消費税
2020/03/31
早稲田大学周辺商店連合会の事務局長に聞く!軽減税率制度・消費増税の個人・零細事業主への影響とは

2019年10月1日に消費税法が改正されて、約半年が経過しました。当初はそれほど大きな混乱はありませんでしたが、個人事業主や零細企業を中心にその影響が少しずつ明らかになっています。今回は、約450店が会員となっている早稲田大学周辺商店連合会の事務局長であり、ワセダグランド商店会の会長でもある滝吉道信氏に、2020年2月時点の零細企業の軽減税率・増税のリアルと今後の動向について伺いました。
零細・個人事業主の増税、軽減税率対策は青色申告以降に本格化を予想
軽減税率・増税の対応は「情報量」が大切。個人・零細事業主こそ、国の施策に注視を
キャッシュレス決済の導入を促進しているそうですね。
軽減税率補助金などの各種活用状況はいかがでしょうか。
滝吉 正直なところ、ほとんど活用されていません。各種補助金や助成金の条件や手続きなどの手間がかかるので、毎日、お店を回すだけでも忙しい個人・零細事業主がそこまで対応できる体力がないことが大きな原因だと考えています。事実、私もいくつか補助金を申請しましたが、都度、必要な書類をゼロから作成して提出しなければならなかったので、非常に時間がかかりました。
ただ、個人・零細事業主ももっと国の施策にアンテナを張るべきだとも考えています。特にこれからはインボイス方式や免税事業制度の撤廃など、昨年の増税よりもさらに大きく経営に影響する制度の変更が予定されています。本来であれば、早めに準備しておかなければならないも関わらず、まだインボイス方式の存在すら把握していない事業主も少なくありません。
今回のように「青色申告まで気付けませんでした」という事態は防がなければならないと思います。また、中長期的な計画を立てて定期的に数字を振り返るなど、予実管理を行うことが、今後、私たちが生き残っていく重要な術だと考えています。
商店会としての今後の取り組みをお聞かせください。
本日は、貴重なお話ありがとうございました。
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今回の取材で、増税の影響と軽減税率の対応の負担が顕著になりつつあることがわかりました。その一方、早稲田大学周辺商店連合会の会長であり、飲食店「三品食堂」を55年間、経営している北上昌夫さんは、軽減税率のおかげで仕入価格を維持できており、値上げせずに何とか踏みとどまれていると言います。ただし、軽減税率の経理処理については「面倒だ」という声があちこちから聞こえるなど、対応に苦労していることも事実のようです。確定申告をきっかけに、そういった問題がさらに浮上してくることも考えられます。滝吉事務局長のお話にもあったインボイス方式や免税事業制度の撤廃についても早めに知識を深めることが重要です。
PROFILE
滝吉道信(たきよしみちのぶ)

早稲田大学周辺商店連合会:事務局長
ワセダグランド商店会:会長
新宿区商店連合会 戸塚ブロック:常任理事
早稲田大学周辺の7商店会450店で構成される「早稲田大学周辺連合会」の事務局長。キャッシュレス決済の導入や経営者向けセミナーを主導するほか、地域教育やイベントの実施など多角的なまちづくりに取り組んでいる。自身も老舗印刷会社「株式会社コーエー」のほか、小売業の「有限会社ワセダウェーブ」など複数事業を展開。