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税金/節税 2020/01/21

労働保険料に関する会計の基礎知識

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従業員を雇用している企業では、労働保険に関する業務が発生します。これは人事や総務が請け負う業務と思われがちですが、労働保険料処理の観点から見ると、経理担当者にとっても決して無関係なものではありません。今回は労働保険の基礎知識と会計処理、納付方法について解説します。

労働保険とは

労働保険は給付内容や条件、目的によって「労災保険」と「雇用保険」に分けられており、原則として、双方ともに従業員を一人でも雇っている会社は加入が求められます。それぞれの違いは以下の通りです。

■労災保険
正式名称は「労働者災害補償保険」ですが、一般には「労災保険」と略称されることが多くあります。パートやアルバイトなども含めた従業員が、仕事中に怪我、病気、死亡した際に保険金を給付する制度です。窓口は労働基準監督署です。

■雇用保険
「雇用保険」は従業員が退職しなければならなくなった際、当面の生計と再就職を支援するための保険で、「失業保険」と呼ばれることもあります。失業した従業員は「失業手当」とも称される「失業等給付(基本手当)」の給付を受けることができます。窓口は公共職業安定所(ハローワーク)です。

労働保険料の会計処理

労働保険料の処理に使う勘定科目は「法定福利費」です。税金と勘違いして「租税公課」で処理してしまうケースが多いので、注意してください。なお、労働保険料の負担率は労災保険と雇用保険で異なります。

■負担率の違い
労災保険 事業主がすべて負担
雇用保険 事業主・被保険者(従業員)がそれぞれ負担

労災保険料の会計処理

労災保険料は、該当年度の4~3月の間、従業員に支払った賃金の総額に、規定の「労災保険率」をかけ合わせて算出します。労災保険率は事業内容によって異なり、2019年12月現在の最高料率は1000分の103で最低料率は1000分の3となっています。

■労災保険料の計算式
労災保険料=すべての従業員の賃金総額(年度内)×労災保険率

■労災保険料の計算例
卸売業で従業員数30人、平均年収500万円の場合
労災保険率(その他業種に該当)=3/1000
賃金総額 500万円×30人=1億5000万円
労災保険料=45万円

■賃金総額の対象にならない費用
上記の通り、労災保険料を計算する際には賃金総額の算出が重要となりますが、この賃金総額には対象とならない費用があります。これを誤って加えてしまうと本来納付すべき保険料の額にならないので、注意してください。

賃金の対象にならない費用の代表例
  • 役員報酬
  • 出張、宿泊費
  • 退職金
  • 結婚祝金

雇用保険料の会計処理

雇用保険料は、従業員の給与額(賞与含む)に「雇用保険料率」をかけ合わせて算出します。雇用保険料率は労災保険料率と同様、会社の事業内容によって異なるほか、失業保険の受給者数、積立金の残高によって率が改定されることがあるので、会計処理に着手する際は、その都度、必ず数値を確認してください。

なお、雇用保険料は、基本的に「月の給与額」をもとに算出すること、従業員と事業主の双方の保険料を計算しなければならないことが、労災保険料と大きく異なります。

■2019年年度の雇用保険料率
  • 失業等給付の保険料率は労働者・事業主ともに3/1000
    ※農林水産、清酒製造、建設事業は4/1000
  • 雇用保険二事業の保険料率(事業者のみ負担)は3/1000
    ※建設事業は4/1000

※出典:厚生労働省「平成30年度の雇用保険料について」

上記の条件を元に、雇用保険料を算出します。

■雇用保険料の計算例
卸売事業、月の給与額が40万円の従業員の場合
労働者が支払う金額
40万円×3/1000=1200円

事業主が支払う金額
40万円×(3/1000×2)=2400円

※合計の負担金額は3600円になります。

■賃金総額の対象にならない費用
労災保険と同様、雇用保険も賃金の対象にならないものがあります。大半は労災保険と同様なので併せて確認してください。

雇用保険料の対象にならない費用の代表例
  • 役員報酬
  • 出張、宿泊費
  • 退職金
  • 結婚祝金
  • 死亡弔慰金
  • 災害見舞金
  • 年功慰労金
  • 会社が全額負担する生命保険の掛け金
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労働保険料を構成する「労災保険」、「雇用保険」の概要と算出方法について解説しました。経理担当者にとっては保険料の計算が主な業務になりますが、それぞれの特徴を根本から理解することで違いが把握でき、計算ミスを防ぐこともできます。毎年の作業だからこそ、注意点などもしっかりと認識し、スムーズに処理できるようにしてください。

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