IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を目的として、ITツール導入費用の一部を補助する制度です。
補助金は原則として返還不要のため、IT導入補助金を活用すれば、コスト的に手を出しにくい最新のITツールを導入できます。
例えば、キャッシュレス決済の導入、経理・労務業務のデジタル化、インボイス制度への対応などを、より低コストで進められるようになります。
2024年の実績では、全国で合わせて50,175件がIT導入補助金として採択されており、幅広い業種で活用されています。
IT導入補助金2025の狙いと背景
IT導入補助金2025には、以下の申請枠が用意されています。
- 通常枠
- 複数社連携IT導入枠
- インボイス枠(インボイス対応類型、電子取引類型)
- セキュリティ対策推進枠
以下の項目については、特に制度として積極的にバックアップする意向があるようです。
- インボイス制度対応のさらなる促進:インボイス枠の支援継続
- 最低賃金引き上げへの対応促進:通常枠での補助率引き上げ
- IT活用の定着促進:IT活用の定着を促す導入後の活用支援を補助対象に追加
- セキュリティ対策の強化:セキュリティ対策推進枠の補助上限額増額
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IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。
IT導入補助金2025の補助率や補助額は以下の通りです。
赤字部分は令和6年度補正予算での拡充点となります。
枠/類型 |
通常枠 |
複数社連携IT導入枠 |
インボイス枠 |
セキュリティ対策推進枠 |
インボイス対応類型 |
電子取引類型 |
活用イメージ |
ITツールを導入して、業務効率化やDXを推進 |
商店街など、複数の中小企業・小規模事業者で連携して ITツールなどを導入 |
ITツールなどを導入してインボイス制度に対応 |
発注者主導で取引先のインボイス対応を促す |
サイバーセキュリティ対策を進める |
補助対象経費 |
ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費(保守サポートやマニュアル作成などの費用に加えて、IT活用の定着を促す導入後の「活用支援」も対象化)
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クラウド利用料(最大2年分) |
サイバーセキュリティお助け隊サービス利用料 |
単独申請可能なツールの拡大 |
ハードウェア購入費 |
補助額 |
ITツールの業務プロセスが
- 1~3つまで:5万円~150万円
- 4つ以上:150万円~450万円
|
- (a)インボイス枠対象経費:同右
- (b)消費動向等分析経費:50万円×グループ構成員
※(a)+(b)合わせて3,000万円まで
- (c)事務費・専門家経費:200万円
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- ITツール 1機能:~50万円
- ITツール 2機能以上:~350万円
- PC・タブレットなど:~10万円
- レジ・券売機など:~20万円
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~350万円 |
5万円~150万円 |
補助率 |
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- (a)インボイス枠対象経費:同右
- (b)・(c):2/3
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- ~50万円以下:3/4(小規模事業者:4/5)
- 50万円~350万円:2/3
- ハードウェア購入費:1/2
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各枠の概要
通常枠
業務プロセスが1~3つまでのITツールは補助上限が5万円~150万円未満、4つ以上のITツールは150万円~450万円以下となっています。
複数社連携IT導入枠
商店街など、中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入する複数社連携IT導入枠は2025年も継続されます。
通常枠やインボイス枠と比較すると申請数は多くないものの、地域DXや町おこしなどこれからの地方活性化に向けて欠かせないものといえるでしょう。
インボイス枠
インボイス枠には「インボイス対応類型」と「電子取引類型」の2つがあります。
インボイス対応類型は、インボイス制度に対応したITツール(会計・受発注・決済の機能を持つもの)の導入を支援するもので、小規模事業者には最大4/5の高い補助率が適用されます。
また、ITツールと連携するPC・タブレットやレジ・券売機などのハードウェア導入も支援されます。
