既に申請と給付が始まっている「持続化給付金」は、中小企業には最大200万円、個人事業主には最大100万円が給付される支援策です。この給付金の最大の目的は、新型コロナウイルス感染症によって売上が減少した事業者の「事業の継続を下支えし、再起の糧にする」ことです。
■持続化給付金の概要
申請対象 |
資本金10億円未満の中堅・中小企業・小規模事業者・個人事業者(フリーランス含む) |
申請条件 |
2020年1月から申請する月の前月までの間で、売上が前年同月比で50%以上減少している者 |
給付額(最大) |
法人は200万円
個人事業者は100万円 |
申請期間 |
2020年5月1日~2021年1月15日 |
申請方法 |
専用ホームページもしくは郵送など |
必要書類 |
確定申告書
対象月の売上台帳
通帳の写し |
■給付額の算定方法
給付額=前年の総売上(事業収入)―(前年同月比▲50%の売上×12カ月)
持続化給付金は、融資や補助金などの支援策と比べると対象が幅広く、申請条件もシンプルで、必要書類を揃える手間もそれほどかかりません。また、申請から振り込みまでの目安が2週間ということもあり、迅速に給付金を受け取りたい企業では、まず申請を検討したい支援策です。実際、申請初日の5月1日には5万6000件、7日17時時点での累計申請数は約50万件と多くの事業者が申請しています。
申請期間には猶予があるものの、2020年5月8日には算出方法が変更され、「10万円未満の額は切り捨て」という表記がカットされました。以降も修正が加わる場合があるので、以下のリンクなどから最新の情報を確認するようにしてください。
※出典:
中小企業庁「【中小法人・個人事業者のための】持続化給付金」
「雇用調整助成金」は、経済上の理由で事業活動を継続することが難しくなった事業者に対して、従業員の休業手当を補助するための助成金です。新型コロナウイルスの影響で、「国や自治体から営業時間の短縮・休業を要請された」、「取引先の事業縮小に伴って、自社の収益が減少した」、「風評被害により客足が減った」などの状況に直面している事業者も少なくないでしょう。これに対して、雇用調整助成金では新型コロナウイルスによる緊急対応期間中の特例措置を実施し、受給額に直結する助成率の引き上げも行っています。
申請条件 |
新型コロナウイルス感染症の影響で下記の状態に陥っている事業者
- 事業活動が縮小している
- 直近1カ月の売上または生産量などが前年同月と比較して5%以上減少している
- 従業員の休業などを実施し、休業手当を支払っている
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休業手当に対する助成率 |
大企業 2/3
中小企業 4/5
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解雇を行わなかった場合など、一定の条件を満たしたうえでの助成率 |
大企業 2/3
中小企業 9/10
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教育訓練をした際の加算額 |
大企業 1,800円
中小企業 2,400円
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対象従業員 |
雇用保険被保険者でない労働者の休業も対象 |
申請期間 |
支給対象期間の末日の翌日から2カ月以内 |
申請方法 |
ハローワークへ書類を提出 |
また、一定の条件下では、助成率が10/10となる場合もあります。詳細は以下のサイトで確認してみてください。
※出典:
厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」
さらに、これまで複雑だった算定額の決定方法や申請方法などの手続きも簡素化されています。雇用調整助成金はもともと従業員20人以下の小規模事業主とそれ以外の事業主で算出方法が異なり、これまではどちらも複雑な計算が必要でした。それが、小規模事業主の場合は以下のように変更となります。
助成額=「実際支払った休業手当額」×「助成率」
それ以外の事業主の場合は、ここまでシンプルな公式にはならないのですが、算出に必要な要素の中でも特に複雑とされている「平均賃金額」の計算方法が下記のように簡素化されます。
平均賃金額 = 納付書の「支給額」÷「人員の数」
そのほか、以下のような変更が行われています。
■記載事項
73事項から38事項に変更。
■記載事項の簡略化
合計日数のみで申請可能。
■下記添付書類の廃止
■下記添付書類の既存書類への置き換え
- 生産指標…売上が分かる書類で可
- 出勤簿・給与台帳…手書きのシフト表・給与明細で可
■休業の計画届の提出時期
事後提出が可能。