HOME 働き方改革 中小企業も適用間近!働き方改革関連法で罰則を受けないために注意すべきポイントを総ざらい!
働き方改革 2019/11/19

中小企業も適用間近!働き方改革関連法で罰則を受けないために注意すべきポイントを総ざらい!

この記事をシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

時間外労働の上限規制や割増賃金、有給休暇の取得義務化など、働き方改革法への対策は万全ですか? 違反で罰則を受けないよう、注意すべきポイントをまとめました。

働き方改革関連法は適用開始時期に注意!

2019年4月に労働基準法が大幅に改正され、働き方改革関連法の適用が順次スタートしています。「中小企業は猶予期間があるから、まだ大丈夫!」とお考えの方も思いのほか多いようですが、そこは要注意です。例えば、

  • 有給休暇取得の義務化
  • 勤務間インターバル制度
  • 産業医・産業保険機能の強化
  • 高度プロフェッショナル制度の創設
  • フレックスタイム制の見直し

などの項目は、企業規模を問わず、すでに適用がスタートしています。また下記の項目についても、中小企業への適用開始時期は、

  • 時間外労働の上限規制(2020年4月〜)
  • 時間外労働の割増賃金(2023年4月〜)
  • 同一労働・同一賃金の原則(2021年4月〜)

となっており、それまでの準備を考えれば、たっぷり猶予があるわけではないことがわかります。特に、罰則付き項目である「時間外労働の上限規制」の適用開始時期は2020年4月から。待ったなしの状況と言えるでしょう。

時間外労働の上限規制は条件が複雑で罰則付き!

労働基準法では「1日8時間および1週40時間」が労働時間の限度とされ、「毎週1回の休日」が定められています。これを超えて働くには、労使間で「36協定」を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

そして新しい労働基準法では、36協定を締結したとしても「原則として」以下の上限を超えて残業することはできないと定められています。
  
時間外労働は原則として「月45時間・年360時間」まで

さらに「臨時的な特別の事情があって労使間で合意している」場合でも、以下の上限を超えて残業することはできません。

  • 時間外労働は「年間720時間」まで
  • 時間外労働+休日労働の合計が「月100時間未満」であること
  • 時間外労働+休日労働の2、3、4、5、6ヵ月の各平均が「月80時間以内」であること
  • 月45時間を超える時間外労働は「年6ヵ月」を限度とすること

これは、一時的に残業が増えることがあっても、継続的に残業が続くべきではないという考え方に基づくものです。見るからに計算の面倒そうな諸条件ですが、これに違反すると「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則を受けることになります。

残業が増えれば増えるほど割増賃金率も増える!

新しい労働基準法では、時間外労働に対する割増賃金率も改正され、月60時間を超えた時間外労働については50%以上に引き上げられています。残業形態ごとに具体的な割増率を見ていきましょう。

  • 時間外労働:25%以上
  • 休日労働(※法定休日のみ):35%以上
  • 深夜労働(※22時〜5時):25%以上
  • 時間外労働+深夜労働:50%(25%+25%)以上
  • 休日労働+深夜労働:55%(35%+25%)以上
  • 月60時間を超えた時間外労働(※法定休日含まず):50%以上
  • 月60時間を超えた時間外労働+深夜労働:75%(50%+25%)以上

時間外労働の種類によって割増率がきめ細かく定められており、時間外労働の上限規制同様、勤怠管理や給与計算が複雑になることは間違いありません。
長時間労働を強力に抑制するために改正された項目ですが、中小企業については経済的な負担を考慮して猶予期間が設けられ、2023年4月からの適用となっています。とは言え、3〜4年の猶予期間などあっという間です。長時間労働が常態化している中小企業では、この短い猶予期間中に有効な改善策を打ち出す必要があると言えるでしょう。

ちなみに、割増賃金の未払いについても「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という罰則が設定されています。

有給休暇を取得「させる」ことが義務に!

2019年4月の労働基準法改正により、年に10日以上の有給休暇が付与された労働者には、

  • 付与された日から1年以内に最低5日間の有給休暇を取得させること
  • 労働者が自主的に取得しない場合は、年5日まで時季を指定して有給休暇を取得させること

が使用者の義務となりました。これについては、大企業のみならず、中小企業にもすでに適用されています。違反した場合は「時間外労働の上限規制」と同様に罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられますから、猶予期間があると勘違いしないようにしましょう。

この項目のキモは、有給休暇を取得「させる」という点にあります。労働基準法改正前の有給休暇と言えば、あくまでも労働者が「申し出て取得する」ものであり、申し出なければ取得させなくても良いという考え方が一般的でした。この考え方が職場や上司への遠慮を生み、有休取得率を低下させたとも言えるでしょう。

今回の改正により、使用者は「労働者自らの請求」「計画年休」「時季指定」いずれかの方法で労働者に年5日以上の年次有給休暇を取得させることが義務となりました。
労働者から有給休暇の取得申請がない場合は、使用者が労働者の意見や希望をよく聞いた上で、年5日までは時季を指定して有給休暇を取得させなければなりません。これが「時季指定義務」です。有給休暇の取得を促進する画期的な取り組みと言えるでしょう。

猶予期間終了前にしっかり準備をすることが重要

中小企業に猶予期間があるとは言え、「時間外労働の上限規制」は2020年4月から、「割増賃金率の引き上げ」は2023年4月から適用がスタートします。猶予期間が終わる頃になってからでは、急に残業や仕事量を減らすのは無理な話です。そうならないように今のうちから、

  • 社内業務の見直し(業務効率化など)
  • 就業規則などの変更
  • 勤怠管理システムの入れ替え
  • 社員教育の実施

などの準備が必要になりますから、実質的にはほとんど猶予がないと考えるべきでしょう。

本記事で見てきたように、「時間外労働の上限」や「割増賃金率」を踏まえた労働時間の管理や給与の計算は複雑です。タイムカードや表計算ソフトでは、これからの勤怠管理は非常に難しくなるでしょう。従来の勤怠管理は給与計算を正しく行うことが主な目的でしたが、これからの勤怠管理には、

  • 労働時間や有休消化を正確かつ効率的に把握すること
  • 記録上の労働時間と実際の労働時間の乖離をチェックすること
  • 労働基準法違反や過重労働の発生を監視・予測すること
  • 過重労働や有休未消化などについて労働者や管理職に気づきを与えること

といった役割が要求されます。そのためには、新しい労働基準法に対応した勤怠管理システムの導入が不可欠と言えます。働き方改革関連法の施行にあわせてスタートした「時間外労働等改善助成金」なども上手に活用して、勤怠管理の刷新に挑戦しましょう。
この記事をシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
人気記事ランキング - Popular Posts -
記事カテゴリー一覧 - Categories -
関連サイト - Related Sites -

経理ドリブンの無料メルマガに登録