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人事/労務年末調整 2017/03/23

年末調整とマイナンバーを連携

マイナンバー管理と連携した年末調整支援システムで作業負荷を大幅に軽減し、ペーパーレス化を促進。

年末調整とマイナンバーを連携

2016年1月から社会保障、税、災害対策などの分野で利用されているマイナンバー。その取り扱いには、従来の個人情報以上に厳格さが求められています。

扶養控除等申告書や保険料控除申告書といった年末調整関連書類にも、2016年からはマイナンバーを記載する必要があるため、あらためて対応に追われている企業の皆さまも多いのではないでしょうか?

ただでさえ慌ただしく煩雑な年末調整業務と、安全性の高い取得・保管・利用が要求されるマイナンバー制度への対応を効率的に、そして安全に両立させるにはどうしたらよいのでしょうか。

今回ご紹介するH社は、関東~東北エリアを中心に多数の施工実績を持つ建設業者です。
特に、生産施設、物流施設、オフィス施設などに豊富なノウハウを持っており、先進技術を積極的に採用して付加価値向上やコスト削減に取り組む姿勢が評価され、 ここ数年、急速に業績を伸ばしています。

事業の拡大とともに従業員数が急増していたH社では、やはり年末調整業務の効率化とマイナンバー制度への対応が、大きな課題となっていました。

その課題をいかにして乗り越えたのか。総務部 部長である大田原氏の話をお聞きしてみましょう。

事業の拡大とともに従業員数が増え重荷となっていった年末調整業務

この数年で急速に業績を伸ばしているH社では、300名程度だった従業員数も650名以上へと急増しています。

「そのため、年末調整業務が際立って重荷になってきました。
前年度データを申告書に印刷し、封入して配布し、回収してチェックする。
そして給与システムへの入力。このプロセスを短期間にこなすのは、臨時アルバイトを雇っても大変な業務負荷となっていました」
と、大田原氏は回想します。

「また、紙の申告書による手作業なので記入ミスや記入漏れも起こりやすく、それらをチェックして修正するのも大仕事でした」

多数の事業拠点が関東~東北エリアに散在するH社の場合、提出状況を正確に把握して、従業員に督促することも難しかったそうです。

「それらに加えて、マイナンバー制度への対応という問題がありました。
2016年の年末調整からは、申告書にマイナンバーを記入しなければなりません。
最初はこの問題を軽く考えていたのですが、よく調べていくうちに、特定個人情報保護委員会のガイドラインを守りながら、効率的にマイナンバーを収集・利用することの難しさがわかってきたのです」

そこで大田原氏は、現在使っている給与システムのベンダーに相談を持ちかけました。

マイナンバー管理システムとスムーズに連携できる年末調整支援システムを導入

いくつか提案されたプランの中からH社が採用したのは、現在利用している給与システムと連携して運用できる年末調整支援システムとマイナンバー管理システムでした。

「3つのシステムがスムーズに連携し合えることが、大きな決め手になりました。スムーズなデータ連携は業務効率化の要である、というのが私たちの考えです」 と、大田原氏は語ります。

「従業員がWebブラウザで各種申告書を作成できる年末調整支援システムは、ペーパーレス化だけでなく、データ連携と入力支援機能によって  かなりの業務効率化とコスト削減を期待できました」

年末調整支援システム単体でも、マイナンバーの登録と印刷が可能でしたが、特定個人情報保護委員会のガイドラインに沿った運用を確実に行うのであれば、マイナンバー管理システムも必須であると、大田原氏は考えました。

「このまま従業員数が増えていけば、マイナンバーの取り扱いはもっと難しくなります。
中途半端にスタートして、後々仕切り直すことになるよりも、この機会を利用して、万全の対策を確立しておこうと考えたのです」

「今回導入したマイナンバー管理システムには、マイナンバー情報の暗号化、ユーザーのアクセス制限、アクセスログ管理など、マイナンバーガイドラインへの対応を支援する機能が充実しています」
と、大田原氏は評価します。

総務部門にとっても従業員にとっても業務負荷の大きな軽減が可能に

今回のシステム導入で最大のメリットは、Webブラウザからの入力が可能になったことだと、大田原氏は指摘します。

「マイナンバーの登録や年末調整申告書の入力を、従業員自身がWebブラウザで行えるようになったおかげで、紙の申告書や申請書を印刷・配布・回収・チェックする必要がなくなり、総務部門の作業負荷は大幅に軽減されました」

「特に、年末調整の各種申告書入力については、ワンクリックでできる前年度データ流用、合計金額の自動計算、入力処理のヘルプ画面、入力項目チェックなどの支援機能によって、従業員による入力が容易になっただけではなく、修正が大変だった入力ミスや入力漏れもほとんど無くなりました。
総務部門だけではなく、従業員の業務負荷も大きく軽減しているのです」

年末調整の各種申告書にマイナンバーを入力する必要がないことも、見逃せないメリットだと大田原氏は指摘します。

「マイナンバー管理システムと連携して自動的に取り込めますし、年末調整支援システム上にはマイナンバーが保持されないので安全です。
Webブラウザ上ではマスキングされるので、盗み見のリスクもありません」

「税務署等に提出するために印刷する申請書にはマイナンバーが記載されますが、いつ誰が印刷したのか、しっかり記録されるので悪用は難しいでしょう」

あらかじめ税務署に申請しておけば各種年末調整申告書の電子保存が可能に

さらに、各種年末調整申告書の提出状況を容易に把握できることも、業務効率化に役立っていると大田原氏は述べています。

「年末調整業務は時間との戦いですから、各種申告書の未提出者をリアルタイムで確認できることは、非常に助かりますね。
督促メールも簡単に出すことができます」

そして、マイナンバー管理システムと年末調整支援システムを導入したH社が、新たに取り組んでいるのが「申告書の電子保存」です。

現在、H社では、年末調整の各種書類を印刷して税務署等に提出していますが、『源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書』 という書類を、あらかじめ所轄の税務署に申請しておくことにより、扶養控除等申告書、配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書を紙の申告書として印刷・配布・回収・保管することなく、電子データとしてペーパーレス運用することが可能になるのです。

「マイナンバー管理システムと年末調整支援システムの導入によって、年末調整業務にかかる時間は3分の2程度に短縮することができましたが、各種申告書を電子データとして運用することできれば、3分の1程度にまで短縮できるのではないかと期待しています」

「マイナンバー管理システム、年末調整支援システム、給与システムの3つが、スムーズに連携できる環境がなければ、 年末調整申告書のペーパーレス運用は実現しなかったでしょう」
と、大田原氏は評価してくださいました。
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