商品やサービスなどを売買する際、一定期間を経た後で支払いを行う「掛け取引」は、ほとんどの企業で採用されています。掛け取引には、複数の取引をまとめて処理することで、事務処理コストの削減ができるというメリットがありますが、適切に管理できていないと経営に直結する大きな問題となり得ます。
今回のクラウド会計ソフトの教科書では、売掛金・買掛金を上手に管理する方法を、実際の使い方を確認しながら説明します。
売掛金・買掛金とは
掛け取引とは、商品のやりとりが発生した時点ではなく、後日に支払いを行う取引です。取引数が多い企業は、後からまとめて支払いを行うことで事務処理を効率化できます。ただし、売り手側は売掛金を回収できなければ、帳簿上の売上が計上されるだけで実際のお金は増えません。極端にいえば、多額の売掛金が回収不能になってしまうと、「黒字倒産」になってしまうケースもあるのです。だからこそ、日々の売掛金・買掛金の管理は大変重要な業務です。
売掛金、買掛金の管理業務は、一般的に以下の流れで行われます。
■売掛金管理の流れ
- 営業部など取引の担当者から請求書の控えを預かる
- 振替伝票を作成
- 得意先元帳に転記
- 回収後に消込
■買掛金管理の流れ
- 仕入先や購買部などの取引相手から請求書を預かる
- 振替伝票を作成
- 仕入先元帳に転記
- 支払い後に消込
一見、そこまで複雑な作業には見えませんが、作業の中には「請求漏れ・誤請求」、「二重請求」、「入金時期の誤認識」、「回収漏れの見逃し」などのリスクが潜んでいます。振替伝票や得意先元帳など、複数の帳簿を跨いで処理しなければならないのもその理由の一つです。他にも以下のような注意点があります。
- 複数帳簿への転記ミスが発生しやすい
- 消込処理時に該当項目を探しにくくミスが発生しやすい
- 目視確認時の確認ミスが発生しやすい
- 作業スピードが担当者の経験、スキルに依存する
- 長期の推移がわかりづらい
- 関連する帳簿を一つでも紛失した際のリスクが高い
これらをすべて解決し、かつ、できるだけ短時間に対応するには、手書きやエクセル(Microsoft Office Excel)では無理があります。そのため、多くの企業では会計ソフトを利用して売掛金・買掛金の管理をするのが一般的です。その中でも、最近では特にクラウド型の会計ソフトが増えています。
クラウド会計ソフトの自動連携機能で確認・入力作業を効率化!
クラウド会計ソフトを使った場合、多くの作業が自動化されるため、いくつかの手順をカットすることができます。例えば、ユーザーは振替伝票を作成するだけで仕訳帳、得意先元帳、残高一覧表へのデータは自動的に反映されます。これによって転記処理、消込処理自体が必要なくなるため、ミスが減少するほか、目視確認の必要性もなくなります。
他にも以下のようなメリットがあります。
- 部門別の債権管理が可能
- 入金予定の確認が可能
- 資金繰りがリアルタイムに把握できる
帳簿上の業務だけでなく、会社全体のキャッシュフローの推移などもわかりやすく表示されるため、経営計画も立てやすくなります。
クラウド会計ソフトの使い方
続いて、クラウド会計ソフトでの売掛金の入力方法をミロク情報サービスが提供している「
かんたんクラウド会計」を例に説明します。
条件:8月8日に飛鳥マートに店舗用機材1万5,000円を売掛金で販売した。
■ステップ1:クラウド会計ソフトのホーム画面から「振替伝票」をクリック
■ステップ2:必要事項を入力する
■ステップ3:得意先元帳を確認(反映は自動で行われる)
得意先元帳では、当月にどの項目を回収できたか確認できる「当月回収」や、どのような方法で回収したか確認できる「振込回収」「手形回収」などの細かい項目も見ることができます。
次に、売掛金の回収時における作業を見ていきます。
条件2:8月31日に飛鳥マートに販売した売掛金を銀行振込で回収した。
■ステップ1:クラウド会計ソフトのホーム画面から「入金伝票」をクリック
■ステップ2:必要事項を入力する
入金伝票の入力をすることで、売掛金データの消込作業も自動的に実行されます。
クラウド会計ソフトではひとつのデータを入力すると、連動して他の帳簿や資料でも適切なデータが反映されるのが大きな魅力です。例えば、上記の作業を行うことで、残高一覧表でも売掛金の「前月残高」、「当月借方」、「当月貸方」、「当月残高」が確認できます。
■残高一覧表
このように、クラウド会計ソフトを使えばキャッシュに関する状況の全体像を容易に把握できるので、業務を円滑に進めやすくなります。
かんたんクラウド
会計ソフトがはじめてでもわかりやすい!簿記が苦手な方でも大丈夫!
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現在、販売されているクラウド会計ソフトには、売掛金・買掛金の管理機能は基本的に搭載されています。ただ、得意先元帳への連携や部門別の管理など計上より先の連携機能は各社で異なるケースがあるので、導入する際は注意が必要です。そこまで興味がある場合は、搭載された機能を調べたうえで適切なツールを選んでみてください。ミロク情報サービスのツールにも連携できる機能が豊富ですので、選定の参考にしてください。
※参考リンク:経営スピードに、連携の力を。MJSでは各システムがすべて連携!