電子取引類型は、取引関係の発注者がインボイス対応のITツールを導入し、取引先のインボイス対応を促すものです。
この類型は、中小企業に限らず大企業も申請可能です。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、
中小企業・小規模事業者が情報セキュリティ対策を強化するためのITツールの導入を支援するものです。
サイバー攻撃によるリスク対策を促進することを目的としており、2025年は補助額の上限も拡大されています。
IT導入補助金2025で注目すべき拡充内容
IT活用の定着を促す導入後の「活用支援」の対象化
IT導入補助金2025の特徴として、IT活用の定着を促す導入後の活用支援が補助対象に加わりました。
これまでの導入関連費にも保守サポートやマニュアル作成などの費用が含まれていましたが、さらに業務移行計画や教育計画の作成費用なども対象となります。
ITツール活用に関するノウハウを提供するためのコンサルティング費用なども含まれるため、よりサポートの幅が広がったといえるでしょう。
単独申請可能なツールの拡大
通常枠で補助対象が広がり、単独申請可能なツールの範囲が拡大しています。
最低賃金近傍事業者の補助率増加
最低賃金近傍の事業者に対する補助率の増加も注目すべき変更点の一つです。
最低賃金近傍の事業者とは、3カ月以上にわたり地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の30%以上いる事業者を指します。
IT導入補助金2025では、この最低賃金近傍の事業者に対する通常枠の補助率が、最大1/2から最大2/3に拡大されています。
セキュリティ対策推進枠の補助上限額引き上げ
サイバー攻撃の増加に伴い、中小企業・小規模事業者のセキュリティ対策の重要性が高まっており、IT導入補助金2025ではセキュリティ対策推進枠の補助上限額が100万円から150万円に引き上げられました。
また、小規模事業者に対する補助率が、最大2/3に拡大されています。
加点要素の追加
中小機構が運営するデジタル化支援ポータルサイト「デジwith」の「IT戦略ナビwith」を交付申請前に行っている事業者は、審査の加点対象となります。
デジwithとは、中小企業がデジタル化を進めるために役立つ情報やツールを提供するポータルサイトで、2025年4月にオープンしました。
なかなかデジタル化に踏み出せない中小企業に対して、最適な IT ソリューションの提案や導入、運用をサポートしています。
デジwithには、同業他社と比較しながら経営の悩みを解決するITソリューションをみつける「IT戦略ナビwith」、具体的なアプリやIT導入事例を探す「ここからアプリ」、専門家にオンラインで相談できる「IT経営サポートセンター」などのメニューがあります。
無料で誰でも利用できるサービスですので、チェックしてみるとよいでしょう。
※参考資料:中小機構「デジwith」
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IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。
2025年度のIT導入補助金申請スケジュールは以下の通りです。
第1次交付申請受付開始日 |
3月31日(予定) |
第1次交付申請締切日 |
通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠 |
5月12日(予定) |
複数社連携IT導入枠 |
6月16日(予定) |
IT導入補助金は例年、1年間で複数回の申請機会がありますが、予算には限りがあるため、準備ができ次第早めの申請を行うのが望ましいでしょう。
また、申請から交付決定までは通常1~2カ月程度かかるため、IT設備の利用開始日から逆算して申請が遅れないよう計画を立てるのが重要です。
交付決定前に発注を行った経費は補助対象外となりますので、交付決定通知を受けてから、ITツールの発注を行いましょう。
なお、申請の流れは昨年以前と大きく変わらず、企業は事前準備の完了後、IT導入支援事業者と二人三脚で申請や設備の導入作業を進めていくことになります。
IT導入支援事業者はITツール選定時の相談役にもなるため、円滑にコミュニケーションが取れる業者を選ぶことが重要です。
申請を予定している事業者は早めに検討しておきましょう。
※関連記事:【IT導入補助金2024】大企業も申請可能な項目あり!全事業者に知ってもらいたいインボイス枠について
※参考資料:IT導入補助金2025「事業スケジュール」
※本記事の内容は掲載日時点での情報です。最新の情報はIT導入補助金のサイトをご確認ください。
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IT導入補助金とは
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のみなさまが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、みなさまの業務効率化・売上アップをサポートするものです。