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経理/財務管理会計 2017/02/23

ソフトバンクやユニクロなど、なぜ、優良企業は日次決算を採用するのか!?

今、日次決算を採用する優良企業が増えています。
多くの企業は、年に1回税務署に提出するために決算を行い、月次でも決算に取り組んでいることでしょう。これを日ごとに行うのですから経理部門の負担も重くなります。
にも関わらず、多くの優良企業が採用するようになってきました。
なぜなのでしょうか。
ソフトバンクやユニクロも採用している日次決算の魅力に迫ります。

現代のスピード経営に月次決算では対応できない

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日次決算が少しずつ普及している背景には、IT化の進展に伴う経理作業の効率化があげられます。しかし、最も大きな理由はスピード経営といえるでしょう。
従来行われている月次決算・年次決算だけではリアルタイムな経営状況が把握できないからです。ソフトバンクは、会社黎明期から日次決算を採り入れていたことで有名です。
孫正義社長はオリジナル開発の「日次決算ソフト」が入ったノートパソコンを持ち歩き、チームごとに算出された日々の損益などを常時チェックしていたそうです。

何よりもスピードが要求される現代の経営。
今どの商品、どの部門からどれだけの粗利を生み出しているのか、それぞれに改善の余地はあるのか、重点商品は変更すべきか、キャンペーンの必要はあるか、売価設定や値引幅はどうするかなど、重要な意思決定の材料をリアルタイムで提示できる日次決算には、大きなメリットがあるといえます。

詳細なデータを取得可能、きめ細かな経営ができる

では、実際に日次決算が経営にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
最大のメリットは、日という小さな単位に落としこむことで、日ごとの意思決定をウォッチできることです。
例えば、ユニクロのように、全国にチェーン店を展開する会社では、売上の少ない日はアルバイト・パートの出社を削減したり、仕入を少なくして廃棄量を減らしたりして調整することで、利益をあげることができます。

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ひと月の間でも売上は変わるものです。
例えば、平日と休日、給料日前後では売上が大きく異なります。日次決算にすることで、売上予測に応じた予算編成と目標設定が可能な上、それぞれの結果をフィードバックして翌日の予算編成と目標設定に活かすことができます。
これを繰り返すことで、より正確な売上予測が可能になり、キャンペーンやイベントなどの成功率も高まっていきます。

近江商人がいち早く採用したという説も

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この日次決算の起源は古く、鎌倉・南北朝時代の近江商人が採り入れていたという説があります。自分の事よりもお客の事を考え、みんなの事を大切にして商売をすべき、という商売の基本である「三方よし」の理念を広めた近江商人。その商売の根底には、日々の経営状況を把握し商売繁盛を盤石なものにする知恵があったのでしょう。

また、近江商人の教えといえば「真剣ならば、『知恵』がでる。中途半端ならば、『愚痴』がでる。いい加減だと、『言い訳』がでる」など、商売に対する姿勢を表したものが多くあります。日次決算によって日々の経営状況を把握することは、自ずと商売に対する真剣味が増していきます。この点も近江商人がいち早く日次決算を採り入れた理由と考えられます。
あの孫正義社長も自著の中で日次決算を採用した理由について、各部門の責任者に会社のオーナーのような意識をもたせるため、と語っています。毎日損益を計算し把握することで社員の意識改革を促したわけです。

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日次決算は、経理部門にとっては負担の大きいものです。しかし、経営層の重要な意思決定の礎となるのですから、経理部門の存在をアピールするチャンスです。日次決算は経営にダイレクトな影響を及ぼす管理会計の要諦。経理が経営に与える大きな力を提示するためにも、日次決算を提案してみてはいかがでしょうか。
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