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経理/財務決算 2021/04/13

投資の判断だけじゃない!会社の収益性がわかるEPS(1株当たり利益)とPER(株価収益率)

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EPS(1株当たり利益)は主に株式投資やM&Aを行う際に投資家が注目する指標の1つです。投資の判断材料としてしか認識されていないことが多いEPSですが、実際は経理担当者が財務分析に役立てることもできます。
今回は自社分析に有用なEPSの概要と計算方法などを解説します。株式を公開している会社の経理担当者はぜひチェックしてください。

EPS(1株当たり利益)とは

EPSは「Earnings Per Share」の略語で、日本語では「1株当たり利益」と訳します。その名の通り企業が発行している株についての「1株に対する企業の利益」を示す指標です。EPSは株主への配当の原資となる「当期純利益」を発行済みのすべての株式「発行済株式総数」で割って算出します。当期純利益とは、すべての収益から法人税などを含めたコストの総額を差し引いた数値です。

■EPS(1株当たり利益)の計算式
EPS(1株当たりの利益)=当期純利益÷発行済株式総数

税引前の当期純利益が5億円、発行した株式の総数が300万株、法人税などの税金が2億3,000万円の場合、EPSの算出方法は以下の通りです。

■EPS(1株当たり利益)の例題
  • 5億円-2億3,000万円=2億7,000万円(当期純利益)
  • 2億7,000万円÷300万株=90円
  • EPS(1株当たり利益)=90円

EPSは他社と比較することもありますが、投資家の多くは該当企業における過去の推移を重視しています。EPSが上向きであれば成長率が高いということなので、株を購入する判断基準になるのです。
経理担当者の場合は、収益性の目標値のひとつとしてEPSを確認することで、資金調達などの計画に役立てることができます。例えば、EPSが低ければ投資家の投資意欲が失せる可能性があります。そのため、EPSの動きからタイミングを判断できれば、資金調達しにくい環境になる前に施策を打つことができます。

また、EPSの値は純利益と株式の数によって増減します。

■EPSの増減と純利益、株式数の関係
EPS 増加 減少
純利益 大きい 小さい
株式数 少ない 多い

純利益と株式数は以下のような要素から影響を受けて増減します。

■純利益の減少の要因
  • 売上の減少
  • 費用の増加

■純利益の減少の要因
  • 新規株式の発行
  • 株式分割
  • ストックオプションの発行

PER(株価収益率)とは

株式投資における指標には、会社の収益力を示す「PER(株式収益率)」というものもあります。PERはEPSと同じく財務分析のための指標の1つで、会社の利益に対する株価の価値を求めるものです。投資家の多くは、PERが低ければ株価が割安で「買い時」、高ければ割高で「売り時」と判断します。
従って、PERは投資家からの期待の度合いとして自社の価値を表しているとも言えます。自社の収益に比べてPERが低すぎる場合は外部に向けたアピールなど、投資を呼び込む施策を検討する必要があります。一方でPERが高すぎる場合は、投資されにくい環境である可能性があります。このような状況を踏まえて、どのタイミングでどのような施策が必要か判断することができます。

■PERの計算式
PER=株価÷EPS

先ほど求めた企業の株価が360円だった場合、以下の計算でPERが求められます。

■PERの例題
PER=360÷90=4倍

該当する企業の株価の収益率は4倍ということが明らかになりました。
4倍という数字が割高なのか割安なのかを判断する明確な基準はありません。投資家の多くは比較検討している他社と比べて判断します。

■PERの比較
A社:株価600円÷EPS 300円=2倍
B社:株価900円÷EPS 300円=3倍
C社:株価360円÷EPS 90円=4倍

上記の場合、株価とEPSはC社が最小であるものの、PERにおいては他社よりも優位性が高いことがわかります。
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財務分析に利用される指標「EPS(1株当たり利益)」と「PER(株価収益率)」について解説しました。いずれも株主からの評価だけでなく、会社の成長性、収益性まで判断できる重要な指標です。IRなどが公開されている企業の経理担当者は、積極的にEPSやPERを使って財務分析にチャレンジしてみてください。

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