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経理/財務決算 2020/05/12

決算の集大成、株主総会で経理担当はどう活躍する?

経理業務の集大成とも言える決算書は様々な目的のために作成されますが、そのうちの一つに「株主への成果報告」があります。特に上場企業や株主の多い企業では、成果報告を行う株主総会は一大イベントにあたり、経理担当者が立ち回らなければならない場面も少なくありません。今回は、株主総会の概要と、経理担当者の役割について説明します。

株主総会とは

株主総会とは株の保有者を集めて、企業の基本方針や重要事項を決定する場のことです。「株式会社における意思決定の最高機関」という位置づけで、招集する時期によって「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2つの種類に分けられます。

定時株主総会
会社法によって招集時期が定められている株主総会です。事業年度の終了後3カ月以内に開かなければならないため、3月末を期末にすることが多い日本の企業では、6月下旬に株主総会が開かれる傾向にあります。一般的に「株主総会」と言えば、こちらの定時株主総会を指すことが多いです。

臨時株主総会
定時株主総会とは異なり、開催時期が決められていないのが臨時株主総会です。新株予約権の発行や第三者割当増資を決定するなど、必要なときに都度、開かれます。経理担当者との関わりは、定時株主総会よりも薄めです。

株主総会実施前の経理担当者の役割

株主総会を行うにあたって、まず取り掛かるのが資料の作成です。
特に定期株主総会で重要となる「業績報告」の概要は、経理部門が記載することが一般的であり、「連結決算書類」、「計算書類」など、決算書に含まれる書類は、ほとんどの場合、経理担当者が作成します。これを見越して、会社によっては決算短信や有価証券報告書など、株主総会で使用する書類と決算書の作成を並行して行うこともあります。

また、株主を招集する際、取締役会を置く会社の場合はこれらの書類を招集通知と一緒に添付資料として付け加える必要があります。

■招集通知の添付資料(例)
  • 事業報告書
  • 連結決算書類
  • 計算書類
  • 財務諸表
  • 監査報告書
  • 業績の概要や説明資料

続いて、作成した資料に基づく質疑応答の準備をします。業績報告の内容によっては、株主から経理や財務に関わる質疑が出るため、事前に想定できるものに対しては回答を用意しておくことが一般的です。

株主総会実施後の経理担当者の役割

定時株主総会の場合、翌日以降に、官報、日刊新聞、Web上のいずれかで決算を発表する決算公告を行います。 この決算公告は企業規模によって掲載する内容が異なっています。

大会社
最終事業年度における貸借対照表にて、資本金として計上した額が5億円以上、または、負債として計上した額の合計が200億円以上の会社です。
  • 貸借対照表
  • 損益計算書

大会社以外の会社
大会社の条件に当てはまらない会社です。
  • 貸借対照表

決算公告は会社法第440条で会社の「義務」と規定されており、これを怠った場合、第976条によって「最大100万円以下の罰金」が適用されることがあります。しかし、現状、決算公告を行っている中小企業は多くはありません。

中小企業が決算公告を行わない理由の一つとして費用の問題があり、新聞などに公告を掲載する場合はかなりの金額がかかります。しかし、決算公告は、URLの登記さえすれば自社のWEBサイトでの公開も可能であり、この方法ならば大きな費用はかかりません。もし、自社が費用面で決算公告を断念している場合は、この方法を提案してみてください。

※参考記事:株主総会の意義と経理の役割とは
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経理担当者が株主総会の業務にどのような役割で関わるかは、企業によってそれぞれです。ただ、本文で紹介した業務では経理担当者が活躍できる可能性が高いので、事前に内容を把握しておくと手際よく対応することができるでしょう。
また、株主総会にはまったく関わらないという経理部門もあるかもしれません。しかし、成果報告のベースとなる決算書を作成しているのは経理担当者です。決算データなど、経理に関する質問が社内から挙がることもありますので、迅速に受け答えできるようにしておくと、社内の評価にもつながるでしょう。

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