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経理/財務税務(税金・節税) 2019/02/12

デキる経理は決算で差を付ける。経理担当者が提案しやすい決算前の節税対策とは

決算月は経理担当者にとって忙しい時期ではありますが、同時に周囲からの評価を上げる大きなチャンスでもあります。特に注目していただきたいのが「決算前の節税対策」です。この対策は、経営陣にとっても関心の高い要素のひとつです。節税に関することは、会社の顧問税理士に任せているケースも多いかと思いますが、経理担当者の「気づき」や「提案」で節税ができたという事例も少なくありません。そこで今回は、経理の決算業務である「実地棚卸」「期末日残高の確認」「帳簿整理」「債権の整理」に加えて、通常の経理よりも一歩進んだ「節税の提案」につなげやすいテクニックをご紹介します。

経理担当者が提案しやすい節税対策とは

決算前の節税テクニックをご紹介する前に、まずは現場の経理担当者が上司や経営者に提案しやすい節税対策の条件について明らかにしましょう。決算月の3ヵ月以内に行える節税対策は「中小企業倒産防止共済への加入」など20以上ありますが、経営的な判断や大きな資金が必要というケースも少なくありません。それを除いた条件、つまり

  • 会社にとって重要な経営判断を必要としない。
  • なるべく資金を使わない。

こういった条件の対策が提案しやすいと考えられます。

節税対策1:固定資産の除却

経理担当者が節税を考えるうえで、まず検討していただきたい方法が「固定資産の除却」です。固定資産の除却とは「現在残っている固定資産を廃棄する」ということで、原則として除却した固定資産の帳簿残高を「固定資産除却損」として経費計上することができ、節税につなげられる可能性があります。仕訳は以下のように行います。

■固定資産の除却(例)
固定資産の帳簿価格(残高) 30万円
固定資産除却損       30万円

また、回収業者への支払いなど固定資産を処分するためにかかった費用も「固定資産除却損」として経費計上することができます。さらに固定資産税のひとつである「償却資産税」は、所持している償却資産税の課税標準額の合計が150万円未満だと非課税になるのもポイントです。実際に経理担当者が廃棄や除却を提案しやすい固定資産とはどのようなものがあるのでしょうか。その一例を以下でご紹介します。

  • 事務机
  • 事務イス
  • パソコン
  • ロッカー
  • LAN設備
  • 応接セット
  • 看板(ネオンサイン、袖看板、広告塔)
  • ソフトウェア

以上の備品などは、比較的、経理担当者でも廃棄や処分を提案しやすいのではないでしょうか。使っていない資産を処分することで、「スペースを有効活用できる」「無駄を省くことができる」といったメリットも生まれるので、もしオフィスに使っていない資産があれば、ぜひ廃棄を提案してみてください。

さらにもう一歩!

さらにデキる経理担当者を目指すなら、ぜひ「有姿除却」についても考えてみてください。「有姿除却」とは、実物を廃棄しなくても、処分見込価格を差し引いた金額を償却資産の帳簿残高から損失として経費に計上できるという固定資産の除却の例外です。車や工場の機械など処分するのに多額の費用がかかってしまうものが対象になります。

■有姿除却の計算
固定資産税帳簿残高70万円 ― 処分見込価格10万円 =損失計上60万円

これによって、取り壊しや撤去費用などをかけず、帳簿上だけで節税ができるのです。ただし、「有姿除却」にはいくつかの条件があるので注意が必要です。

  • 対象の資産を一切使用しないこと
  • 将来、使用される可能性がほとんどないことが明らかな資産であること

上記の二点を証明できるように、有姿除却する理由をできるだけ具体的に書面に残しておく必要があるでしょう。これらの要点を抑えておけば、機械や車などの固定資産を捨てなくても経費で落とせる可能性が高まります。

節税対策2:広告宣伝の検討

広告宣伝費は経費として計上できる大きな節税ポイントのひとつです。特に、今期に突出して利益が出た場合は、翌期に広告宣伝を打つよりも大きな節税効果が期待できます。そのため、翌期以降に広告宣伝などのプロモーションを予定している場合、今期に前倒しできるか提案してみるのもおすすめです。ただし、広告宣伝に関わる支出でも、その内容によって「損金」「前払い費用」「繰り越し資産」「固定資産」とそれぞれ経理処理の方法が異なるので注意が必要です。節税という点においては、支出時に「損金」に計上されるものが特に効果的とされています。その具体例をご紹介します。

【損金に計上できる広告宣伝】
  • 新聞、雑誌、テレビ、ラジオでの広告費
  • ほぼ毎年作成し、配布しているカタログや商品の見本、社名入りのカレンダーや年賀状
  • 会社、工場見学を開催した際の試飲、試食の費用
  • 一般消費者向けに企画した抽選の景品や旅行の費用

上記に加えて、決算直前期に特におすすめなのが「インターネットの広告」です。「ディスプレイ広告」「リスティング広告」「SNS広告」「アフィリエイト広告」など様々な種類がありますが、どれも雑誌やテレビ用の広告と比べてスピーディーに作成、掲載しやすいため、決算期直前の節税対策として活用しやすいといえます。
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今回は経理担当者が提案しやすい節税対策のうち、「固定資産の除却」と「広告宣伝の実施の前倒し」についてご紹介しました。通常の決算業務だけでなく、積極的に節税ポイントの見直しを提案することでデキる経理担当者としてポジションアップを狙うことができます。まずはどの方法なら提案できそうか、状況を確認することから始めてみてください。

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