総資産とは企業におけるすべての資産を指すもので、そこには銀行からの融資などを含めた負債も含まれます。ROAはこの総資産に対してどれだけ利益を生み出したのかを示すものです。
原則として、ROAの数値が高いほど総資産に対して効率良く利益があがっている状況と言えます。つまり、ROAの数値の向上を目指すことが管理会計において重要になるのです。ROAの計算式は以下の通りです。
ROA=(当期純利益÷総資産)×100
例えば、自社の総資産が10億円、当期純利益が1億円だった場合、ROAは以下のように求めます。
ROA=1億円÷10億円×100=10%
ROAは10%という結果が出ました。この10%という数値が良好なのかどうかは以下のように判断します。
■ROA(総資産利益率)の優良企業は5%以上が目安
一般的にROAの数値が優良なのは5%以上とされており、投資家からの評価も高くなる傾向があります。ただし、ROAは業種によって上がりにくいケースもあるので、この基準はあくまで原則的なものです。例えば、大規模な設備投資や固定資産が多い製造業などは総資産が多くなるため、設備投資が少ないサービス業などと比べるとROAは低くなります。そのため、自社のROAが優良かどうかを正確に判断するためには、同業他社のROAを算出して比較する必要があります。
■ROA(総資産利益率)が下がる原因と上げる方法
ROAが下がる要因には、以下のようなケースが該当します。- 金融機関から融資を受けるなど、負債が増えた
- 新規事業を立ち上げるなど、すぐに利益の出ない業務が増えた
上記の場合、総資産が増える一方で利益が生まれないため、ROAは低下します。しかし将来的な利益を見越した計画が立てられていれば、このような状況が中長期的にはROAを向上させることにつながります。現状のROAの良し悪しを判断するには、単に数字を見るだけでなく、会社の事業展開も把握しておくことが重要です。
将来的な増加が見込めない場合、ROAを改善するには以下のような方法があります。
- 売上にかかっている経費などの削減
- 製造費用の削減
- 借入金の返済
- 買掛金の支払い
これらは総資産を減らし利益を増やすための施策です。経理など間接部門の人件費も、会社の事業全体の観点では総資産の削減に該当します。経理担当者としては自身の業務効率化を図ることもROAの増加につながるのです。