「租税公課」とは、国や地方に納める「各種税金(租税)」と、交付金や交通反則金などの「公課」の総称であり、これらを計上する際の勘定科目としても使われています。
勘定科目としての租税公課は、損益計算書上では「販売費及び一般管理費(販売管理費)」の部に計上します。
ただし、租税公課における経費の考え方については会計上と税務上で異なっており、会計上では経費になりますが、税務上では経費にならないことがあります。
それぞれの違いを見ていきましょう。
経理/財務税務(税金・節税) 2021/09/14
租税公課とは?経費になる税金とならない税金はどう違うのか
「租税公課」は、国や自治体、公共団体に納める税金や割賦金などの勘定科目です。法人、個人問わず、租税公課を使って仕訳を行う機会は少なくありません。しかし租税公課には税務上、経費の対象にならないものもあるため、注意が必要です。特に消費税についてはケースバイケースな対応が求められます。
今回は、租税公課の基礎知識と代表的な分類について解説します。
「租税」と「公課」とは?
損金算入できる租税の対象
まず、「会計」と「税務」の考え方を簡単におさらいします。
会計とは、決算書や財務諸表などを作成してお金の流れを記録する業務であり、税務とは税金を算出する業務です。事業を行ううえで失ったお金のことを、会計では「費用」、税務では「損金」と言います。
※関連記事:節税対策の超基本「会計」と「税務」の違いとは
「法人税、住民税及び事業税(法人税等)」など、専用の勘定科目が設けられている税金は対象外であるものの、会計上、費用となる租税には幅広い税金が該当します。
しかし、税務上、損金となる租税にはいくつかの決まりがあります。つまり、会計上は経費で処理できても、税務上は経費として認められないケースがあるのです。
以下で、損金算入できる税金とできない税金の代表例を見てみましょう。
また、税金を税務上の経費とするには、損金算入のタイミングも関係します。
申告納税方式である事業税等は、会計上では「法人税、住民税および事業税等」として未払計上した期に経費となりますが、税務上では納税申告書を提出した事業年度に損金算入されます。
なお、申告納税方式とは、納めるべき税金を事業者自らが計算して納税する納税方法のことです。
会計とは、決算書や財務諸表などを作成してお金の流れを記録する業務であり、税務とは税金を算出する業務です。事業を行ううえで失ったお金のことを、会計では「費用」、税務では「損金」と言います。
※関連記事:節税対策の超基本「会計」と「税務」の違いとは
「法人税、住民税及び事業税(法人税等)」など、専用の勘定科目が設けられている税金は対象外であるものの、会計上、費用となる租税には幅広い税金が該当します。
しかし、税務上、損金となる租税にはいくつかの決まりがあります。つまり、会計上は経費で処理できても、税務上は経費として認められないケースがあるのです。
以下で、損金算入できる税金とできない税金の代表例を見てみましょう。
■損金算入できる税金
- 法人事業税、事業所税
- 印紙税
- 固定資産税
- 自動車税
- 軽油引取税
- 入湯税 ほか
■損金算入できない税金
- 会社の税引前利益から支払う税金
- 法人税、地方法人税
- 法人都道府県民税
- 法人市町村民税 ほか
- 配当・リスクに係る源泉徴収税
また、税金を税務上の経費とするには、損金算入のタイミングも関係します。
申告納税方式である事業税等は、会計上では「法人税、住民税および事業税等」として未払計上した期に経費となりますが、税務上では納税申告書を提出した事業年度に損金算入されます。
なお、申告納税方式とは、納めるべき税金を事業者自らが計算して納税する納税方法のことです。
損金算入できる公課の対象
そもそも損金算入できる租税公課は、基本的に「事業を行ううえで発生するもの」が対象となります。そのため、延滞税や交通違反金といった、ペナルティの意味合いを持つ公課は損金算入することはできません。
※出典:国税庁「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
■損金算入できる公課
- 印鑑証明書、納税証明書の発行手数料
- 商工会や協同組合の会費
- 社会保険料
■損金算入できない公課(罰則に伴う公課)
- 延滞税(国、地方自治体)
- 交通反則金
- 不納付加算税
※出典:国税庁「損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算入時期」
消費税を租税公課で処理するには「税込経理」が必須
租税公課の処理に関して多くの経理担当者がつまずくのが、消費税の処理方法です。消費税は租税公課として損金算入できますが、そのためには売上や仕入れに消費税を含めて処理する「税込経理」を行う必要があります。
では、例えば中間申告では、どのように消費税を処理すればよいのでしょうか。
この時、原則として決算時の精算仕訳は必要ありません。
なお、税抜経理を採用している場合は、租税公課ではなく「仮払金」もしくは「仮払消費税等」を使って処理します。
税抜経理の場合は決算時の処理も必要となります。
※関連記事:消費税は「税込」、「税抜」どっちで処理すべき?
では、例えば中間申告では、どのように消費税を処理すればよいのでしょうか。
■税込経理で、中間申告時に10万円の消費税を現金で支払った場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
租税公課 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
この時、原則として決算時の精算仕訳は必要ありません。
なお、税抜経理を採用している場合は、租税公課ではなく「仮払金」もしくは「仮払消費税等」を使って処理します。
■税抜経理で、中間申告時に10万円の消費税を現金で支払った場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仮払金 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
税抜経理の場合は決算時の処理も必要となります。
■決算時の仮払消費税等の残高が17万円、確定納付額が8万円の場合
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
仮受消費税等 | 350,000円 | 仮払消費税等 | 170,000円 |
仮払金 | 100,000円 | ||
未払消費税等 | 80,000円 |
※関連記事:消費税は「税込」、「税抜」どっちで処理すべき?
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