2023年10月から開始されたインボイス制度は、多くの企業の経理業務に影響を与えました。
要件を満たしたインボイスを作成するという発行側の手間だけに留まらず、そもそも取引先が適格請求書発行事業者なのかを確認する必要があるなど、受領側にも多大な労力がかかっています。
また、2024年6月以降は定額減税に関する処理も必要になり、経理業務はより複雑化してきています。
このように、取引先一つ一つに合わせた作業や、通常とは異なるイレギュラーな処理が多発すると、処理時間がより増えるのはもちろん、ミスも発生しやすくなります。
※関連記事:インボイス制度導入から1年!見えてきた課題とデジタルツールの必要性
定額減税に備えるには?月次減税事務で慌てないために必要なこと【令和6年度税制改正】
制度改正そのものに対して一斉解決できるような手段はまだないものの、経理業務全体を効率化して状況を緩和させる方法の一つとなるのが、AI技術です。
AIは帳簿作成や仕訳作業のような定型業務の自動化や、将来予測や売上シミュレーションなど高度な分析の実現など、様々な作業に役立ちます。
ITDX 2024/10/22
AIを経理担当者が簡単に使う方法は?複雑化する経理業務に進めたいDX化
経理業務の効率化やコスト削減は、多くの企業にとって重要な課題です。
特に近年は、インボイス制度や定額減税などの制度変更により、経理処理が複雑化しています。
こうした状況下で、AIを活用した経理の業務改善が注目を集めています。
本記事では、AIを用いた経理業務の効率化と、実際にどのようにAIを取り入れていくかを解説します。
経理業務の課題と効率化の必要性
AIを活用した経理業務の自動化と内部統制
AIは単純な電子化ではないため、例えば以下のような高度な処理も可能です。
さらに、AIは大量の取引データをリアルタイムに分析し、通常とは異なる取引パターンを検知することで不正を早期に見出すこともできます。
この働きは内部統制の強化やセキュリティ向上にも活用できます。
また、AIを活用するためには、以下のような事前の準備が必要となります。
では、経理担当者がAIを効果的に使用するためにはどのようにしたら良いのでしょうか。
- 仕訳の自動化
AIが取引内容を理解し、適切な勘定科目に自動で仕訳 - 経費精算の自動化
領収書のOCR読み取りと経費申請書の自動作成 - 不正検知
AIが通常と異なる取引パターンを検知し、不正リスクを軽減
さらに、AIは大量の取引データをリアルタイムに分析し、通常とは異なる取引パターンを検知することで不正を早期に見出すこともできます。
この働きは内部統制の強化やセキュリティ向上にも活用できます。
- ワークフローの自動化
AIが承認プロセスを自動で管理することで、適切な権限者による承認を確実に行うようにする - 監査証跡の自動記録
処理のログがAIによって自動で記録されるため、人による記録作業が不要となる - セキュアな環境づくり
適切なセキュリティ対策が施されたクラウドサービスを活用することで、データをクラウド上で一元管理し、データの散逸や流出のリスクを抑える
また、AIを活用するためには、以下のような事前の準備が必要となります。
- 業務プロセスの見直し
AIに適した業務フローへ変更する - マスタデータの整備
勘定科目や取引先など、基本的な情報を標準化する - AIへの適切な学習
自社の経理ルールをAIに正しく学習させる
では、経理担当者がAIを効果的に使用するためにはどのようにしたら良いのでしょうか。
経理業務におけるAIの具体的な活用事例
経理担当者が比較的簡単に業務へAIを取り入れる方法は、大きく分けて2つあります。
特にChatGPTは自然言語処理の性能に優れており、経理担当者が日常的に使う言葉で質問しても適切な回答を得られます。
例えば、「売上計上のタイミングはいつにすべきか?」といった質問に対して、会計基準に沿った回答を即座に得られます。
また、ChatGPTは大量のデータを学習することに長けているため、過去の財務データを学習させることで、高度な財務分析を行うことも可能です。
例えば、「売上が前年比で5%減少しているが、その要因は何か?」といった質問に対して、売上の減少要因を様々な角度から分析し、答えを導き出してくれるのです。
