるだけシステム化をすることが理想的ですが、すぐにシステムを導入するのが困難な場合は、『年末調整のお願い』といった文書を配布する方法も効果的です」とのことです。実際に岡田税理士が使用しているものを一部アレンジして紹介しますので参考にしてください。
〈注意点〉
下記の点についてご確認ください。
最後にミスを防ぐコツとして「前年度の書類と比較する」ことを推奨する岡田税理士。「毎年の提出資料が変わることはそれほどありません。
前年度の資料と比較することで、間違いや不備を発見しやすくなります」とのこと。参考にしてみてはいかがでしょうか。
年末調整業務をシステム化したいけどやり方が分からないという場合は、ソフトやクラウドサービスの導入を検討してみましょう。申告用紙の配布・回収から生命保険控除のデータ取り込み、給与システムとの連動まで自動化することで、年末調整にかかるコストと業務負荷の低減が可能となります。部署別の提出状況や未提出者一覧も確認できるので、例えば書類提出の締切り2週間前に未提出者全員に督促メールが通知されるなどの設定も簡単にできます。
「できるだけシステム化をすることが理想的ですが、すぐにシステムを導入するのが困難な場合は、『年末調整のお願い』といった文書を配布する方法も効果的です」とのことです。実際に岡田税理士が使用しているものを一部アレンジして紹介しますので参考にしてください。
【年末調整のお願い】
本年も「給与所得の年末調整」の時期になりました。お手数ですが、下記の提出書類についてご準備いただき、12月15日(金)までに経理部○○まで提出してください。- 生命保険料控除証明書
証明書を紛失した場合は、再発行を受けてください。 - 地震保険料控除証明書
証明書を紛失した場合は、再発行を受けてください。 - 小規模企業共済等掛金証明書
証明書を紛失した場合は、再発行を受けてください。 - 社会保険料領収書等
給与より控除されたものではなく、国民健康保険、国民年金のものに限ります。 - 住宅借入金等特別控除申告書等
税務署からの住宅借入金等特別控除申告書及び金融機関等より発行された住宅借入金の年末残高等証明書。 - 年の中途で入社された方
以前の勤務先から「給与所得の源泉徴収票」を取り寄せてください。 - 障害者手帳をお持ちの方
障害者手帳の写し。 - マイナンバー
通知カードの写しまたはマイナンバーカードの写し。 - 学生の方
在学証明書または学生証の写し。
〈注意点〉
下記の点についてご確認ください。
- 配偶者特別控除申告書
配偶者がいる方で、配偶者の本年度中の給与の収入金額が、141万円未満の方は、特別控除を受けられる場合がありますので、同申告書を提出してください。 - 扶養控除等申告書
従業員本人、控除対象配偶者及び扶養親族のマイナンバーが記載されていますか?(平成28年分以降)配偶者の給与年収が103万円以下の方は、配偶者控除等の対象となります。 - 保険料控除申告書の記入
保険料控除証明書は添付するだけでなく、保険料控除申告書の所定欄に必要事項を記入してください。 - 社会保険料領収書等
従業員等本人が本年度中に支払ったものかどうかご確認ください。従業員本人と生計を共にする親族が負担することになっている保険料で、従業員等本人が支払ったものも従業員等本人の保険料として控除できます。 - 年末調整不可
下記のものについては年末調整できません。確定申告を行なっていただきます。
・医療費控除
・住宅借入金等特別控除の初年度
・寄付金控除
・雑損控除 - 配偶者との死別または離婚
該当する方は、扶養控除等申告書の寡婦控除の欄に、その旨記載してください。
前年度の資料と比較することで、間違いや不備を発見しやすくなります」とのこと。参考にしてみてはいかがでしょうか。
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年末調整をスムーズに乗り切るには、提出すべき書類と締切りを明確に周知し、未提出者には効率的に督促することが肝心。そのためにも、年末調整をサポートするソフトやクラウドサービスを導入して、コストと業務負荷の低減を図るのが得策です。
さらに、毎年提出が遅れがちな社員には直接声がけするのも有効な手段。普段からコミュニケーションを密にしておくことで、各社員と良好な関係を築いておくことです。システム化とアナログの人間関係の両立が大切となります。
さらに、毎年提出が遅れがちな社員には直接声がけするのも有効な手段。普段からコミュニケーションを密にしておくことで、各社員と良好な関係を築いておくことです。システム化とアナログの人間関係の両立が大切となります。