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経理/財務税務(税金・節税) 2018/02/13

法人の固定資産税、経理が知っておくべき基礎知識

2月の経理業務は、贈与税の申告や固定資産税の第4期分納付、そして所得税の確定申告が始まる忙しい月となります。
確定申告については、別の記事で数回にわたり連載しているため、今回は法人の固定資産税を取り上げます。
固定資産税の概要から節税のポイントまで、経理担当が知っておくべき基礎知識をご紹介します。

固定資産税とは?

固定資産税とは、法人や個人が所有する固定資産に対して課税される地方税のことで、課税対象は法人の場合、土地、社屋、償却資産となります。償却資産とは、時間の経過とともにその価値が減少する事業用資産のことで、例えば機械設備や事業用車両、OA機器などがあげられます。

償却資産は、上記のような事業用資産を購入した際、一度に費用とせず数年に分けて少しずつ費用に計上していく減価償却という仕組みで費用計上することになっています。何年にわたって費用計上するかは耐用年数と言い、物品ごとに税法上で決められています。

納税義務者となるのは、毎年1月1日にその資産を所有していた企業。年の途中で所有者が変わっても、税金が課せられる基準日となる1月1日が優先されます。納税先は、その固定資産がある市町村で、東京の場合は区ではなく東京都が課税主体となります。納期は原則として4月、7月、12月、2月の年4回(東京都は6月、9月、12月、2月)です。

固定資産税の仕訳

自社ビルや投資用不動産物件、事業用資産などを対象とした固定資産税は、経費として全額損金計上が可能です。損金算入時期については、「賦課期日を含む事業年度内に全額を損金算入」というように国税庁によって決められています。賦課期日とは、税金が課せられる基準となる日で、固定資産税の場合は先述の通り1月1日です。

仕訳は租税公課という勘定科目になります。租税公課とは、法律により徴収される税金のことで、固定資産税の他、都市計画税、不動産取得税、法人税、住民税、印紙税、自動車税など、国税・地方税の仕訳の際に用いられる勘定科目です。

租税公課は、損益計算書(P/L)における販売費及び一般管理費として扱われます。計上時期は、固定資産税支払いのタイミングで、先述したように、納付は第1期から第4期まで4回にわたって納付します。第4期分など、翌事業年度にまたがる分を「未払金」として今期の経費に計上することもできます。

節税のポイント

  • 免税点を正しく把握する
    固定資産税には、免税点があります。これは対象の課税標準額を基準とし、それぞれの資産に応じて決められています。例えば土地は30万円未満、建物は20万円未満、償却資産は150万円未満なら免税となります。この免税点は市町村ごとの金額なので、例えば複数の市町村に合計300万円の償却資産を保有していても、各市町村で150万円未満だったら税金はかかりません。

  • 固定資産評価額を下げる
    固定資産税は評価額を下げることで税金を安くすることができます。その代表的な方法が分筆です。分筆とは、登記簿上で一つの土地(一筆)となっているものを、いくつかの土地に分割して登記し直すこと。大きな土地が一筆ある場合、大通りに面した土地も奥の不便な土地も同じ評価額になってしまいますが、これを分筆することで利便性の低い土地の評価額を下げ、節税につなげることができるのです。

  • 優遇制度や減免制度もチェック
    火災や水害などの災害を受けた場合は、減免もしくは免税、設備投資に関する減免制度などがあります。ただしこれは市町村ごとに内容が異なりますので確認が必要です。また、固定資産税は、公園や私道など公共性の高い土地が含まれている場合、減免もしくは免税されるケースがあります。その場合、例えば該当する敷地の一部を公園として一般開放することで節税を行うといった方法も考えられます。
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固定資産税は4半期ごとに送られてくる納付書に促されるままに支払いを続けるなど、業務がルーティン化しているケースが多いようです。そのため定期的に償却資産の見直しを行うなど、払い過ぎていないかチェックすることが大切です。新しい優遇制度や減免制度などもきめ細かく確認し、経営層に節税の提案をしていくことが信頼される経理への近道となります。

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