ただし、汎用AIの場合、企業固有の処理ルールには対応しづらいという課題があります。
また、機密情報を外部のAIに預けるセキュリティ面での不安もあります。
汎用AIは、経理知識の習得や処理ロジックの検討など、人材育成の一助として活用するのが良いでしょう。
※関連記事:ChatGPTを経理業務で使うには?生成AI初心者が押さえておきたい基礎知識
例えば、仕訳入力の支援、取引内容や勘定科目の整合性のチェックなど経理処理に役立つものから、学習したルールに応じた仕訳や残高のチェックなど監査業務に使用できるものまで、AIを使った様々な機能を搭載したシステムがあります。
これらのシステムは、経理業務に特化したAIを搭載しているため、汎用AIとは異なり企業固有の処理ルールにも対応可能なものが多くあります。
このようなシステムを導入することで、ITに詳しくない担当者でも、自社の業務により適したAI活用が可能になります。
ただし、専用システムの導入には一定のコストがかかるため、自社の業務規模や課題に応じてどのようなシステムを導入するかは慎重に選択しましょう。
また、専用システムの場合でも、AIへの適切な学習は欠かせません。
自社の経理ルールをAIに正しく学習させるためには、学習用データの準備や学習結果の検証など、一定の作業が必要です。
しかし、これも使用するシステムの使い方に沿って対応すれば、スムーズに学習させることができるでしょう。
※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
ChatGPTなどの汎用AIツールを使う
ChatGPTのような汎用AIツールに、会計基準や税法などの経理知識をインプットすることで、仕訳や財務分析のサポートに活用することができます。特にChatGPTは自然言語処理の性能に優れており、経理担当者が日常的に使う言葉で質問しても適切な回答を得られます。
例えば、「売上計上のタイミングはいつにすべきか?」といった質問に対して、会計基準に沿った回答を即座に得られます。
また、ChatGPTは大量のデータを学習することに長けているため、過去の財務データを学習させることで、高度な財務分析を行うことも可能です。
例えば、「売上が前年比で5%減少しているが、その要因は何か?」といった質問に対して、売上の減少要因を様々な角度から分析し、答えを導き出してくれるのです。
ただし、汎用AIの場合、企業固有の処理ルールには対応しづらいという課題があります。
また、機密情報を外部のAIに預けるセキュリティ面での不安もあります。
汎用AIは、経理知識の習得や処理ロジックの検討など、人材育成の一助として活用するのが良いでしょう。
※関連記事:ChatGPTを経理業務で使うには?生成AI初心者が押さえておきたい基礎知識
AI搭載の会計システムを使う
経理業務に特化したAIを搭載したシステムを導入することで、AIの機能を効果的に使うことができます。例えば、仕訳入力の支援、取引内容や勘定科目の整合性のチェックなど経理処理に役立つものから、学習したルールに応じた仕訳や残高のチェックなど監査業務に使用できるものまで、AIを使った様々な機能を搭載したシステムがあります。
これらのシステムは、経理業務に特化したAIを搭載しているため、汎用AIとは異なり企業固有の処理ルールにも対応可能なものが多くあります。
このようなシステムを導入することで、ITに詳しくない担当者でも、自社の業務により適したAI活用が可能になります。
ただし、専用システムの導入には一定のコストがかかるため、自社の業務規模や課題に応じてどのようなシステムを導入するかは慎重に選択しましょう。
また、専用システムの場合でも、AIへの適切な学習は欠かせません。
自社の経理ルールをAIに正しく学習させるためには、学習用データの準備や学習結果の検証など、一定の作業が必要です。
しかし、これも使用するシステムの使い方に沿って対応すれば、スムーズに学習させることができるでしょう。
※本記事の内容は掲載日時点での情報です。
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