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業務全般制度改正 2017/03/23

2017年度税制改正、経理担当が注目すべきポイント

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2017年度の税制改正大綱が決定しました。一般家計では妻の年収上限を103万円から150万円に引き上げられるなど、配偶者控除の見直しが話題を呼びました。
企業関連では、事業再編促進のための税負担軽減や研究開発減税の見直しなど、減税策の目立つ改正となりました。
こうした改正が企業活動にどう影響を及ぼすのでしょうか。経理担当としてしっかりチェックしておくべきポイントについてご紹介します。

組織再編税制の改正で有望事業の独立を促進

組織再編税制の改正で有望事業の独立を促進
企業関連の税制改正で最も注目したいのは、組織再編税制の見直しです。対象となるのはスピンオフと呼ばれる再編手法。これは、企業同士を統合するM&A(合併・買収)とは反対に、企業内の一事業部を切り出して事業化するもの。これまでの税制では、事業を売却したと見なされ、事業を切り出した企業には法人税がかかっていました。

今後は事業を切り出した企業の税負担がゼロになります。この改正により、組織の再編成が活発化し、有望事業の独立がしやすくなります。もともと大企業などでは、ビジネスアイデアが優れたものであっても、市場がニッチであるなどの理由で事業化されずに埋没するケースもありました。その背景には、税負担という重石があったのも事実。有名なケースでは、2002年に中外製薬が米国子会社をスピンオフして税務当局から約225億円課税された例もあります。

企業は、変化の激しい市場環境の中、業績アップに向けて現有経営資源の有効活用をこれまで以上に図っていくでしょう。有望事業を独立・子会社化することで、意思決定プロセスの短縮化や子会社独自での柔軟な事業展開が可能になるなど、スピンオフのメリットは大きいといえます。自社の事業の中で有望な事業部はどこか。会計の知見をベースにどんな貢献ができるのか。経理担当にもより戦略的な視点が求められていきます。

研究開発減税の大幅変更で、企業の革新を後押し

二つ目のポイントは、研究開発費の減税策が大きく変わるということ。現行の研究開発減税制度では、企業が製品や技術の開発に要した費用しか法人税から差し引くことができません。今後は、減税の対象を「サービスの開発」にも広げ、サービス産業の技術革新を促していきます。

AIやビッグデータ、VRなど、進化を続けるテクノロジーを活かした新しいサービスが次々と生まれている時代です。例えば医療機関で、患者の状況をセンサーで適時把握することによる治療方法の改善、金融機関による融資審査のAI活用、農業でセンサーを使った天候などのデータ取得による新サービス開発など。こうした開発費用の一部を法人税から引けるようになります。

減税方法も見直されます。現在は売上高に占める研究開発費の割合に応じて8〜10%(中小企業は12%)を減税しています。これからは、研究開発費の増減率に応じて6%〜14%(中小企業は12%〜17%)の減税が可能となります。減税額の指針が売上高に占める研究開発費の割合から、研究開発費の増減率に変更。つまり、研究開発にかける企業努力が反映される仕組みとなったのです。

タックスヘイブン対策税制、脱税調査の権限強化も

タックスヘイブン対策税制、脱税調査の権限強化も
法人税率などが低い租税回避地を利用した、企業の過度な節税を防ぐタックスヘイブン対策税制も強化されます。現行制度では、法人税率20%未満の国・地域に事業実態のないペーパーカンパニーがあれば、日本の親会社の所得に合算して課税しています。今後は、20%未満という基準をなくし、日本より税率の低い国・地域のペーパーカンパニーは原則課税対象になります。

ITを駆使した脱税に対抗するため、税務当局の査察権限も強化される予定です。政府は脱税調査の手続きなどを定めた国税犯則取締法(国犯法)改正案を来年の通常国会に提出します。その目玉となるのが進展するIT化に対応した新しい規定を作ることにあります。

例えば、国税調査官が脱税調査をする場合、現在でもIT機器は押収できますが、クラウド上に保存された電子メールや情報は差し押さえることができません。これを強制的に押収できるよう法改正していくのが狙いです。国犯法の改正後は、証拠収集の円滑化も進められます。パソコンなどを差し押さえる際は、本体の代わりに記録媒体に複写して調査ができるようになります。通信事業者などには通信履歴を30日以内の期間で、消去しないよう求めることが可能となります。
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経理担当が知っておくべき今年度の企業関連における税制改正、3つのポイントをご紹介しました。税制改正が企業の財務面に与える影響は大きなものがあります。その影響をしっかり見据え企業戦略の指針を経営層に提案していくことは、これからの経理担当にとって重要なミッションとなります。

また、税制改正には政府の今後の方針が色濃く反映されます。今年度の例を見ると、成長分野の芽を減税によって育てようという政府の意図が読み取れます。日本政策金融公庫などの政府系金融機関は、そうした政策に沿った事業をサポートする傾向が強くなります。資金調達の面でも、政府の方針を把握しておくことは経理担当として大事な任務となることでしょう。
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