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人事/労務働き方改革 2024/12/19

高年齢者雇用安定法改正!従業員のモチベーション維持のために企業が考慮すべき3つのポイントとは

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2025年に施行される高年齢者雇用安定法の改正により、65歳定年制が導入されます。
この改正により、高齢者の雇用環境に大きな変化が生じます。
本記事では、高年齢者雇用安定法の改正内容を解説するとともに、企業が適切に対応するためのポイントについて説明します。

2025年の高年齢者雇用安定法改正で押さえておきたい内容

高齢者の雇用機会を広げ、社会の活力を維持することを目的とし、2025年4月から高年齢者雇用安定法が改正されます。
この改正において押さえておきたい内容は以下の2つです。

  • 65歳までの雇用確保の完全義務化
  • 70歳までの就業機会確保の努力義務の継続
※参考資料:厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~

それぞれのポイントについて詳しく解説します。


65歳までの雇用確保の完全義務化
1つ目は、65歳までの雇用確保の完全義務化です。
65歳未満の定年を設けている企業の場合、65歳までの雇用を確保するために、以下のいずれかの措置を行わなければなりません。

  • 定年引き上げ
  • 継続雇用制度の導入
  • 定年制の廃止
ここで重要となるのは、改正により「2.継続雇用制度の導入」についてのルールが変わることです。

継続雇用制度を導入する場合、今までは労使協定に基づいて継続雇用の対象者を限定できる経過措置がありました。
しかし、2025年4月からはこの経過措置が終了するため、企業は希望するすべての従業員に対して65歳まで雇用の機会を提供しなければなりません。
なお、この改正は企業に定年を65歳に引き上げることを義務付けているわけではなく、あくまでも65歳までの雇用機会を確保することを義務としています。


70歳までの就業機会確保の努力義務の継続
2つ目は、70歳までの就業機会確保の努力義務の継続です。
2021年の改正で、企業には70歳までの就業機会の確保を努める義務が課されました。
これは、以下のいずれかの措置を講じることを意味します。

  • 70歳までの定年の引き上げ
  • 定年制の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度の導入(再雇用制度・勤務延長制度)
  • 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
  • 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入
この努力義務は、2025年の改正後も継続されます。
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企業が継続雇用制度を導入するメリット

高年齢者雇用安定法改正による継続雇用制度の導入は企業にとって以下のようなメリットがあります。

  • 人材不足の解消ができる
  • 企業の安定と成長につながる
  • 若手社員への指導や教育ができる
少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、継続雇用制度を導入することで、経験豊富な人材を確保できます。
これにより、人材不足の解消につながります。
また、再雇用された従業員は、長年培ってきた経験と専門知識を持っています。
その知見を活かすことで、企業の安定と成長に大きく貢献します。
さらに、熟練した再雇用者が若手社員を指導・教育することで、ノウハウの継承ができることも、企業の長期的な発展にとって大きなメリットといえるでしょう。

企業が継続雇用制度を導入する場合の手続き

企業が継続雇用制度を導入する場合の手続きの流れについて、ステップ形式で解説します。


STEP1:対象者へ通達し、継続雇用の意思を確認する
まずは定年退職を迎えた社員に制度内容や運用方法の説明を行い、再雇用の意思確認を行います。
トラブルを避けるためにも、継続雇用に関する通知は個別に行いましょう。
対象者であることを明示したうえで、再雇用を希望された場合は「再雇用希望申出書」の提出を求めます。
これにより、継続雇用に関する本人の意思を明確にすることができます。
なお、雇用条件が合わない、あるいは本人が希望しないなどの理由で再雇用しない場合は、定年退職となります。
この場合、「再雇用辞退申出書」の提出を求め、従業員本人の意思を明確にしておくとよいでしょう。


STEP2:対象者と面談し、雇用条件を提示する
再雇用を希望する社員と個別に面談を行います。
この面談では、再雇用後の仕事内容や給与、職位などの雇用条件について詳しく説明し、本人の理解を得ることが大切です。
仕事内容が変わらない場合でも、給与減額・職位変更・上下関係の変化など、働く環境は大きく変化することがあります。
これらの変化を事前に伝えておかないと、再雇用後に従業員本人のモチベーションが下がってしまう可能性があるので注意しましょう。
企業と従業員、お互いの認識を合わせ、再雇用の条件で合意できた場合は、正式な内定通知を出します。


STEP3:再雇用の決定後、各種手続きを進める
再雇用が正式に決まったら、以下のように各種手続きを進めていきます。

新規雇用手続き
再雇用は定年退職後の新たな雇用となるため、新しく入社する社員と同じ手続きが必要です。
労働条件通知書の交付、社会保険や雇用保険の手続きなど、法律に基づいた手続きを行いましょう。

労働契約書の作成・締結
合意に至った雇用条件を明記した労働契約書を作成し、再雇用者との間で締結します。
有期雇用か無期雇用かについても明記する必要があります。

社内周知と研修の実施
再雇用する人がどのような仕事をするのか、どこで働くのかなどを関係部署の社員に伝えます。
再雇用者に対しても、就業ルールなどについて改めて研修を行いましょう。
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企業が高年齢者雇用安定法改正に適切に対応するための3つのポイント

高年齢者雇用安定法改正により、企業には具体的にどのような対応が求められるのでしょうか。
3つのポイントに分けて解説します。


就業規則を変更する
継続雇用制度や定年延長、定年制の撤廃を導入する場合は、その内容に合わせて就業規則を加筆・修正する必要があります。
例えば、「本人が希望する場合は、65歳まで継続雇用する」といった内容を就業規則に追加します。
就業規則を変更したら、労働基準監督署に届け出ることも忘れないようにしましょう。


賃金制度や労働条件を見直す
従業員の雇用を継続する場合や定年を延長する場合、今までの賃金制度や労働条件をそのまま適用するのか、見直すのかは慎重に検討しなければなりません。
検討すべき賃金制度・労働条件の例としては、以下のようなものがあります。

  • 給与の金額
  • 退職金の支払いタイミング
  • 雇用形態
  • 業務内容
  • 時短やフレックス勤務の導入
  • 週あたりの勤務日数
上記の項目について、雇用が継続される本人だけでなく、一緒に働く他の従業員も納得できる内容かどうかバランスを考えながら見直していきます。
すべての従業員がモチベーション高く働けるよう、十分注意を払いながら進めていきましょう。


シニア従業員の処遇改善を検討する
継続雇用制度や定年延長制度を導入したあとは、60歳以上のシニア従業員がやる気を持って生き生きと働ける職場環境を整えることが重要です。
そのためには、人事制度や評価制度を適切に設計し、従業員の能力や適性に合った仕事を割り当てる必要があります。
また、シニア従業員の身体機能の低下や健康維持、生活習慣などに配慮した安全衛生研修を実施することで、事故のリスクを防ぐこともできます。
さらに、雇用継続後に今までと異なる仕事に就く場合は、業務研修を行ってストレスなくスムーズに新しい仕事に入れるようサポートしましょう。

※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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高年齢者雇用安定法の改正は、シニア世代により多くの就業の機会が提供され、その豊富な経験と知識を活かして社会で活躍するための重要なステップになっています。
シニア世代が生き生きと働ける環境を整備することは、単にコンプライアンス上の問題だけでなく、深刻化する人材不足を解消するうえでも有効な手段です。
今からしっかりと対策を講じ、すべての従業員がともに歩める活力ある職場を実現していきましょう。

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